U23は横山航太が優勝泥のコースを攻略した竹之内悠が4連覇、豊岡英子が女王に返り咲き シクロクロス全日本選手権

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 宮城県柴田郡村田町のスポーツランドSUGOで12月15日、全日本シクロクロス選手権大会が開催された。エリート男子では竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)が、泥で荒れたコースを冷静に攻略して全日本4連覇を達成した。エリート女子は豊岡英子(パナソニックレディース)が3年ぶりに女王の座に返り咲いた。

男子エリート表彰台。(左より)2位の門田基志(チーム ジャイアント)、優勝の竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)、3位の小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロス)男子エリート表彰台。(左より)2位の門田基志(チーム ジャイアント)、優勝の竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)、3位の小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロス)

 コースはスポーツランドSUGOの国際規格のモトクロスコースを使用。モトクロス場ならではのウォッシュボードやテーブルトップなどを組み込み、さらには「忍者返し」とネーミングされた激坂を、長短合わせて4カ所設定。平坦はブース出展エリア付近のわずかな区間のみで、ほぼ常に上っているか下っているかという状態だ。コースプロフィールによると、1周2.7kmで高低差は28m、1ラップでの獲得標高は97mとなる。

2つのシングルピットの中間にある洗浄エリアは、まるで戦場のような有様2つのシングルピットの中間にある洗浄エリアは、まるで戦場のような有様

 レース当日は東北に押し寄せた寒波によって、明け方から降り始めた雪がうっすらと積もり、コースは試走の段階ではカチカチに凍った状態だった。しかし第2レースとなる女子クラスがスタートする頃には、日の当たる場所で路面が溶け始め、ダート上に設けられたスタート地点では、各チームのスタッフがライダーのシューズの裏の泥を取る作業に追われていた。

竹之内が万全の走りで4連覇

 最終の第4レースとして行われたのが、注目のエリート男子。今シーズンAJOCC(日本シクロクロス競技主催者協会)が主催するJCXシリーズのポイントランキングで首位を走り、“弱ペ旋風”を巻き起こしている山本和弘(弱虫ペダル シクロクロスチーム)が絶好調のまま王座を奪取するのか、全日本選手権4連覇を目指す竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)が連覇を伸ばすのか、それとも今シーズン山本に唯一勝っている日本人の小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロス)が念願の初戴冠を果たすのか。小雪舞う中レースはスタートした。

男子エリートのスタート。54人が出走した男子エリートのスタート。54人が出走した
トップを快走する竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)トップを快走する竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)

 序盤はスタート直後に小坂がチェーントラブルに見舞われ、大きく順位を落とす波乱。前日の試走時のコースコンディションにとらわれずレースに臨んだという竹之内は、スタート後の第1ピットで早くもバイク交換。山本が追走するも「忍者返し」を上った直後、タイヤがロックするほど泥がバイクに食いつき順位を落としてしまう。

 ライバルたちが泥に苦しむ中、ヨーロッパでの過酷なレースの経験を生かし竹之内が大きくリードする。それに続いたのは門田基志(チーム ジャイアント)、合田正之(サイクルクラブ3UP)の2人。それに山本聖吾(スワコレーシングチーム)が続く。

コースのあちこちで停車して泥を掻き取る選手たちコースのあちこちで停車して泥を掻き取る選手たち
「全開で攻めた」という竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)「全開で攻めた」という竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)
単独で2位走行する門田基志(チーム ジャイアント)単独で2位走行する門田基志(チーム ジャイアント)
安定したポジションでレースをした山本聖吾(スワコレーシングチーム)安定したポジションでレースをした山本聖吾(スワコレーシングチーム)
忍者返しを登る選手たち忍者返しを登る選手たち

 3周目に山本が3位まで順位を上げるが、再び泥詰まりによりタイヤがロックしてしまい3位をキープできず、代わって3位に浮上したのが小坂だ。4周目には後続に1分以上の差でトップを快走していた竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)だが、途中でバイクについた泥をかき出すためにコース上でストップしてしまい、2位を走っていた門田に30秒差まで追いつめられてしまう。しかし竹之内はピットでバイクを交換した後は再び冷静な走りで、後ろとの差を広げ始めた。

SUGOの文字の下を高速で下る竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)SUGOの文字の下を高速で下る竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)
ほとんどの選手が担ぎで登る忍者返しを乗車でクリアする竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)ほとんどの選手が担ぎで登る忍者返しを乗車でクリアする竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)
高速で下る竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)高速で下る竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)
終始単独2位走行となった門田基志(チーム ジャイアント)終始単独2位走行となった門田基志(チーム ジャイアント)

 竹之内、門田、小坂、山本の順でレースが進みいよいよ最終周。3位を走る小坂を追い上げる山本が、ピットから遠く離れた場所でリア変速機を壊してしまい、次のピットまで自転車を担いでのランを余儀なくされてしまう。大きく順位を落としてしまった山本の代わりに、4位には濱由嵩(スピードワーゲン シクロクロスチーム)が浮上した。

