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RENの「自転車のススメ」<11>滑走路を疾走する驚きと喜び 「益田I・NA・KAライド」でネオ・田舎を堪能

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 JR益田駅前のオシャレなホテルは快適そのもので、最高な環境で眠ることができました。スッキリと気持ちの良い目覚め。そしてサンシェードの隙間から、キラリとまぶしい朝日が差し込んでくる。

 「やった! 走れる!」

 とっても長かった“乗り鉄”の旅が前夜で終わったことは、少し寂しい気もしますが、いよいよこの旅のメーンイベント「2014 益田 I・NA・KAライド」に参加できるのです。

信じられますか? ここは滑走路。島根県益田市で開催された「2014益田 I・NA・KAライド」に参加してきました。信じられますか? ここは滑走路。島根県益田市で開催された「2014益田 I・NA・KAライド」に参加してきました。

 Cyclist読者の皆さんは、1年前のこのイベントのことを覚えていらっしゃいますか? 前回大会は残念ながら台風15号の影響で中止となってしまいましたね。ですが、今年は予定通りの開催となりました。大雨で線路の下の土砂が流され不通となっていたJR山口線も、予定より早く復旧し、8月に全線開通していました。本当に良かった!

美しい芸術文化センターから出発

赤瓦は、ここ島根県の名産品です。この赤瓦を壁に使用した芸術文化センター「グラントワ」美しい!赤瓦は、ここ島根県の名産品です。この赤瓦を壁に使用した芸術文化センター「グラントワ」美しい!

 午前6時。スタート地点は、島根県益田市のメーンストリート沿いに建つ県芸術文化センター「グラントワ」。駐車場には340人の参加者が集まっています。前日の気まぐれな天気とは違い、この日は雲一つない晴天。もう雨の心配はなさそうです。

 中国地方の日本海側という場所柄、近隣の県や関西地方の参加者が多いそうですが、私と同じく関東からの参加者もチラホラ。羽田からの航空便が1日2往復あり、意外にアクセスが良いのです。早期割引を使えば安く移動出来ますしね!

 あ、もちろん鉄道マニアの私としては、青春18きっぷがオススメですけど!(笑)

 さて、今回はロングライドのイベントですが、私はシングルギアのバイクで参戦です。アイアンマンに出場してから厳しい事にチャレンジするのが快感になったのです…うふふ。(と言いつつ、少々無理をしていたらしく、イベント後に風邪をひいてしまった事をここで告白します。泣)

 大会にはゲストライダーとして、元プロロードレーサーで現在は自転車ショップ「バイシクルファクトリーヤマモト」を営んでいる山本雅道さんと、奥様で元バレーボール日本代表益子直美さんも参加し、盛り上げてくれます。

スタートを待つ参加者達。レースではない穏やかな空気が流れる。天気予報は晴れ。崩れる心配はなさそうだスタートを待つ参加者達。レースではない穏やかな空気が流れる。天気予報は晴れ。崩れる心配はなさそうだ
山本雅道さんと益子直美さんご夫妻。仲睦まじくハッピーオーラ満開でこちらまで嬉しくなりますね山本雅道さんと益子直美さんご夫妻。仲睦まじくハッピーオーラ満開でこちらまで嬉しくなりますね
左からアイカワショウさんと谷口正洋さん。お二人はエキップアサダのインストラクター。浅田イズム継承者だ!左からアイカワショウさんと谷口正洋さん。お二人はエキップアサダのインストラクター。浅田イズム継承者だ!
ガイドライダーの皆さん。地元の方が大多数を占める。協賛各社のロゴ入りジャージが本格的でカッコイイ!ガイドライダーの皆さん。地元の方が大多数を占める。協賛各社のロゴ入りジャージが本格的でカッコイイ!
島根県警の白バイ隊。一般道を使用するイベントはデリケートな問題に発展しやすいもの。警察の協力なくしては実現できない島根県警の白バイ隊。一般道を使用するイベントはデリケートな問題に発展しやすいもの。警察の協力なくしては実現できない

滑走路へ飛び出す異次元の体験

まぶしい朝日を浴びて一斉にスタート。交通規制を敷いてくれているのでトラブル無くスムーズにまぶしい朝日を浴びて一斉にスタート。交通規制を敷いてくれているのでトラブル無くスムーズに

