SankeiBiz【企業とスポーツ 2020東京へ】(下)より五輪を機にスポーツ文化醸成へ「先駆け」を期待 自転車社会の整備も牽引するブリヂストン

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植え込みを境に歩道(右側)から分けられた自転車専用レーン =2014年7月8日、東京都墨田区植え込みを境に歩道(右側)から分けられた自転車専用レーン =2014年7月8日、東京都墨田区

 オリンピック・パラリンピックの開催は街を変える。

 1964年の大会は東京を、日本を大きく変えたことは言うまでもない。計画が進む2020年大会は次代の東京、日本をどう創り変えていくのか。組織委員会だけでなく、民間主導でもレガシー(遺産)創設に向けた動きが進められている。

「専用道路」も現実味

 三菱総合研究所が主催するレガシー共創会には100社近い企業、自治体などが参画、20年までとそれ以降の日本社会の変革について検討を加えている。そこから新たな自転車社会の創出もテーマにあがった。「いまさら自転車」と感じるかもしれない。しかし、ここ何年かの健康志向と環境への関心の高まりから、改めて人々の意識が自転車に向いてきた。

 東京都知事、舛添要一は「自転車専用道路の整備」を公言している。競技会場や選手村など関連施設での活用もさることながら、開催を機に東京の中心部に専用道路をつくり、環境に配慮した新時代の移動手段、スポーツ環境の中核としての基盤整備を試みようという。

公式スポンサー契約を締結したブリヂストンの津谷正明CEO(左)と握手するIOCのトーマス・バッハ会長 =2014年6月13日午後、東京都内のホテル(共同)公式スポンサー契約を締結したブリヂストンの津谷正明CEO(左)と握手するIOCのトーマス・バッハ会長 =2014年6月13日午後、東京都内のホテル(共同)

 「我々としても自転車をめぐる環境の整備は大いに望むところ」。ブリヂストン常務執行役員の武濤(たけなみ)雄一郎は期待感をにじませる。何しろ国際オリンピック委員会(IOC)の最高位スポンサーとなったブリヂストンのカテゴリー3つの内の一つが自転車にほかならない。いや自転車をカテゴリーとして契約したことに、この会社の進取の精神が感じられる。

 「ブリヂストンと自転車の関係は深い」と武濤はいう。関連会社にブリヂストンサイクルがあり、前身のブリヂストン自転車がブリヂストンタイヤから分離独立したのが1949年。第二次世界大戦終戦から4年後のことだ。自転車のタイヤに加えて自転車車体の製造を始めた。自転車時代の到来を意識した機敏な動きだと言っていい。

 64年大会ではスポーツ界からの要請もあってブリヂストンサイクル自転車競技部を創設、自ら選手を養成するとともにレース活動をサポートしている。

国内外でのレースに参戦する「ブリヂストン アンカー サイクリングチーム」 (ツアー・オブ・ジャパン2014、柄沢亜希撮影)国内外でのレースに参戦する「ブリヂストン アンカー サイクリングチーム」 (ツアー・オブ・ジャパン2014、柄沢亜希撮影)

 自転車競技部は国内外の競技大会で活躍し、数多くのオリンピック選手を輩出し自転車競技を牽引(けんいん)してきた。現在は「ブリヂストンアンカー サイクリングチーム」としてプロ化し、トラックからロードレース、マウンテンバイクの国内、海外レースに参戦。傍らジュニア選手の育成や地域社会の自転車への理解を深める普及活動にも力を入れている。

社内に“土壌”充満

 企業のスポーツ支援には理由がある。歴史的にみると、まずは社員への福利厚生や一体感の醸成、士気の高揚が始まりだった。例えば紡績工場での女子社員間でのバレーボールの普及、都市対抗野球に象徴される企業内野球部活躍の背景に帰属意識の高まりへの期待感があった。いわゆる労務対策である。

フランスを拠点に活動をする「ブリヂストン アンカー サイクリングチーム」 (2014年4月、柄沢亜希撮影)フランスを拠点に活動をする「ブリヂストン アンカー サイクリングチーム」 (2014年4月、柄沢亜希撮影)

 その後、企業対抗戦の成長がマスコミの注目を浴びて広告・宣伝媒体としての存在感に移っていく。企業経営への活用、リクルート活動の円滑化など副作用も生まれた。さらにプロスポーツへの資本参画やイベントスポンサーとしての活動に発展、スポーツビジネスへの意識も育まれていった。

 ブリヂストンはスポーツを上手に社内に溶け込ませていった企業の一つと言っていい。

 ここでは自転車を取り上げたが、すでに企業化しているゴルフ、テニスへの取り組み、全米でのアメリカンフットボールNFLやアイスホッケーNHLへの支援、南米でのサッカー支援から地域のマラソン大会や学童スポーツ大会支援に至るまで、「社内にはスポーツ土壌が充満している」と武濤。オリンピック参画はその集大成である。

 ポスト2020年、日本はスポーツ文化の醸成で変わるだろう。ブリヂストンに先駆けとなってもらいたい。そう考えるのは私一人ではあるまい。 =敬称略

(産経新聞論説委員 佐野慎輔) 

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