サンケイスポーツ記者がレポート空を飛んでいるような爽快さ 7200人が走った「サイクリングしまなみ」で海道の魅力満喫

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 日本で唯一、開通・供用している高速道路を通行止めにして行われる自転車イベント「サイクリングしまなみ」は、日本最大規模の国際サイクリング大会だ。10月26日、約7200人が瀬戸内の島々と橋を駆け抜けた。記者は愛媛県今治市から広島県尾道市まで、県境を越えて海道を縦断するAコース(65km)に出場した。

(サンケイスポーツ大阪編集局 山本敏之) 

第1エイド瀬戸田PAに到着するサイクリスト第1エイド瀬戸田PAに到着するサイクリスト

飛行機とサイクルトレインで楽々しまなみへ

 しまなみ海道は、米CNNの旅行情報サイトで「世界で最も素晴らしい7大サイクリングコース」の1つに選ばれた、いわば日本の“サイクリストの聖地”。記者は大会の10日前、しまなみ海道を取材してこいと上司から言い渡された。しかも、イベントを走りながら写真を撮り、話を聞かなければならないとのこと。初めての経験であり、なかなかきつい業務命令だ。

 記者自身、サイクリストとはいえ、「乗鞍」でヒルクライムの最高峰を制覇し、イベントで400km超の長距離(3日間)を走ったのは大昔のこと。いまではメタボ・サイクリストと化している。重い足取りで四国に向かった。

四国にはお遍路さんにおもてなしの心が、松山空港にはサイクリストへのおもてなしの心がある四国にはお遍路さんにおもてなしの心が、松山空港にはサイクリストへのおもてなしの心がある

 実は過去に2回、鉄道とフェリーで今治に入ってしまなみ海道を走ったことがある。しかし今回は「業務命令」による取材ということもあり、一番快適な空路を利用した。大会前々日、自転車で自宅を出発し、リムジンバス乗り場で自転車を輪行袋に入れ、伊丹空港では出発ロビーの手荷物カウンターで輪行袋を預けるだけ。これが列車なら、混雑時の輪行袋持込はマナー違反ということになり、いろいろと難しいので、飛行機の移動の方が安心だ。伊丹~松山間はわずか50分、移動時間は鉄道やフェリーと比べるべくもなく、速い。その分、サイクリング&観光の時間が大幅に増えた。

松山空港に到着。わずか50分のフライトだった松山空港に到着。わずか50分のフライトだった
大会前日、来島海峡大橋を見学。さあ、がんばるぞ大会前日、来島海峡大橋を見学。さあ、がんばるぞ
今治駅に到着したANAサイクリングチーム今治駅に到着したANAサイクリングチーム

 大会当日の朝、松山からはJRのサイクルトレインでスタート地点の今治に向かった。自転車をそのまま列車に積み込めるので楽ちんだ。同乗していたANAサイクリングチームの松尾咲奈さんは、「普通の電車に自転車を乗せるなんて、すごい体験。非日常感たっぷりですね」と笑顔をみせた。この方法なら、大人数のグループで参加しても一緒に乗車・移動できて楽しそうだ。

 一方、ミニベロで参加した栃木の阿萬さんと高橋さんは、ツアーで申し込んだとのこと。「ツアーであれば、大会のエントリー、往復の飛行機、宿泊ホテルやサイクルトレインの予約が1回の手続きで済むので便利でした」と話した。

サイクルトレインでご機嫌の記者サイクルトレインでご機嫌の記者
栃木の阿萬さんと高橋さんはツアーで参加 サイクルトレインの車内栃木の阿萬さんと高橋さんはツアーで参加 サイクルトレインの車内
サイクルトレインの車内サイクルトレインの車内

「橋を造った」参加者との出会い

スタート地点でスポーツキャスターの中山明日実さんと健闘を誓ったスタート地点でスポーツキャスターの中山明日実さんと健闘を誓った

 出発地点の今治に到着した時には、すでに会場はサイクリストで埋め尽くされていた。イベントブースを一緒に取材したスポーツキャスターの中山明日実さん(27)とスタート前、お互いの健闘を誓い合った。キュートな彼女はバスケでアメリカ留学をしたアスリートだが、自転車は初心者。スポーツ記者の私は、メタボでもサイクリスト歴は長い。負ける訳にはいかない。スタート直後に明日実さんを見失ったが、笑顔の力走は11月12日(水)午後11時55分からのBSフジ「カンニングのDAI安☆吉日!」で放送される。しまなみ海道を走った方も、これから走る方も必見!