 午前7時、メーンストリートを通行規制してイベントはスタートしました。

 先頭では島根県警の白バイ2台が20km/hほどのゆっくりしたスピードで先導し、まずは最初の目的地になる萩・石見空港を目指します。

 こうしたサイクリングイベントでは、地元の方々が手を振ってくれるのが嬉しいものです。この日の益田市内は「何事だ!? 何かの国際大会か?」と思わされるような歓迎ぶり。沿道の民家の前では家族総出の応援を受け、こちらが照れ臭くなるほどの盛り上がりでした。

 ほどなく萩・岩見空港が近づいてきました。ここでも地元のブラスバンドの盛大な歓迎を受け、空港のロータリーを駆け抜けます。先導の白バイ隊とはここでお別れし、その先は“未知との遭遇”。なんと現役で使用中の滑走路を走行するのです。

益田のメーンストリートを行く。道幅が大変広く安心して走行できる。路面は限りなくフラット益田のメーンストリートを行く。道幅が大変広く安心して走行できる。路面は限りなくフラット
空港では地元学生のブラスバンド部が熱い演奏でお出迎え空港では地元学生のブラスバンド部が熱い演奏でお出迎え
参加者の皆さんが滑走路になだれ込む。つい先ほど飛行機が飛び立った場所だという!参加者の皆さんが滑走路になだれ込む。つい先ほど飛行機が飛び立った場所だという!
雲海と青空。そしてここは滑走路。信じられない景色が目の前に。興奮を隠しきれない!雲海と青空。そしてここは滑走路。信じられない景色が目の前に。興奮を隠しきれない!

 目の前に広がるのは、一直線に伸びる滑走路。雲海の上に顔を出した山並み。そして邪魔な建物が一切ない広々としたブルースカイ!

 この景色は…。

 絶句。

 言葉にできません。こんな貴重な体験が出来るなんて!

 参加者の方々は誰もが驚きと喜びに満ち、童心に戻ったような表情でした。

 とはいえ、現役の空港ということで、何か物を落としてしまったり、設備を壊してしまったりすると一大事。

 路面に埋め込まれている誘導灯は、日々とても重い飛行機に踏まれているので頑丈なのですが、滑走路脇の誘導灯は非常に壊れやすい作りだとか。これは、もし飛行機が誘導路から外れてしまっても、タイヤを傷つけないようにとの配慮だそうです。

 空港を開放するのは、簡単なことではありません。主催者の益田市町おこしの会やボランティアスタッフの方々、そして地元の理解のお陰で、こんなに素敵なサイクリング体験ができるのですね。

乗れる物なら何でも好きな私。滑走路に残ったタイヤの跡をじっくりと観察乗れる物なら何でも好きな私。滑走路に残ったタイヤの跡をじっくりと観察
路面からヒョッコリと顔を出しているのが誘導灯。脇にビッシリと並んでいる。絶対に壊さないように!路面からヒョッコリと顔を出しているのが誘導灯。脇にビッシリと並んでいる。絶対に壊さないように!
GoPro(ウェアラブルカメラ)を装着して走行。臨場感あふれる画像。コレは記念撮影に応じているところGoPro(ウェアラブルカメラ)を装着して走行。臨場感あふれる画像。コレは記念撮影に応じているところ
全長2000mの滑走路。参加者の列が延々と続く全長2000mの滑走路。参加者の列が延々と続く
晴天。前日の大雨が太陽光で蒸発し雲海の様に見えたのだろう。滑走路の高さは54m。決して標高が高いわけではない晴天。前日の大雨が太陽光で蒸発し雲海の様に見えたのだろう。滑走路の高さは54m。決して標高が高いわけではない
「ブーーーン」気分は飛行機!「ブーーーン」気分は飛行機!

