工具はともだち<61>“やせ細る”原因は過剰な締め付け ねじが正しく伸縮できる「弾性域」とは

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 「ねじって伸びてるんです」というのが、前回のお話でした。人間にとって身体を伸ばすことといえばストレッチですが、就寝前に5分間ほどストレッチをすると、基礎代謝が上がり、ダイエットにつながるとか。健康的に痩せるということはよいことだと思いますし、私も体重が減ったことで健康診断の結果がよくなるなど、恩恵をけっこう感じたりしています。代謝が落ちるこれからの季節は、ストレッチを続けたいものですね。リバウンドは避けたいですから。

ねじのトラブルは「締め付けすぎ」が多数

トルクを計測できる計測機器類トルクを計測できる計測機器類

 ねじには、適度な伸びと戻りが必要です。綱引きのように、お互いがバランスよく引き合う状態が、もっとも良い状態。どちらかのバランスが崩れると、トラブルに繋がってしまうわけですね。

 統計によると、ねじの締め付けに関するトラブルの約70%が、締め付けの不具合。特に必要以上に締め付けて、部品や、ねじそのものの破壊につながっていることが多いようです。

 ねじが緩んでいることによるトラブルは比較的少ないようです。考え事をしながら…だとか、作業の途中で携帯電話に着信やメッセージが来て作業が途中で遮断されてしまった場合に、ねじの締め付けが緩くなってしまうことはあるかもしれません。とはいえ、ねじが緩んでいる状態だと、トラブルの現象が非常にわかりやすく、体感もしやすいですよね。たとえば締め付けが緩くてハンドルがぐらつく場合などは、目に見えてわかります。

ねじは“ダイエット”したら元には戻れない

 では、ねじの締め付けすぎによるトラブルは、なぜ発生してしまうのでしょう?それは力のかけすぎで、ねじが伸びて戻ろうとする領域を超えてしまうため、発生しているのです。

ねじの弾性域と塑性域ねじの弾性域と塑性域

 ねじには、ある一定の範囲内で伸びたり、戻ったりする範囲(弾性域)があります。その範囲の中で伸縮を繰り返すことは、ねじにとっては、バランスよくパーツ類を締め付けている状態です。自転車に使われているねじがこのような状態なら、走行中のパーツ破損や脱落のトラブルの可能性は、かなり少ないといっていいでしょう。

 しかし、その弾性域を超えた締め付けをねじに繰り返し行った場合、ねじはどんどん“ダイエット”を進め、本来のサイズよりもやせ細ってしまいます。そして、このダイエットは、リバウンド知らずなんです。

 弾性域から外れてしまったねじは、どんどん伸びて痩せる変形(塑性)を繰り返し、最終的には破断、破壊に至ってしまいます。人間であれば、リバウンドすることもあります。必要以上にストレッチを繰り返した場合も、痛みが発生し、やめようとする意識が働きますので、こういったことは防げます。

 しかし、ねじにはそのような機能や意識は、もちろんありません。伸びてしまったら、伸びっぱなしになってしまいます。そしてどこまで伸びるのかを判断しづらいということがトラブルの原因なのです。

 そのために、トルクを計測して、適正な範囲で締め付けられるようにした工具が存在しています。

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メンテナンスの際に、トレーがあると小さいパーツもなくなりませんメンテナンスの際に、トレーがあると小さいパーツもなくなりません

 皆さん、メンテナンスの際に、ねじをなくして困ったことはないですか?ねじを取り扱ううえで便利な、KTC(京都機械工具)のアイテムを紹介したいと思います。外したねじをプロのように“カッコよく散らかす”には、トレーがおすすめですよ。スチール、アルミ、シリコン製など、いろいろありますので、下記リンクからご覧くださいね。

 また、KTCが運営する「となりのガレージ」というコミュニティサイトもありますので、使った感想をこちらに投稿していただけたら非常にうれしいです。

小池覚(こいけ・さとる)

KTC(京都機械工具)へ入社後、販売企画や商品開発に携わる。学生時代から二輪、四輪が趣味で、整備経験が豊富。自転車は実は始めたばかりだが、工具のプロとして、サイクリストにも整備の“いろは”を伝えることに燃えている。

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