大学スポーツの新しい活動モデル鹿屋体育大学自転車競技部が「鹿屋チャリンコパラダイス」開催 創部20周年の感謝祭

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 世界に羽ばたく選手らを次々に輩出してきた鹿屋体育大学自転車競技部が、1995年の創部から20年目を迎えた。チームでは11月22日(土)に、創部20周年感謝祭「鹿屋チャリンコパラダイス」を大学周辺で盛大に開催。会場には日頃から自転車部を応援する支援者、ファン、市民ら160名が集まり、現役部員と触れ合いながら自転車の楽しさを体験した。さらに、ゲストとしてOB選手の清水都貴(ブリヂストンアンカー)、内間康平(同)、黒枝士揮(ヴィー二ファンティーニ・NIPPO)らも駆けつけ、記念のイベントに華を添えた。

<レポート:スポーツ総合課程4年/自転車競技部(メカニック) 福井響>

部員たちが毎日目をこすって走る朝練コースが、この日は試乗コースとして使用された部員たちが毎日目をこすって走る朝練コースが、この日は試乗コースとして使用された

練習の合間に準備 学園祭のような雰囲気

 鹿屋体大の自転車競技部は、地域密着・企業支援型チームを目指し、日頃からボランティア活動などを通じて市民との交流を盛んに行っている。しかし、実際に大学のキャンパスやその周辺エリアで自転車イベントを開いて交流を図るのは、初めての試みだ。イベントはイチから全て部員によって企画され、練習の合間をぬって作り上げらていった。それだけに、会場は温もりが感じられる、どこか学園祭のような雰囲気に包まれた。

ファンと気さくに交流する上野みなみ(右から2人目)ファンと気さくに交流する上野みなみ(右から2人目)

 イベントの総合案内は、自転車部の拠点となる自転車倉庫前に設けられ、日本を代表する女子レーサーの上野みなみ(大学院1年)らが担当。訪れたファンらは、上野と気さくに話たり、写真を撮ったりして楽しんだ。

 ここではチームウエアや自転車部特製キューピーストラップなどが貰える抽選会や、「桷志田(かくいだ)黒酢」「天然ミネラルウオーター寿鶴」などチームを支えるスポンサーの商品紹介なども行われた。

展示ブースでは黒川監督が直々にチームの歴史や概況を説明した展示ブースでは黒川監督が直々にチームの歴史や概況を説明した

 自転車競技部にとって“トラの穴”ともいえる自転車倉庫では、創部から20年間の歴史を振り返るコーナーが設けられ、これまで全国優勝した47選手・272勝の全データや、32本の日本記録、年表などが掲示された。また、同部が2002年に日本の大学スポーツ界初の試みとして導入した「スポンサー広告入りウエア」が年代順に展示された。

 また倉庫の一角では、この1年間の活躍を振り返る専門誌・新聞などの切り抜き展示コーナーが設けられたほか、最近放送された自転車部関係の動画が大型スクリーンで見られるカフェも開設された。

雑誌で取り上げられたいくつもの記事は、部員によってラミネート加工が施され紹介された雑誌で取り上げられたいくつもの記事は、部員によってラミネート加工が施され紹介された
カフェで放映されていた映像に見入るキャノンデール・ジャパンの池田新ゼネラルマネージャーカフェで放映されていた映像に見入るキャノンデール・ジャパンの池田新ゼネラルマネージャー

 このカフェには日本学生自転車競技連盟の矢内利政前会長、隣接する肝付町の永野和行町長や、スポンサー、メディア関係者などが入れ替わり訪れ、黒川剛監督と自転車事情について懇談するなど、楽しいひと時を過ごした。

学生が優しく指導 響く子供たちの歓声

記念アーチをくぐるマウンテンバイクのコース記念アーチをくぐるマウンテンバイクのコース

 部員たちはこのイベントに向けて、「いつも応援をして頂いている市民の方々には特に楽しんでもらいたい」と口を揃えて準備してきた。その狙い通り、トレーニング機器の体験や、子供用ランニングバイクの試乗などのコーナーはどこも人気で、多くの来場者が楽しんだ。特に幼児向けのストライダー、小学生向けのマウンテンバイクコーナーでは、一日中子供たちの歓声が響いた。

 中には初めて自転車にチャレンジする子もいたが、部員らから優しい指導を受け、「楽しかった。また自転車に乗りたい」と目を輝かせた。その様子を見守った母親からも、「こんな経験ができて、さらに世界を飛び回る選手達と交流が出来ることは凄くありがたい」と嬉しいコメントが寄せられた。

自転車に乗れない幼児にはストライダーで指導自転車に乗れない幼児にはストライダーで指導
日ごろ部員が汗水を流しているトレーニング機器も、この日は笑顔が生まれた日ごろ部員が汗水を流しているトレーニング機器も、この日は笑顔が生まれた

 小中学生向けのトレーニング機器(watt bike、パワーマックス)体験コーナーは短距離班が担当。この夏、インカレで大活躍した野上竜太(1年)や堀航輝(1年)らルーキーも、スピードコンテストなどで子供達の競争心を盛り立てていた。