ネオ・田舎をゆく

 さて、空港を後にして、いよいよ本格的な田舎道に突入します。

 都市圏を自転車で走ると、他の車両の動きを常に予測して進まなきゃならないので、景色を楽しむ余裕なんてありません。しかも、道路の幅は狭く、もし何かあった時に逃げられるスペースは無いですし…。

 それに比べると、益田市の道路は本当にゆったりと作ってある! もちろん狭い部分もあるのですが、交通量が少ないので都市圏の様な煩わしさはありません。ただただ、純粋に走ることを楽しめます。

海岸線の開放感も特筆すべきポイント。序盤ということもあり皆笑顔が溢れる海岸線の開放感も特筆すべきポイント。序盤ということもあり皆笑顔が溢れる
「押し」が入るほどではないが急坂が点在する。もし体力に自信がなくても軽いギアでマイペースで上れば問題なし!「押し」が入るほどではないが急坂が点在する。もし体力に自信がなくても軽いギアでマイペースで上れば問題なし!
沿道からは熱い応援が送られた。大会スタッフが一軒一軒の家庭を訪問し、協力をお願いしたとのこと沿道からは熱い応援が送られた。大会スタッフが一軒一軒の家庭を訪問し、協力をお願いしたとのこと
序盤の難所。つづら折り。距離は短めなので安心してください! クロスバイクの女性も足を着くことなくクリア序盤の難所。つづら折り。距離は短めなので安心してください! クロスバイクの女性も足を着くことなくクリア
首都圏や近郊でもない田舎だからこその景色。車とすれ違う回数はほんの数回だけだ首都圏や近郊でもない田舎だからこその景色。車とすれ違う回数はほんの数回だけだ

 しかも、100km走って信号が無いという驚きのコース設定。ちょっと考えられないスケールですよね。

 それもそのはず、島根県の人口は全国47都道府県中46位というのどかさ。ゆったりとした時間が流れているのです。でも、きちんと伝えたいのは、「田舎ではあるけど、けっして取り残された感じではない」という事。どの民家も外観がとても綺麗で、道路も補修が行き届いています。

 ネオ田舎スタイルとでも言ったら良いのでしょうか? イベント名の「I・NA・KA」という部分にその思いが込められているのかもしれないですね。

今回はピストでチャレンジしてみました。変速ギアが無いと機械抵抗が減り、スルスルと意外にバイクが進みます今回はピストでチャレンジしてみました。変速ギアが無いと機械抵抗が減り、スルスルと意外にバイクが進みます
でもこの様な急斜面は苦手。少々辛くてもリズムを崩さないように走ります。体重を活かしたペダリングを体得しようでもこの様な急斜面は苦手。少々辛くてもリズムを崩さないように走ります。体重を活かしたペダリングを体得しよう
色あせているが、うねりや凹みといった痛みがとても少ない益田の道。走りやすい色あせているが、うねりや凹みといった痛みがとても少ない益田の道。走りやすい
「匹見峡」という渓谷へのアプローチ。だらだらと僅かに登っていく。しっとりかく汗が気持ちがいい「匹見峡」という渓谷へのアプローチ。だらだらと僅かに登っていく。しっとりかく汗が気持ちがいい
益子さんも順調に距離を稼ぐ。手足が長くロードバイクに乗る姿がカッコイイ!益子さんも順調に距離を稼ぐ。手足が長くロードバイクに乗る姿がカッコイイ!

エイドステーションは食べ過ぎ注意

 大会のコースは大まかに分けると、25km、100、160kmと3種類。ロングライドに初挑戦する!という方に是非オススメしたい大会です。何と言っても道が走りやすいというのが魅力。延々と登坂があるコースではないので、クロスバイクでの参加も充分可能だと思います。

 そうそう、長距離を走るためには補給も重要。エナジーバーだけで済ませるのはもったいないので、エイドステーションにタップリと用意された地元の名産品を楽しみましょう。トマトや柚子、鮎の塩焼き…色々とありました。

エイドステーションには立派なバイクラックが。待ちに待った補給タイム!エイドステーションには立派なバイクラックが。待ちに待った補給タイム!
地元で採れた食材が並ぶ。どれも美味しい。これとは別にお昼ご飯もあるので、食べ過ぎには注意ですよ!地元で採れた食材が並ぶ。どれも美味しい。これとは別にお昼ご飯もあるので、食べ過ぎには注意ですよ!
うずめ飯ファンとなった私は、「おかわりできます?」と質問。苦笑いでお断りされました(笑)うずめ飯ファンとなった私は、「おかわりできます?」と質問。苦笑いでお断りされました(笑)
少し辛くたって美味しいご飯にありつければ忘れられます。でもまだ折り返し地点ですからね(笑)少し辛くたって美味しいご飯にありつければ忘れられます。でもまだ折り返し地点ですからね(笑)