 最後まで危なげない走りを見せた竹之内は、2位の門田に1分半の大差を付け、ガッツポーズでゴール。シクロクロス全日本選手権4連覇を達成した。

プレスの砲列が迎えるなかガッツポーツでゴールする竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)プレスの砲列が迎えるなかガッツポーツでゴールする竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)
ギャラリーとタッチして2位でゴールする門田基志(チーム ジャイアント)ギャラリーとタッチして2位でゴールする門田基志(チーム ジャイアント)
スタートでチェーントラブルに見舞われるも、追い上げて3位に入った小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)スタートでチェーントラブルに見舞われるも、追い上げて3位に入った小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)
泥に苦しめられて5位に沈んだ山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)泥に苦しめられて5位に沈んだ山本和弘(弱虫ペダルシクロクロスチーム)

 レース後の竹之内は、こうにコメントした。

 「前日の試走時のコースコンディションに対して先入観を持たずにレースに臨んだ。1周目のタイム、後ろとのギャップの開き方、自分のペースを見て今日はいけるなと思った。昨日の試走の段階から勝つ気しかしなかった。どんな状況でも勝てると思っていたので今日は全開でした。自分のミスとメカのトラブルにだけ気をつけた。野辺山では体調が良くなかったこともあったが、山本カズさんに負けて悔しかったので、気持ち切り替えて準備し、今日は集中して走りました」

 泥に苦しむライバルたちを尻目に、ただ一人8分台前半のラップタイムを刻み続けた竹之内。下馬評では苦戦も予想されたが、高い集中力で難しいコンディションを攻略し、54人出走中、同一周回完走がわずか7人というサバイバルレースを制した。

女子は豊岡が女王奪還 U23は19歳横山が優勝

 エリート男子に先立って行われた第2レースのエリート女子では、豊岡英子(パナソニックレディース)が3年ぶりに女王の座に返り咲いた。レース序盤、宮内佐季子(チーム チェーンリング)にリードを許す場面もあったが、すぐさまトップの座を奪い返し、その後は冷静な走りで優勝した。35秒差で宮内が2位となった。武田和佳(チーム チェーンリング)は2周目に一時宮内を抜くなど果敢な走りを見せ、その後ペースを落とすも丁寧な走りで3位となった。

2周回目トップの豊岡英子(パナソニックレディース)に迫る宮内佐季子(チーム チェーンリング)と武田和佳(チーム チェーンリング)2周回目、トップの豊岡英子(パナソニックレディース)に迫る宮内佐季子(チーム チェーンリング)と武田和佳(チーム チェーンリング)
トップを追う宮内佐季子(チーム チェーンリング)トップを追う宮内佐季子(チーム チェーンリング)
まだ路面が凍ったままのダウンヒルセクションを高速で下る豊岡英子(パナソニックレディース)まだ路面が凍ったままのダウンヒルセクションを高速で下る豊岡英子(パナソニックレディース)
しっかりした足取りで忍者返しを担ぎで登る豊岡英子(パナソニックレディース)しっかりした足取りで忍者返しを担ぎで登る豊岡英子(パナソニックレディース)
3位を単独走行となった武田和佳(チーム チェーンリング)が長い忍者返しを上ってくる3位を単独走行となった武田和佳(チーム チェーンリング)が長い忍者返しを上ってくる
女王に返り咲いた豊岡英子(パナソニックレディース)がこみ上げる表情でゴール女王に返り咲いた豊岡英子(パナソニックレディース)がこみ上げる表情でゴール
2位の宮内が最大のライバルの女王返り咲きを祝福2位の宮内が最大のライバルの女王返り咲きを祝福
女子表彰。(左より)2位の宮内、優勝の豊岡、3位の武田女子表彰。(左より)2位の宮内、優勝の豊岡、3位の武田

 表彰式のインタビューで豊岡は、女王に返り咲いたことに「めちゃんこうれしいです!」とコメントしつつも、今年はケガにより長期間苦しんだ思いを吐露し涙ぐんだ。

 第3レースとなったU23男子では、前週の飯山ナイトレースで出走ライダー全員を周回遅れにした快走の記憶が新しい横山航太(シマノレーシング)が、すべての忍者返しを乗車でクリアするなど、驚異的な乗車率で優勝を果たした。

 2位には横山にも劣らぬ乗車率でレースを進めた、クロモリフレームバイクに乗る前田公平(ビオレーサー オフロードチーム)、3位は序盤泥詰まりなどでコース上で立ち止まる場面があった中原義貴(弱虫ペダル シクロクロスチーム)となった。前年優勝の沢田時(チームブリヂストンアンカー)は終始泥に苦しめられ、4位に終わった。

