title banner

日向涼子のサイクリングTalk<11>アンチエイジングにも最適 医学会のトークショーを通じて学んだ「自転車の力」

  • 一覧

 気がつけば、2014年もあとわずかですね。

 師走のはじめ、12月6日に、私は大阪・梅田スカイビルで「抗加齢医学」、いわゆる「アンチエイジング」について研究されている医師たちの前で、「自転車がもたらす健康への効果」についてトークショーでお話しする機会をいただきました。

「運動器抗加齢医学研究会」でのトークショーに出演。冨田先生の進行により、モデル・サイクリストの立場から自転車と健康についてお話ししました =12月6日、大阪・梅田スカイビル「運動器抗加齢医学研究会」でのトークショーに出演。冨田先生の進行により、モデル・サイクリストの立場から自転車と健康についてお話ししました =12月6日、大阪・梅田スカイビル

 最近はトークショーの仕事が増えたとはいえ、今回は「学会」「医師」というワードに圧倒されっ放し。何を話せばいいのかと不安もありました。しかし、「体の専門家たちの前で、素人の私が肉体について詳しく語っても仕方がない」と思い直してからは、健康面のメリットのほか、「自転車との出会いによって豊かな人生を送っている」と、内面のアンチエイジングについても話をさせていただきました。

◇         ◇

 今回、私のトークショー出演に白羽の矢を立ててくださった、同じくサイクリストでもある大阪大学大学院医学系研究科の准教授、冨田哲也先生に、学会前にインタビューの時間をいただき、医師の立場からみた「自転車の良さ」について伺いました。

運動を「数字」で示されると安心

日向:先生、今年6月の「Mt.富士ヒルクライム」のスタート前にお声かけくださいましたよね。ヒルクライムレースにはよく出られるのですか?

冨田:仕事柄、事故は許されないため、ケガのリスクが少ないヒルクライムばかりですね。趣味のケガで手術ができない医師なんて、必要ありませんから。

インタビューでは、医師の立場からみた「自転車の良さ」を伺いましたインタビューでは、医師の立場からみた「自転車の良さ」を伺いました

日向:ヒルクライムは過去の自分との比較が出来るところもいいですよね。同じレースに出れば、一年間、自分がどう自転車と関わっていたのか、即タイムに反映されちゃう。「より良い機材を使う」という大人の解決方法もありますが(笑)。

ヒルクライムレースに参戦する冨田先生ヒルクライムレースに参戦する冨田先生

冨田:私が購入して一番よかった機材は、パワーメーターですね。

日向:フレームやホイールではなく?

冨田:ヒルクライムは、自分の体重と仕事量でタイムが予測できます。パワーメーターは、自分がサボっているのが数値に表れます。サボっていることに気づいた時、必要なパワーを出すことで目標タイムに近づけることが可能です。

日向:やはり、先生は理系脳なんですね。

冨田:そんなことはないと思いますが、「数字」という信頼できるデータをはっきり示されると安心できます。

 ――理系脳ではない、と冨田先生はおっしゃいますが、体重と仕事量でタイムを予測とか、サボっている時に必要なパワーを出す…といった発想は、文系脳の私にはなかった考え方。ヒルクライムの話題ひとつをとっても、学ぶことばかりです。

自転車を始めて10kg痩せた

日向:多くの診療科がある中で、先生が整形外科医の道を選ばれたのは理由があるのでしょうか。

冨田:大学時代に競技スキーにのめりこんだのですが、選手が膝靭帯損傷でシーズンを棒にふったり、選手生命を絶たれたりするのを見て、卒業後は質の高い手術を提供する側として支援できればと思い、スポーツ医学を志し整形外科の道に入りました。整形外科医になって学生時代には知らない分野と出会い、今では中高年の関節疾患を治療する立場になりました。

先生の優しく穏やかな雰囲気に、話もはずみました先生の優しく穏やかな雰囲気に、話もはずみました

日向:中高年の関節疾患といいますと?

冨田:「変形性膝関節症」といって、脚がO脚になる疾患の手術をしています。特に日本人はもともとO脚の傾向にあるため、膝の内側により強い変形が見られ、最近は、手術も急激に増加しています。