 特にオススメなのは「うずめ飯」。一見するとご飯に海苔とわさびが載ったお茶漬けのようですが…ご飯の下にしいたけや豆腐等が隠されています。この地方に伝わる郷土料理で、だしが効いてとっても美味しい! 1年前に食べてハマってしまい、今回はエイドステーションで「おかわりできますか?」と聞いてしまいました。

 皆さんと一緒に楽しく走りましたが、私はプレゼンターを務めるために途中離脱。ゴール地点へ先回りしました。

オシャレ! グラントワの中心に特設ステージが作られ、立派なセレモニー会場と様変わりオシャレ! グラントワの中心に特設ステージが作られ、立派なセレモニー会場と様変わり
県外から参加している人の為に地元のお土産屋さんも協力。石州瓦で作った箸置きなど一風変わったアイテムがずらりと県外から参加している人の為に地元のお土産屋さんも協力。石州瓦で作った箸置きなど一風変わったアイテムがずらりと
シンプルイズベスト! オリーブオイルを絡めたパスタ。素朴な味ですが運動した身体と舌にピッタリな一品シンプルイズベスト! オリーブオイルを絡めたパスタ。素朴な味ですが運動した身体と舌にピッタリな一品
大会に携わっている方々の多さたるや! 街をあげてバックアップしてくれています大会に携わっている方々の多さたるや! 街をあげてバックアップしてくれています

また来たいイベント 来年も期待!

余裕の表情。バリバリのローディーもクロスバイクで自転車の楽しみを感じ始めた人も気軽に参加できるコース。おすすめです余裕の表情。バリバリのローディーもクロスバイクで自転車の楽しみを感じ始めた人も気軽に参加できるコース。おすすめです

 かなりの長距離を走るコースなのですが、参加者の皆さんは帰ってくるのが早い! 信号が少ないので平均速度が速い証拠ですね。完走証を受け取った顔は、スッキリ爽やか。「まだ走り足りないんじゃないですか?」と聞きたくなるほどでした。

 そして女性の参加者が多いことにビックリ! ロードバイクばかりじゃなく、ミニベロ、クロスバイクが多いのもこのイベントの雰囲気を表していますね。

 昨今、スポーツバイクに乗るライダーの増加に比例して自転車イベントの数も増え、一般の方々が自転車イベントに協力する姿勢はより積極的に変化してきていると思います。サイクリストとしては本当に嬉しいですよね。その中でも「益田I・NA・KAライドの主催者・協力者=益田の人々」は、もしかしたら最先端をゆく「温かさ」ではないでしょうか?

 来年の開催も期待しています。益田の皆さま、また行きますね!

大会翌日。益田の知る人ぞ知るオシャレなイタリアンで昼食。日本とは思えない雰囲気のお店と古民家のコントラストがすごい!大会翌日。益田の知る人ぞ知るオシャレなイタリアンで昼食。日本とは思えない雰囲気のお店と古民家のコントラストがすごい!
島根県益田市。相当深いです。あ、そうそう! 大会参加記念グッズはTシャツや柚子サイダー等貰って嬉しいものが沢山でしたよ!島根県益田市。相当深いです。あ、そうそう! 大会参加記念グッズはTシャツや柚子サイダー等貰って嬉しいものが沢山でしたよ!
小林 廉(こばやし・れん)/REN小林 廉(こばやし・れん)/REN

数々のCM・雑誌・ファッションショーで活躍するトップモデル。08年より本格的にスポーツサイクルに乗り始める。自転車媒体で見ない日はないというほどの“乗れるモデル”。アイアンマン北海道完走。特技はウィリー(映像を見る)。身長188cm、体重74kg。千葉県在住。オフィシャルブログ「REN’s World」。取材のお問い合わせはStudioREN(http://studio-ren.jimdo.com)まで

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