 イベントの企画責任者で、幼児・児童部門の担当者でもある入佐直希総務部長(3年)は、「自転車部の活動は沢山の応援を頂いて成り立っています。創部20周年の節目に、スポンサーなどの支援者や市民の皆様へ感謝の気持ちを込めてチャリパラを企画しました」とイベントの目的をアピールし、「もっと自転車を楽しんでもらいたいと考えて企画した幼児・児童コーナーに可愛い子供達が来て楽しんでくれて嬉しいです」と喜んだ。

80人がロードバイクに挑戦

 この日のメーンイベントは、選手らが企画した「ミニサイクリング」。チームのメーンスポンサーでもあるキャノンデール・ジャパンの「試乗会」とコラボレートしての企画で、初心者から経験者まで80人がトライした。

用意された最新の試乗車は合計30台以上用意された最新の試乗車は合計30台以上

 キャノンデール・ジャパンからは池田新ゼネラルマネージャー(GM)をはじめ計6人のスタッフが、30台の試乗車を持ち込んで対応。会場にはたっぷりと用意された高級試乗車が整然と並べられた。また 展示エリアには実際にツール・ド・フランスで使用されたペテル・サガン仕様のバイクも並び、異彩を放っていた。

 ミニサイクリング(=試乗会)への参加希望者は、キャノンデールバイクの特徴についてレクチャーを受けた後、希望のバイクでサイクリングへ出発。石橋学(4年)、徳田鍛造(4年)、徳田優(2年)、山本大喜(1年)ら日本代表として活躍する7人の選手のナビゲートで、大学周辺の絶好のトレーニングコース(5km平坦コース、10km平坦&登坂コース)に挑戦した。

いつまでも信号のない試乗コースは、バイクの性能を確かめる上で最適な条件いつまでも信号のない試乗コースは、バイクの性能を確かめる上で最適な条件

 参加者らは「トレーニング環境がいいね。まさにチャリンコパラダイス!」「自転車部の皆さんの優しい対応や声かけがすごく嬉しかった」「日本代表は強いだけではなく、教え方も上手い」など、走った後も興奮気味だった。

 昨年夏に鹿屋青年会議所のボランティアなどを通じて自転車部のことを知ったという鹿屋市内の高校生、川原田優華さんは友人6人と参加。「このイベントを通じて自転車部の方々と交流ができ、本当に楽しくて素晴らしい経験になりました。試乗会では30万円もする自転車に初めて乗りましたが、最初の不安もいつのまにかワクワクに変わっていき、こんなにも自転車が楽しいと感じたのは初めてです。同世代の皆さんが、世界を駆け回り頑張っている姿を見ると、私はいつもパワーをもらいます。来春卒業すると鹿屋を離れますが自転車部をずっと応援していきたいです」とコメント。友人らも「必ず帰って来るので、来年も開催して下さい」と、イベントの今後の開催にも期待を寄せた。

今年4月にオープンした鹿屋アスリート食堂も、地域のイベントに積極的に協力している今年4月にオープンした鹿屋アスリート食堂も、地域のイベントに積極的に協力している

 大学前に今年4月にオープンし、全国的に話題になった「鹿屋アスリート食堂」でも、アス食提唱者の長島未央子講師(スポーツ栄養学・自転車部OG)が「スポーツ栄養指導」と並行して、自転車部スポンサーの各種製品の試食を兼ねた商品紹介も行った。

 自転車部は、「自転車をメジャーにするための人材育成」を掲げ、日頃から各種イベントの運営ボランティアにも携わっている。部としては初めてのイベントだったが、部員が手慣れていることもあり、無事にトラブルなく終えることができた。

自転車のメジャー化を志し、本物の人材育成へ

 今回のイベント全体を統括した奥村諭志副主将(3年)は、イベントを終えた部員に向け「参加された皆様には十分楽しんで頂くことができ、さらに支援して頂く輪も広がるはずですと声を掛けた。

 創部以来、20年間にわたってチームを率いてきた黒川剛監督は、「20年間応援を下さった皆様に支えられて、チームも選手も僕もこの地域の自転車も、成長し続けてきました。選手らも強いだけでなく、一人ひとりに感謝の気持ちと、自転車のメジャー化を志す想いが育まれています。学生だけでこうしたイベントを創造できることが嬉しいですね。このイベントは地域の自転車への理解を拡大させるだけでなく、部員たち自身もさらに成長し、本物の人材育成につながると思っています。今回は大学スポーツの新しい活動モデルを提案することが出来たと満足しています」と、イベントに込められた大きな意味合いを語った。

 自転車部では、メーンイベントとなる試乗会を軸に、キャノンデール・ジャパンの協力を得られるなど条件が整えば、来年以降もこの「鹿屋チャリンコパラダイス」を継続開催する方針を決めている。また、自転車部の年間活動報告会を12月14日に鹿屋市内で、3月8日には東京都内で開催する。ファンの皆さんの参加も可能。問い合わせは鹿屋体育大学自転車競技部 広報部まで。

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