日向:具体的にはどのような手術をされるのでしょうか。

冨田:人工膝関節置換術と言い、傷んで変形した膝関節の表面を取り除いて、金属でカバーする手術です。

日向:そういえば、祖母も人工関節にする手術をしていました。

冨田:変形性膝関節症は中高年の女性に多いのですが、特にメタボリックシンドロームの要素を持っている方は発症率が高くなります。

日向:肥満により、膝に負担がかかってしまう訳ですね。

冨田:ランニングが流行していますが、中高年の場合は膝の変形を進行させることが多いのです。

日向:肥満解消のために運動をしたのに、それが原因で悪化させてしまうなんて…。

冨田:若い人は問題ないでしょうが、30代後半以降の患者様には、膝への負担が少ない運動を勧めています。

学会でのトークショーに登壇し、いつもと違う状況に緊張を隠せない私…学会でのトークショーに登壇し、いつもと違う状況に緊張を隠せない私…

日向:それで今回、「サイクリスト」としての私を呼んでくださったのですね。

冨田:ヒルクライムレース会場で参加者の方々と気さくに話している姿を見て、好感を持ったというのもあります。

日向:アハハ、照れますね。患者様に自転車を勧めるということは、先生ご自身は自転車によるダイエットの効果を感じたことがあるのでしょうか。

冨田:自転車を始めて、10kg痩せました。

日向:10kgも! そういう私も、自転車を始める前は食事制限に苦労していましたが、今は割と好きなものを食べています。お菓子も大好きですし。

冨田:自転車を始めてからは太りすぎない範囲でコントロールが出来ていますし、私のチームにも自転車で10kg以上減量できた先生が3名はいますよ。メタボリックシンドロームの人は確実に減量できるスポーツだと思っています。

日向:先生だけでなく、チーム員の方々も…となると、説得力がありますね。

 私の祖母が受けた治療を冨田先生が研究していると知り、親近感が深まりました。それにしても、自転車がひざに優しく、確実に減量できる運動であることを、医師の先生方がこれほどまで如実に証明しているとは…驚くばかりです。

自転車の力は無限大

冨田:でも、女性の患者様に自転車を勧めると、「これ以上、足が太くなったら困る」と、必ず言われます。

日向:日本では、自転車というと競輪のイメージが強いですよね。

冨田:患者様には、「陸上にも短距離と長距離があるように、我々の自転車は陸上でいうと長距離なのでスリムになりますよ」と説明しています。

日向:確かに、私も自転車に乗り始めた頃、走り方を教えてくださった男性の脚が美しくて、驚きました。

冨田:でしょう?有酸素運動によって脂肪が減るし、引き締まって細くなるんです。

日向:しかも、膝への負担が少ないとなると、自転車を始めない理由はないですね。先生が自転車を始めたきっかけはなんですか?

チームメイトと一緒に記念撮影に収まる冨田先生(右端)チームメイトと一緒に記念撮影に収まる冨田先生(右端)

冨田:先ほども申し上げた通り、もともとはスキーをやっていたので、夏場のトレーニングのつもりで自転車を始めました。特に、ヒルクライムは短時間で運動強度が比較的高いので、トレーニング効果を感じています。

日向:関節への負担が少ないまま体力づくりが出来るなんて、なかなか他のスポーツにはないですよね。

冨田:まさに自転車は「生涯スポーツ」であり、それぞれのレベルや志向によって、様々な楽しみ方があるのも魅力のひとつだと考えています。最近は国際学会にいっても現地の自転車ショップ巡りをするのですが、海外の人達とも「自転車」という共通のキーワードがあると、すごく話が盛り上がります。

日向:自転車を好きな気持ちに国境はないのですね。私も自転車のおかげで交友関係が広がったというか、人生が豊かになったと思っています。

冨田:本当に、自転車の力は無限大だと感じています。こんなに素晴らしい自転車の力を、私の場合は変形性膝関節症の進行予防に取り入れられたら、と考えています。

 優しく穏やかな雰囲気の先生が、自転車の話になると、まるで少年のようにキラキラとした目で楽しそうに話し、仕事のことになると、とても真剣なまなざしになるのが印象的でした。

冨田先生へのインタビューが終了。医療の専門的な内容から自転車談義まで、大いに盛り上がりました冨田先生へのインタビューが終了。医療の専門的な内容から自転車談義まで、大いに盛り上がりました

◇         ◇

 今回のインタビューは「自転車」という共通の趣味により実現したもの。自転車に乗っていなかったら、トークショーはおろか、知り合うこともなかった可能性が高いことを考えると、先生がおっしゃる「自転車の力」を実感した一日でした。

(日向涼子) 

日向 涼子 日向 涼子(ひなた・りょうこ)

企業広告を中心に活動するモデル。食への関心が高く、アスリートフードマイスター・食生活アドバイザー・フードアナリストの資格を持つ。2010年よりロードバイクに親しみ、ヒルクライム大会やロードレース、サイクリングイベントへ多数出場。自転車雑誌「ファンライド」で『銀輪レディの素』を連載中。ブログ『自転車でシャンパンファイトへの道』( http://ameblo.jp/champagne-hinata/ )

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

日向涼子 日向涼子のサイクリングTalk

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載