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栗村修の“輪”生相談<36>17歳男性「自転車には公務員で仕事をしながら活躍する人はいるのでしょうか?」

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今年17歳になる高校2年です。

 高校で新しく自転車部を創設してロード練習しながら休日は地元のクラブで練習しています。社会人になってからも自転車を続けてレースで勝ちたいと思っているのですが、疑問があります。

 マラソンでは公務員ランナーが活躍されていますが、自転車には公務員で仕事をしながら活躍する人はいるのでしょうか? そういう方は日本代表としてレースに出場することは可能ですか? また、公務員だけでなく一般的に仕事をしながら代表になられてレースに出られている人はいますか?

 よろしくお願いします。

(17歳男性)

 社会人レーサーが活躍している、近年のレース情勢を反映したご質問ですね。残念ながら、今の日本でプロ選手を目指すことには様々なリスクがあるため、働きながらレース活動をする、というのは現実的な選択かもしれません。重要なご質問をありがとうございます。

 えー、ですが、お答えする僕は高校を中退し、いきなりフランスに渡るという大変チャレンジングな人生設計で生きてきた人間ですので、回答者として適任かどうかは正直、微妙です。ですので、僕が見てきた周囲のケースも含めてお答えしましょう。

 まず結論から言いますと、公務員であっても民間企業のサラリーマンであっても、レース活動と仕事との両立は可能です。そういう人が、国内トップレベルの結果を残した例はたくさんあります。

小坂光選手(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)は、親子2代の“公務員トップレーサー”小坂光選手(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)は、親子2代の“公務員トップレーサー”

 有名なところでは、去年まで僕が監督をしていた宇都宮ブリッツェンシクロクロスチームの小坂光選手(ロードレースでは那須ブラーゼン所属です)。宇都宮の市役所に務めながらも、2年連続で全日本シクロクロス選手権で2位に入っています。今年はどうでしょう?

 小坂選手は、ブリッツェンの発足メンバーでもありました。その頃の彼はまだ大学生でしたが、就職の道を選び、今に至ります。もともとプロになる意思はありませんでしたが、しかしやはり、就職の段階では悩んだようです。でも、今は見事に仕事とトレーニングのリズムというんでしょうか、両者を両立させる方法を確立し、活躍しています。ちなみに、彼のお父さんも、日本のシクロクロスの創成期から活躍している公務員レーサーです。

 競技時間が短いシクロクロスは短時間高強度のトレーニングでいいから、仕事と両立できるんでしょ、という方もいるかもしれません。が、ロードレースに目を転じると、イナーメ信濃山形という社会人チームが活躍しています。ときには、プロを喰う事さえある強豪チームです。

森本誠選手(イナーメ信濃山形)森本誠選手(イナーメ信濃山形)

 強い選手が多く所属していますが、代表はやはり高岡亮寛選手と、森本誠選手でしょう。このお2人は仕事をしながら、文字通り国内トップクラスの走りを見せていますが、バックボーンは異なります。大学時代にインカレを勝った経験もあるエリートレーサーである高岡選手は、就職と共にいったん競技から退き、数年後にカムバック。一方の森本選手は、もともとは競技経験がなく、仕事をしながらレースをはじめた経歴の持ち主です。昨年プロに転向しましたが、今年はまた社会人レーサーとして活躍中です。

 要は、ロードレースでも国内トップクラスでの活躍は可能だということですね。ただ、質問者さんがおっしゃる日本代表レベルとなると、仕事を持つ方が選ばれるケースは多くはありません。社会人ではダメというルールがあるわけではないのですが、実際問題、合宿や遠征に時間を割かなくてはいけませんから、仕事との兼ね合いは難しいでしょう。

 また、国内トップレベルで戦うことができても、世界を相手にするとなると話が変わってきます。世界選手権やオリンピックでは、強さだけではなく、豊富な海外でのレース経験なども求められます。国内のプロですらなかなか選ばれないくらいですから、簡単ではないと思います。

(編集 佐藤喬・写真 米山一輝)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会副ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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日本ナショナルチーム 栗村修の“輪”生相談

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