RENの「自転車のススメ」<13>今度はダウンヒルに挑戦! 「レッドブル・ホーリーライド」で下りの美しさを知った
紅葉真っ盛りの京都府八幡市、石清水(いわしみず)八幡宮で11月29日、少々ぶっ飛んだマウンテンバイク(MTB)のダウンヒル大会が開催されました。その名も「Red Bull Holy Ride」(レッドブル・ホーリーライド)。文字通り“聖なる”土地である寺社の境内で行なわれるダウンヒルレースです。今回はこのイベントを体験レポート。名付けて“RENの聖なる赤牛祭り”、さあ行ってみましょう!!
(レポート REN、写真 StudioREN)
レッドブルとMTBが出会って誕生したレース

皆さんも「レッドブル」というドリンクの名前は、きっとご存知でしょう。エナジードリンクブームの火付け役と言っても過言ではないですよね。このレッドブル、昨今は様々なエクストリーム系スポーツイベントをスポンサードしていることでも知られています。
そして、MTBダウンヒルは単純明快、誰が下り坂で最速かを競う競技です。レッドブルがMTBダウンヒルに出会って誕生したのが、レッドブル・ホーリーライドなのです。
通常、MTBダウンヒルの競技は、夏季のスキーリゾートを舞台にダートロード(土や砂利)で開催されることが多いのですが、今回の舞台は標高143mの男山の山頂に鎮座する、地元では「やわたのはちまんさん」と呼ばれている石清水八幡宮。



レースはこの神社の境内で開催され、山頂から全長約800m、高低差約100m、最大斜度約22度、石段396段の境内や参道を駆け下ります。凄くぶっ飛んだレイアウトです。
いやはや…神社もよく許可しましたよね。氏子さんの協力なしには開催できないことでしょう。素晴らしいことです。
さてさて、なんと! 私、RENがこのコースを試走する機会を得たので、チャレンジしてきました。
「階段には飛んで入れ」 プロのスペシャルアドバイス
自転車競技の中で、最も危険と隣り合わせではないかと思われるダウンヒル。予習しないと命がいくつあっても足りません。そんな時には、プロフェッショナルのアドバイスを聞くのが一番!
ということで、ナショナルチャンピオンに輝いたこともある井手川直樹選手(デヴィンチ/ストライダー)に、事前にアドバイスしていただきました。
REN「このコースを安全に走るためには、何に注意したらいいですか?」
井手川選手「階段に入る前の姿勢が大事です。接地面積が少なく、ダートよりグリップしない路面なので、バイクを寝かすとスリップダウンします。車体が真っ直ぐな時にブレーキしましょう。これが一番大事です」
REN「あわわわ…(白目)。正直、色々なことが心配です」
井手川選手「そこまで心配はいりませんよ。ダダダダダ…と繰り返しになるので、リズムに乗れば大丈夫です。階段には飛んで入りましょう。そのほうが失速しません」(※右の動画参照!)
REN「…」
いやいや、それはプロの井手川選手の話であって…貴重なアドバイスを生かせるかどうかは、自分次第です。
緊張の初ホーリーライド、いよいよスタート
と、いうことで、いざ試走へ。
「転ばずに走れるだろうか…」
スタートの時間が近づいてきます。風光明媚な京都の紅葉は、一年でもっとも綺麗な時季を迎えていました。ですが、今日ばかりは眺める余裕がありません。
前日からの大雨で、コースの一部には“川”が出現。極め付けは、潤滑剤の役割をする落ち葉がたくさん…大変滑りやすく、スニーカーで歩くのも注意が必要なほどです。
滑らないようにタイヤの空気圧は低めにセットすることにしました。体重でタイヤが大きく潰れることによって、路面との接触面積を稼ぐ作戦です。



この日のために用意したOGKのフルフェイスヘルメットと、ダイネーゼのプロテクターを装着してスタート台へ。緊張から、顎ひもをセットするのに手間取ります。
いよいよ試走のスタート。
「クッ…オラに勇気を分けてくれ!」
プロテクターを装着しているとはいえ、ガクガクブルブル。下まで続いている階段を見ると、帰りたい気持ちに…
ゆっくりとブレーキを緩めます。意識したのは、普段下り坂を降りる時と同じように身体を動かすということ。身体の軸を意識し、丁寧に階段を下っていきます。
ガタガタガタと凄い衝撃。
「怖いー!」
頭が揺さぶられます。これは中途半端にスピードが遅いから。速い選手達は階段の角だけを使い、飛ぶように走っていきます。
さすが人気のイベント。試走の時点からコースサイドには沢山のギャラリーが詰め掛けています! 皆さん、選手のカッコイイ走りを期待しているのです。が、ジャンプセクションはもちろん飛べるハズもなく華麗に回避。4つあるヘアピンコーナーも、ハエが止まりそうなスピードでクリア。
「まだ終わらないのか?」
800mという短い距離ですが、とても長く感じました。それでも何とか、転ぶことなく無事にコースを走りきることができました。
ダウンヒルは極限の集中力が必要な競技のようです。最初は「本戦にも出場するぞ!」くらいに意気込んでいたのですが、ウムム…こんな走りじゃぁ他の選手と争うレベルではなさそうです。
あとはレースを観戦し、他のライダーがどう走っているのかをチェックしました。
トップ選手の美しき走りに感嘆
試走時間が終わり、天候は次第に回復。路面コンディションも、だんだん良くなってきました。予選は等間隔にスタートが切られ、とてもシステマティックにスケジュールが進んでいきます。
会場の盛り上がりもレッドブルのイベントならでは。軽快なDJのトークと共に、ダンスミュージックが会場に響き渡ります。






いよいよ、運だけでは勝ち残れない4クロス式(4人同時スタート・上位2人勝ち上がり)の本戦がスタート。狭い参道で超接近バトルが繰り広げられていきます。ジャンプも躊躇せずに飛ぶ! 興奮せずにはいられません。
本戦に勝ち上がった選手達は、恐怖心からズルズルとブレーキを握り続けた私と違い、必要なポイントでスパッ、スパッと躊躇なくブレーキをかけています。また、バイクの上で積極的に身体を前後に動かし、重心を移動して姿勢をコントロールしているのが見てとれます。
さらに、自転車が身体の下で暴れているが、頭には振動が伝わっていない。動きにとてもメリハリがあり、見ていてとても安心感がありますね。



そう、速いライダーたちは、とても滑らか…そして清らかだった。無駄な力が入っていない。悪路を、何でもない感じで走破しているように見える。
「これは美しい…」
そんな美しさは、自転車に乗るときに一番大切なことじゃないか? ふと、そう感じました。そして、この動きを体得したい!という気持ちが大きくなっていきました。
今後は「下り」の練習も積極的にしようと思います。
登りもあれば下りもある。それがサイクリングの醍醐味です。サイクリストとしての高みを目指し、ダウンヒルを練習すれば、きっと一皮剥けるのではないか…そう感じています。

数々のCM・雑誌・ファッションショーで活躍するトップモデル。08年より本格的にスポーツサイクルに乗り始める。自転車媒体で見ない日はないというほどの“乗れるモデル”。アイアンマン北海道完走。特技はウィリー(映像を見る)。身長188cm、体重74kg。千葉県在住。オフィシャルブログ「REN’s World」。取材のお問い合わせはStudioREN(http://studio-ren.jimdo.com)まで