スマートフォン版はこちら

課題は「自転車に興味をもった子供を取り込むこと」2015年は本格的に練習できる「1Dayレッスン」を開催 JrIDE PROJECTが活動報告

  • 一覧

 9月にスタートした、サイクルロードレースのメジャースポーツ化を推進する「JrIDE PROJECT」(ジェイ・ライド・プロジェクト)の2014年活動報告会が、12月12日に東京・恵比寿で行われた。実行委員を務める栗村修さんは「自転車に興味を抱いても中学以降は競技を続けず、離れて行ってしまう子供が多い。そういった“中間層”を取り込んでいきたい」と3カ月の活動を通して見えてきた課題を語った。2015年は中間層を取り込むための「スポーツ自転車 1Dayレッスン」を新たに実施していくことが発表された。

「ジェイ・ライド・プロジェクト 2014年 活動報告会」に出席した(左から)宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手、山本雅道さん、栗村修さん、ブラッキー中島さん、浅田顕さん、宮田泰郎さん「ジェイ・ライド・プロジェクト 2014年 活動報告会」に出席した(左から)宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手、山本雅道さん、栗村修さん、ブラッキー中島さん、浅田顕さん、宮田泰郎さん

 報告会では、実行委員を務めるグローブマーケティングの宮田泰郎代表が、初年度の活動を報告。また、実行委員の栗村修さんと山本雅道さん、「はじめてのスポーツ自転車教室」の講師を務めたブラッキー中島さん、「新人発掘!!ユースキャンプ」トレーニングディレクターの浅田顕さんという、プロジェクトの中心メンバーがそろい、パネルディスカッションを行った。

 栗村さんはジェイ・ライド・プロジェクトの活動の目的として「東京五輪、ツール・ド・フランスで活躍する選手を目指す。そこに向けて、世界的な選手を『発掘する』ことをベースとしている」と改めて説明。また同時に、単なるスポーツではなく自転車文化の創造も目指していくとした。

実行委員を務めるグローブマーケティングの宮田泰郎代表が、初年度の活動を報告した実行委員を務めるグローブマーケティングの宮田泰郎代表が、初年度の活動を報告した
“中間層”を取り込みたいと語った栗村修さん“中間層”を取り込みたいと語った栗村修さん

 今年の活動として、10月4日には東京・お台場で「はじめてのスポーツ自転車教室」、10月26日には静岡県の富士スピードウェイで「はじめてのサーキット走行体験会」を行った。

はじめてのスポーツ自転車教室の講師を務めるブラッキー中島さんはじめてのスポーツ自転車教室の講師を務めるブラッキー中島さん

 優秀な選手を発掘するためのピラミッドの底辺を担うのは、はじめてのスポーツ自転車教室。このベースとなっている子供向け自転車教室「ウィーラースクール」を主催するブラッキー中島さんは、「ウィーラーではルールやマナー、技術を上げて危機回避することを教えているが、ジェイ・ライドでは選手を目指すための、スポーツに特化した内容を取り入れていきたい」と話した。

 山本さんは地元の神奈川県藤沢市で自転車教室を月に1回程度のペースで開催し8年目を迎えたが「自転車教室を体験して育った選手が出てきてもおかしくないけれど、まだ生まれていない。スクールを楽しんでいた子供が自転車から離れて行って、部活などで来なくなってしまう」という現状を紹介。それでも最近では、自転車教室で100人募集をかけるとすぐ埋まり、地元に定着してきたことを感じているという。「彼らを競技につなげていけば、プロが生まれていく手ごたえがある」と期待を膨らませた。

プロジェクトの中心メンバー4人がパネルディスカッションを行ったプロジェクトの中心メンバー4人がパネルディスカッションを行った

 10~22歳を対象に「はじめてのサーキット走行体験会」で講師を担当した栗村さんは、この体験会は「導入部分」だと話す。サーキットは自転車において「野球にとっての野球場のようなもの」で、そこで「“ボールを投げる”のと同じ基本的なことをやろう」というのが目的だという。

 部活でサッカーをやっているという参加者がいて、体験会後に保護者から「子供の将来の選択肢が増え、夢を持ち始めました」「ロードバイクの楽しさやマナー、間違った乗り方をすると危険だということを実感したようです」といった声が届き、その子供がロードバイクに乗り始めたことについて栗村さんは「狙い通り」とニヤリ。また、この導入から「次につなげるステップが必要だということが見えてきた」と語った。

“怪物級”の才能求む!