男子U23スタート。12人の選手が出走した男子U23スタート。12人の選手が出走した
力強いペダリングで忍者返しを乗車して登ってきた横山航太(シマノレーシング)力強いペダリングで忍者返しを乗車して登ってきた横山航太(シマノレーシング)
単独2位走行する前田公平(ビオレーサー オフロードチーム)単独2位走行する前田公平(ビオレーサー オフロードチーム)
1周回目ウォッシュボードセクションを先頭でクリアする横山航太(シマノレーシング)、背後にぴったりと前田公平(ビオレーサー オフロードチーム)が付ける。1周回目ウォッシュボードセクションを先頭でクリアする横山航太(シマノレーシング)、背後にぴったりと前田公平(ビオレーサー オフロードチーム)が付ける。
3位になった中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)は乗車で忍者返しを登る。後方は8位になった中井唯晶(瀬田工業高校)。U23ではここを乗車してクリアできるか否かが大きく順位に影響した3位になった中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)は乗車で忍者返しを登る。後方は8位になった中井唯晶(瀬田工業高校)。U23ではここを乗車してクリアできるか否かが大きく順位に影響した
ゴール直後バイクを持ち上げて喜びを表現する横山航太(シマノレーシング)ゴール直後バイクを持ち上げて喜びを表現する横山航太(シマノレーシング)
ほとんどの忍者返しを乗車でクリアした横山航太(シマノレーシング)ほとんどの忍者返しを乗車でクリアした横山航太(シマノレーシング)
ゴール後のインタビューで感極まる横山航太(シマノレーシング)ゴール後のインタビューで感極まる横山航太(シマノレーシング)
泥に終始苦しめられ4位に終わった沢田時(チームブリヂストンアンカー)は、U23連覇を逃しゴール後うなだれる泥に終始苦しめられ4位に終わった沢田時(チームブリヂストンアンカー)は、U23連覇を逃しゴール後うなだれる

 朝一番、路面がまだ凍っている状態でのレースとなったジュニアでは、前年度ゴールスプリントで負けた悔しさをバネにこの日のために準備してきたという竹内遼(ウエストベルグ/プロライド)が、中盤トップ争いをしていた山田将輝(パックスプロジェクト)を引き離して優勝。2位には山田、3位に日野竜嘉(松山聖陵高校)が入った。

世界選手権は来年1月、チェコで開催

 レース開催前はこれまでにない高低差と、モトクロス場独特のセクションや、絡みつく泥などから、波乱のレースが予想されていたが、結果的にすべてのクラスで実力者が勝利する結果となった。

 今大会は2015年シクロクロス世界選手権代表候補選手選考会を兼ねており、今回の勝者とその他の代表者が、2015年1月の最終週にチェコ/タボールで行われる世界選手権に出場する。代表選手の世界選手権での健闘を祈りたい。

(写真・文 Kasukabe Vision FILMz 織田達)

男子U23表彰。(左より)2位の前田、優勝の横山、3位の中原男子U23表彰。(左より)2位の前田、優勝の横山、3位の中原
男子ジュニア表彰。(左より)2位の山田、優勝の竹内、3位の日野男子ジュニア表彰。(左より)2位の山田、優勝の竹内、3位の日野

男子エリート(7周回)
1 竹之内悠(京都、ベランクラシック・ドルチーニ) 59分15秒
2 門田基志(愛媛、チーム ジャイアント) +1分31秒
3 小坂光(長野、宇都宮ブリッツェンシクロクロス) +2分03秒
4 濱由嵩(石川、スピードワーゲン シクロクロスチーム) +4分16秒
5 山本和弘(北海道、弱虫ペダルシクロクロスチーム) +4分38秒
6 山本聖吾(長野、スワコレーシング) +4分43秒

女子(4周回)
1 豊岡英子(大阪、パナソニックレディース) 41分02秒
2 宮内佐季子(静岡、チーム チェーンリング) +35秒
3 武田和佳(埼玉、チーム チェーンリング) +5分09秒
4 川崎路子(静岡、クラブビエント) +6分38秒
5 鈴木美香子(東京、ckirin.com) +11分04秒
6 須藤むつみ(東京、レディーゴージャパン) -1LAP

男子U23(6周回)
1 横山航太(長野、シマノレーシング) 47分46秒
2 前田公平(東京、ビオレーサー オフロードチーム) +1分48秒
3 中原義貴(大阪、弱虫ペダルシクロクロスチーム) +5分49秒
4 沢田時(滋賀、チームブリヂストンアンカー) +9分12秒
5 木村吉秀(滋賀、JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス) +9分25秒
6 山田誉史輝(長野、パックスプロジェクト) -1LAP

男子ジュニア(5周回)
1 竹内遼(長野、ウエストベルグ/プロライド) 37分06秒
2 山田将輝(長野、パックスプロジェクト) +1分33秒
3 日野竜嘉(愛媛、松山聖陵高校) +2分45秒
4 織田聖(埼玉、Bottles and Chains) +4分09秒
5 藤田拓海(神奈川、横浜高校) +7分20秒
6 齋藤拓真(宮城、チーム チェーンリング Espoir) +8分00秒

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