宮澤、西谷、別府、新城も逃げて魅せた!【レース詳報】ツール・ド・フランスの英雄が競演 キッテルが力で制したさいたまクリテリウム

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 世界最高峰の自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」の興奮と感動を日本で再現する「2014ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム Presented by ベルーナ」が25日、さいたま新都心の特設コースで行われた。メーンイベントのクリテリウムでは、ゴールスプリントを制したマルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ)が優勝。第2回大会の王者に輝いた。今年のツール・ド・フランス優勝者のヴィンチェンツ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)はポイント賞を獲得。日本の別府史之(ツール・ド・フランス ジャパンチーム)は敢闘賞を受賞した。

クリテリウムメーンレースの上位3人。(左より)2位のサガン、優勝のキッテル、3位のクリツォフクリテリウムメーンレースの上位3人。(左より)2位のサガン、優勝のキッテル、3位のクリツォフ
背の高い建物や開けた空を望めるさいたま新都心(平澤尚威撮影)背の高い建物や開けた空を望めるさいたま新都心(平澤尚威撮影)
さいたまスーパーアリーナ内にもコースが設けられたさいたまスーパーアリーナ内にもコースが設けられた

 レースの舞台は、さいたま新都心中心部に設けられた1周約3.1kmの周回コース。ヘアピン・コーナーを含むテクニカルなレイアウトが特徴で、さらに今年は、主要会場であるさいたまスーパーアリーナ内を貫通するルートが設定された。またゴール地点の1km手前、JRの線路をくぐるアンダーパスを抜けたところが山岳賞ポイントとなり、ゴール前は約500mのロングストレート。スプリントになれば激しいポジション争いが、数名の逃げになれば目の離せないスリリングな駆け引きが見られるレイアウトだ。

第1コーナーを抜けてアリーナ内へと進む第1コーナーを抜けてアリーナ内へと進む
沿道を埋め尽くす観客たち(平澤尚威撮影)沿道を埋め尽くす観客たち(平澤尚威撮影)
線路沿いのコースからコーナーへと突入するニバリ線路沿いのコースからコーナーへと突入するニバリ

ポイントレースはロッシュとデマールが優勝

クリテリウム1組目のスタート前。サガン、ロッシュ、ロジャースらクリテリウム1組目のスタート前。サガン、ロッシュ、ロジャースら

 クリテリウムに先駆けて、出場選手を2組に分けたポイントレースを実施。8周回で争われ、偶数周回でのフィニッシュライン通過時の順位によって、ポイントが加算されるレギュレーションだ。1位から5位までに5、4、3、2、1ポイント。最終周回のみ2倍になる。

 31選手が出走した1組目は、序盤にトップ通過をするなど、4回のポイント周回すべてで上位に食い込んだニコラ・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)が19ポイントで優勝。トップでフィニッシュしたアレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)は2位、中盤で逃げを試みたクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)は5位だった。

ポイント周回でフルームを振り切ってスプリントする窪木一茂ポイント周回でフルームを振り切ってスプリントする窪木一茂
トップでゴールしたのはクリツォフトップでゴールしたのはクリツォフ
クレバーにポイントを獲得したロッシュが優勝クレバーにポイントを獲得したロッシュが優勝

 続いて2組目は33選手が出走。ガティス・スムクリス(ラトビア、チーム カチューシャ)が序盤から逃げを打ったが、中盤からはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が飛び出すなど、熾烈なポイント争いを展開。最後は、3回目までのポイント周回を上位通過していたアルノー・デマール(フランス、エフデジ ポワン エフエル)がトップでゴール。大量得点をゲットし、逆転で優勝した。ニバリは2位だった。

逃げを見せるスムクリス逃げを見せるスムクリス
ニバリと盛一大が逃げる。盛はこの日が引退レースニバリと盛一大が逃げる。盛はこの日が引退レース
ゴールポイント争いでニバリに先着したデマールが優勝ゴールポイント争いでニバリに先着したデマールが優勝

10人によるラストの攻防 ゴールスプリントをキッテルが制する

スタート前に並んだ今年のツール・ド・フランスの総合3勝ジャージ。昨年の覇者のフルームも中央にスタート前に並んだ今年のツール・ド・フランスの総合3勝ジャージ。昨年の覇者のフルームも中央に

 大会のクライマックスとなるクリテリウムメーンレースは午後3時にスタート。ポイントレースを終えた全64選手が息つく暇もなくスタートラインに並んだ。レースは20周回で争われた。