 「新人発掘!!ユースキャンプ」では浅田さんが走行技術やトレーニングのいろは、礼儀などを指導し、参加者から「プロになるためのステップや、プロになる厳しさがわかった」という声が挙がった。また、「今回のような総合的な練習、指導を受けたい」という感想が多く、練習環境や指導の体制が整っていない現状がはっきりした。

ユースキャンプのトレーニングディレクターを務める浅田顕さんユースキャンプのトレーニングディレクターを務める浅田顕さん

 浅田さんは「これまでにもトライアウトを開催したが、外への発信力がなかったため、成果は少なかった」と、これまでの課題を語り、ジェイ・ライド・プロジェクトを通して発信していくことに意欲を燃やす。今年のユースキャンプについて「思っていたよりも自転車経験者が多く、スムーズに教えられた。来年は、見たこともないような“怪物級”の能力をもった子供を待っています」とアピールした。ユースキャンプで指導に加わった山本さんも「グンと伸びるのではと期待を持てる子がいた。もっとほかの競技から引き抜きたい」と手ごたえを感じたようだ。

実行委員で、自転車教室やユースキャンプにも講師として参加した山本雅道さん実行委員で、自転車教室やユースキャンプにも講師として参加した山本雅道さん

 また、現状では「プロロードレーサーになる」ということがどういうなのか、スポーツとして自転車に乗っている子供でも、漠然としか知らないことが多い。彼らが「どうすればプロになれるのか」ということを子供たちが知ることができたことも今回のユースキャンプの成果だという。

 また、栗村さんは女子の発掘について「今年の活動を通して、発見された課題」と語った。参加する興味をもってくれた女子がいたものの、男子への指導を女子にそのまま当てはめていいのか、という難しさがあるという。「女子のためのシステムを作るには、女子を教えた経験のある人をプロジェクトに迎えたい」と今後の展開に含みをもたせた。

子供にも選手にも「楽しむ気持ち」が大事

講演を行った宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手講演を行った宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手

 また、ジェイ・ライド・プロジェクトの提携チームであるJプロツアーチーム「宇都宮ブリッツェン」の増田成幸選手が登壇し、栗村さんとの対談形式で講演を行った。

 増田選手はジュニア世代がプロを目指すために必要なことについて「楽しむ気持ち。これは子供にも、いまの自分にとっても大事なことで、モチベーションにもつながる。やらされているような感覚を覚えさせる指導はダメ」と話した。

 増田選手はキャノンデール・プロサイクリングに所属し、海外のレースに参戦した経験をもっている。日本と海外の違いを尋ねられると「天と地ほどの差がある。イタリアでもサッカーの人気には勝てないけれど、街のバーでレースの映像が流れていて、おじいさんたちが熱狂しているのを見たときに、文化として根付いていることを実感した」と答えた。

講演は増田成幸選手(右)と栗村修さんのトーク形式で行われた講演は増田成幸選手(右)と栗村修さんのトーク形式で行われた

 プロツアーの選手たちについては「テレビのなかで見てたような選手たちでも、チームに入ってみると『普通のにーちゃんだな』というようなギャップを感じた。でも練習やレースになると、一流選手に変わる」と本場の。選手の給料について「キャノンデールのネオプロは数百万円くらい。ペテル・サガンらトップ選手の年俸は数億。サガンの兄、ユライも実はもらってる」といったこぼれ話も披露した。

 日本のなかで、優秀な人材を集めて、トッププロにしていくためには「気軽に乗れて、楽しめる仲間がいるのが一番。ロードレースをできる部活があることが一番早い。やめていく子が少なくなるのでは」とアイデアを披露。最後に「自転車競技をたくさんの人に知ってもらい、楽しさをたくさんの人に教えてあげたい。いまがんばることが、競技やその楽しさを知ってもらえることになるのでは」と、これからの目標を語った

素質ある“中間層”を取り込む

 今後の活動についても発表され、スポーツ自転車教室とサーキット走行会は、関東だけでなく日本各地で開催していくことが予定されている。栗村さんは「2月に1回とかでは少ない」と語り、回数、エリアを広げる必要を説いた。栗村さんらだけではマンパワーが足りないため、ジェイ・ライド・プロジェクトの提携チームにも担ってもらえたらというアイデアもあるようだ。

来季の活動を説明する栗村修さん来季の活動を説明する栗村修さん

 そこから中間層を取り込んでいくステップとして、「スポーツ自転車 1Dayレッスン」を新設する。ユースキャンプのような合宿形式ではなく、1日だけでも本格的な練習を積んで、競技の魅力を味わえる場としていく考えだ。また、ユースキャンプも継続し、素質のある選手を選抜して月に一度の練習会を開催していく仕組みも作られる。

 また、2015年からはNPO法人として運営していく予定であることも発表された。来年の活動の日程は未定だが、冬の間に準備を整え、さらなる選手発掘を目指していく。

関連記事

この記事のタグ

JrIDE PROJECT

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載