野辺山・全日本を控え特別インタビュー欧州シクロクロス界でも注目される竹之内悠 「恵まれた環境でやっている、勝つしかない」

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 シクロクロス全日本チャンピオンの竹之内悠は現在、ベルギー籍のコンチネンタルチーム「ベランクラシック・ドルチーニ」で活動する。これまで竹之内は、ロードレースとシクロクロスの両立という難しい課題に挑戦し、自転車競技の本場ベルギーを拠点に奮闘を続けてきた。今季はロードシーズンを早めに切り上げ、10月中旬からヨーロッパのシクロクロスレースを転戦。そして全日本シクロクロス選手権(12月14日)の4連覇に向けて、いよいよ日本でのレースに挑む。(田中苑子)

ベルギー・コクサイデのUCIワールドカップ第2戦、今年も東洋フレームのバイクを駆る竹之内悠 =11月22日(田中苑子撮影)ベルギー・コクサイデのUCIワールドカップ第2戦、今年も東洋フレームのバイクを駆る竹之内悠 =11月22日(田中苑子撮影)

不調のロードシーズン 早期切り上げを決断

チームバスでリラックスする竹之内悠(田中苑子撮影)チームバスでリラックスする竹之内悠(田中苑子撮影)

 今年2月、新しいシーズンの始まりを、新しい所属チームのスペイン合宿で慌しく迎えた竹之内は、「気持ちが焦ってしまった」と振り返る。実際、2月にオランダで開催されたシクロクロス世界選手権を終えて帰国し、東京・お台場で行われた「シクロクロス東京」に出場した後、急いで渡欧。スケジュールにも、自身の精神にも余裕のない状況でロードシーズンを迎えたのだった。

 コンチネンタルチーム所属とはいえ、ロードレースでは多くのプロチームが参戦する「UCI1クラス」のレースがスケジュールに組み込まれていた。竹之内は、「シクロクロスシーズンを終えてから、しっかりとした休息が取れなかった。調子は優れず、レースでは何もできなかった。棒に振ったようなロードシーズン」と、厳しい一年だったことを打ち明けた。

“砂の名所”ベルギー・コクサイデのUCIワールドカップで急坂を駆け上る竹之内悠 =11月22日(田中苑子撮影)“砂の名所”ベルギー・コクサイデのUCIワールドカップで急坂を駆け上る竹之内悠 =11月22日(田中苑子撮影)
下り坂を攻める竹之内悠 =11月22日(田中苑子撮影)下り坂を攻める竹之内悠 =11月22日(田中苑子撮影)

 さらに、膝の故障に苦しめられ、「このままロードシーズンを最後まで走ったら、全日本を走れないのではないか」と不安もよぎったという。そこでロードシーズンを早めに切り上げることを決意。9月に一時帰国して機材などの準備を整えると、10月初めに再びベルギーに戻り、ヨーロッパでの本格的なシクロクロスシーズンの開幕に合わせて、竹之内もシクロクロス参戦へと切り替えた。

成績も気持ちも上向きに

 所属チームのベランクラシック・ドルチーニは竹之内に対し、メカニック、マッサーらの派遣やキャンピングカーなど、欧州シクロクロスシーンで戦うための環境を用意している。「チームからシクロクロスでの成績が期待されていることも、自分の決断を後押しした」と竹之内は話す。

砂の坂道で押すか、担ぐか? 日本チャンピオンジャージを着て走る竹之内悠 =11月22日(田中苑子撮影)砂の坂道で押すか、担ぐか? 日本チャンピオンジャージを着て走る竹之内悠 =11月22日(田中苑子撮影)
コクサイデのコースはまさに砂地獄。あえぎ苦しむ選手たちを、鈴なりのギャラリーが大声援で後押しする =11月22日(田中苑子撮影)コクサイデのコースはまさに砂地獄。あえぎ苦しむ選手たちを、鈴なりのギャラリーが大声援で後押しする =11月22日(田中苑子撮影)
レース前、コーチのペドロ・ベーラン氏(右)とともにバイクのセッティングや戦術を確認する竹之内悠(田中苑子撮影)レース前、コーチのペドロ・ベーラン氏(右)とともにバイクのセッティングや戦術を確認する竹之内悠(田中苑子撮影)

 10月以降のシクロクロスのレースでは、世界選手権などを見据えて「ポジションや走り方などを模索しながら走ってきた」という竹之内。その甲斐もあってレースを重ねるごとに成績は上向き、11月初めには「厳しいと思っていた」と明かす所属チームとの契約更新も無事に決まった。本場のシクロクロスレースに挑む日本人選手として、大会主催者やメディアから注目されることも増え、調子はようやく良くなってきた。

 さらに、契約更新によって「来季のシクロクロスシーズンを見据えることもできるようになった」と語るなど、気持ちの面でも落ち着きを取り戻したようだ。チームからは、今まで以上にシクロクロスでの活動を大きく評価され、期待も高まっているという。

信頼を寄せるコーチのペドロ・ベーラン氏(右)と竹之内悠(田中苑子撮影)信頼を寄せるコーチのペドロ・ベーラン氏(右)と竹之内悠(田中苑子撮影)

 また最近になって、元選手で、ベルギーのシクロクロス界の“英雄”スヴェン・ネイスらと一緒に走ってきた経験をもつコーチ、ペドロ・ベーラン氏と巡り会えたことも来季への大きな弾みになっているという。

 「反省点は多いけれど、そこから学ぶことも多い。最後になってうまくまとまったようなシーズンだった。とはいえ、自分の結果がいいわけではなく、去年と比べて走れているのかといえば全然そうではない。でもそれは割り切って、世界選手権や来年のシクロクロスシーズンを見据えてやっていきたい」

勝つために日本へ帰る

 ベルギー北西部の“砂の名所”コクサイデで11月22日に開催されたUCIワールドカップ第2戦では、42位。その後、野辺山シクロクロス(11月29、30日)や全日本選手権に参戦するため23日には日本へ帰国の途に就いた。

 「コクサイデでの結果は良くなかったけれど、2012年の世界選手権でコクサイデのコースを走ったときよりも感覚は良かった。今回はリズムをつかんで追い上げていけた。海外の砂でこれだけこなせたのは収穫。踏めていた。いい気持ちで帰国できるし、またそのあとのベルギー・ナミュールのワールドカップ(12月21日)もすごく楽しみ」

レース会場でコーチのペドロ・ベーラン氏と談笑する竹之内悠(田中苑子撮影)レース会場でコーチのペドロ・ベーラン氏と談笑する竹之内悠(田中苑子撮影)
コクサイデで厳しい砂のレースを42位で終えた竹之内悠 =11月22日(田中苑子撮影)コクサイデで厳しい砂のレースを42位で終えた竹之内悠 =11月22日(田中苑子撮影)

 日本では今週末の野辺山シクロクロス、12月7日の関西シクロクロス第5戦を走って、14日に4連覇をかけた全日本選手権に出場する。竹之内は「勝つことしか考えていない。誰がどうとか、そういうのはいっさい気にならない。自分には本場のレースで戦わせてもらえる環境がある。恵まれた環境でやっているのだから、自分が勝つしかない。勝つために帰る、それだけです」と勝利への貪欲さを露にした。

田中苑子
田中苑子(たなか・そのこ)

1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。


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