Aコースのスタート直前の光景Aコースのスタート直前の光景

 記者のグループは午前7時30分にスタート。高速入り口からいきなり勾配4%の坂道が続くが、スタート直後なので軽く上れた。トンネルを抜けてしばらく進むと、来島海峡大橋だ。世界初の3連吊り橋は、しまなみ海道で一番長い全長4105m。この4kmの道のりは、青い海と空に包まれ、まるで自転車で空中を飛んでいるようで爽快だ。高速道路といっても、歩行者道が併設されており、沿道からの応援に勇気づけられた。

トンネルはオレンジの光の中を走るトンネルはオレンジの光の中を走る

 一般道のトンネルは暗くて不気味なことも多いが、しまなみ海道では明るいオレンジの光の中を進んだ。出口に異次元の世界が待っているような、不思議な感覚に陥った。平坦な道だと思っていたが、軽いアップダウンがあって、記者としては好きなコース。上りは疲れるが下りは気持ちいい。

 そうこうしている内に、伯方・大島大橋を通過、ここまでで総距離の3分の1が経過、そしてすぐに大三島橋。信号も交差点もない自動車専用道で、快調に距離を稼ぐ。愛媛、広島県境をまたぐ多々羅大橋を渡ってすぐに、第1エイドの瀬戸田PAに到着した。

来島海峡大橋を駆け抜けるサイクリストたち来島海峡大橋を駆け抜けるサイクリストたち
多々羅大橋を走るサイクリスト多々羅大橋を走るサイクリスト

 ここは多々羅大橋を眺める絶好のビューポイントだ。補給食に広島土産の代表「もみじ饅頭」が出た。日頃、メタボ気味の記者は甘い物を控えているが、ここまでにカロリーを大量に消費しているので、おいしくいただいた。こしあんの甘さが体に優しい。しまなみを走るサイクリストにとって、この日、この場所で食べる「もみじ饅頭」が最高のごちそうだと思う。

 それに、生口島はレモンの産地。新鮮なレモンをかじった。爽快感がたまらない。すでに体力の限界に近づいていたが、一気にリセットされた。

第1エイド瀬戸田PAの補給食第1エイド瀬戸田PAの補給食
第1エイド瀬戸田PAのレモン第1エイド瀬戸田PAのレモン
もみじ饅頭にニッコリの記者もみじ饅頭にニッコリの記者
「長大」社員の富所康子さん、加藤夕依さん、原田雅美さん「長大」社員の富所康子さん、加藤夕依さん、原田雅美さん

 ミカンを口に運んでいた加藤夕依さん、富所康子さん、原田雅美さんに味をたずねると、「とても甘くておいしい」とかわいい声で応じてくれた。そして「多々羅大橋は私たちが造ったのです」と言う。詳しく聞くと、彼女らは橋を設計した「株式会社 長大」の社員で、名古屋や大阪から集まって出場しているとのこと。近くにいた社員にも集まってもらって、多々羅大橋をバックに写真を撮らせてもらった。「自分の造った橋を走るのは格別」「最高です」「風になりました」と思い思いに喜びの声を上げていた。

「長大」の社員が自分の造った多々羅大橋をバックにハイポーズ。笑ってチョウダイ「長大」の社員が自分の造った多々羅大橋をバックにハイポーズ。笑ってチョウダイ

美しい景色と声援が後押し

 ついつい長居してしまった瀬戸田PAを再スタートし、5番目の橋となる生口橋を渡ると、因島南ICで高速道走行は終わり。ここからサイクリングロードで尾道を目指す。車道にはブルーラインで自転車の進路が示されているので、方向音痴の私でも安心して進める。海のすぐ近くを走り、絶景が続く。因島大橋への最大の上り坂は心が折れかけたが、周りのサイクリストに励まされ上りきった。因島大橋は2階建てで、自転車は1階を走る。鉄骨に囲まれた中を進むと、未来に向かっているようだった。

交通案内板も参加者をお出迎え交通案内板も参加者をお出迎え
ブルーラインのおかげで方向音痴でも安心。残り距離も分かりますブルーラインのおかげで方向音痴でも安心。残り距離も分かります
因島大橋に向かう上り坂は最大級の難所因島大橋に向かう上り坂は最大級の難所
因島大橋は鉄骨に囲まれて走る。まるで宇宙ステーションのようだ因島大橋は鉄骨に囲まれて走る。まるで宇宙ステーションのようだ
海岸線の絶景を望みながら走る海岸線の絶景を望みながら走る
因島大橋を背に記者の記念写真因島大橋を背に記者の記念写真

 最後は渡し船で尾道に到着。多くの自転車仲間とともに記者も笑顔でゴールした。走りきれるかどうか心配していたが、美しい景色、声援や多くのボランティアに助けられ、しんどかったけど本当に楽しかった。

尾道に向かう渡し船尾道に向かう渡し船
渡し船で尾道に到着したサイクリストたち渡し船で尾道に到着したサイクリストたち
完走した藤武さん夫妻。東京から参加した完走した藤武さん夫妻。東京から参加した

 東京から夫婦で完走した藤武さんにゴール直後の気持ちを聞いた。ご主人は「妻の脚力を心配していましたが、2人で完走できたのがうれしい」と愛妻をいたわる言葉。奥さんは「沿道の応援と、初めて来た四国の美しさに感動しました。来年も2年後も3年後も走りにきたいです」。お2人は松山にもう1泊するとのこと。サイクリングで夫婦円満だ。

 イベントはこの日だけだが、上級者でも初心者でも、カップルでも親子でも、しまなみのサイクリングコースはいつでも楽しめる。

ゴール地点は「みなとオアシス尾道」ゴール地点は「みなとオアシス尾道」

◇         ◇

 ANAセールスではWEB限定ツアー「瀬戸内しまなみ海道サイクリングツアー 松山道後温泉スペシャル3日間」(羽田発41,000円~112,000円)を募集している。週末中心で11月23日まで。

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