 まずは1周のパレード走行。顔見せの意味合いもあり、ファンの歓声に応えながらゆっくりとコースを回った。

 正式スタートを切ると同時に、アンダー23日本チャンピオンの徳田鍛造(日本ナショナルチーム)がファーストアタック。これに7人が追随し、8選手の逃げ集団が形成された。徳田のほか、ユライ・サガン(スロバキア、キャノンデール)、リーウ・ウェストラ(オランダ、アスタナ プロチーム)といったUCIプロチーム勢が前方に位置取り、中島康晴(愛三工業レーシングチーム)、山本元喜(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)ら日本人選手も続く。直前の引退セレモニーに臨んだ清水都貴(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)の姿も。

集団先頭を走る清水都貴集団先頭を走る清水都貴
アリーナ内へと進入する選手の集団アリーナ内へと進入する選手の集団

 逃げを容認したメーン集団は、エフデジ ポワン エフエル、チーム ジャイアント・シマノが前方を占め、それぞれデマール、キッテルを擁してスプリントを狙いう意思を示した。4周目に差し掛かったところで、今大会注目のフルームがメカトラブルで止まる場面があったものの、クリテリウム独特の救済ルールにより次の周回で復帰。自身のバイクは修復できず、ニュートラルバイクで再スタートを切った。

 ポイント賞は、4、8、12、16周目に設定。1回目は逃げ集団でのスプリントの末、清水が獲得。地元・埼玉での凱旋レースを盛り上げた。直後にメーン集団のペースが上がり、逃げていた8人は吸収された。

ポイント賞のスプリントは清水都貴が獲得ポイント賞のスプリントは清水都貴が獲得
代わって飛び出した逃げ。マイヨジョーヌ、山岳賞ジャージを含む4人代わって飛び出した逃げ。マイヨジョーヌ、山岳賞ジャージを含む4人
追いかけるメーン集団追いかけるメーン集団
2度目のポイント賞は宮澤崇史がスプリント2度目のポイント賞は宮澤崇史がスプリント

 続いて、マイヨジョーヌを着たニバリ、山岳賞のマイヨアポアを切るラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)がアタック。これに西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)、宮澤崇史(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)が対応し、引退を控えた日本人2選手が逃げで魅せた。6周目に設けられた1回目の山岳賞ポイントは、マイカが獲得。この時点でメーン集団との差は20秒。

 快調に逃げる4選手。後方との差は40秒にまで広がった。8周目に設定された2回目のポイント賞は、スプリント力を発揮した宮澤が獲得。その後、10周目での2回目の山岳ポイントはマイカがトップ通過。この段階で合計6ポイントを獲得し、山岳賞を確定させた。後続のメーン集団ではシマノレーシングやチームUKYOなど、日本勢も前方で積極的な走りを見せた。

沿道や階段にも人が集まる(平澤尚威撮影)沿道や階段にも人が集まる(平澤尚威撮影)
9周目、逃げの4人はメーン集団に25秒差を付ける9周目、逃げの4人はメーン集団に25秒差を付ける
追いかけるメーン集団追いかけるメーン集団

 強力なメンバーによる先行だったが、これも11周目で吸収。今度はルーク・ロウ(イギリス、チーム スカイ)とマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)がリード。日本チャンピオンジャージの佐野淳哉(日本ナショナルチーム)が追走グループを牽引し、ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー、チーム カチューシャ)、ユライ・サガンを引き連れ、先頭の2人に合流。3回目のポイント賞は争うことなく、佐野がトップで通過した。

逃げ集団先頭でコーナーへ進入する日本チャンピオンの佐野淳哉逃げ集団先頭でコーナーへ進入する日本チャンピオンの佐野淳哉
レース前日、選手らと交流した与野高校の生徒も応援レース前日、選手らと交流した与野高校の生徒も応援
メーン集団はジャイアント・シマノがコントロールメーン集団はジャイアント・シマノがコントロール
単独先頭で粘る佐野淳哉単独先頭で粘る佐野淳哉

 先頭の6人は20秒程度の差で逃げていたが、15周目に入りメーン集団がペースアップ。佐野だけは粘って単独先頭に立ったが、やがて吸収されてしまった。すぐに初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が先頭に立ったが、逃げるには至らない。

ニバリがアタックして抜け出すニバリがアタックして抜け出す
ニバリを追うグループは人数が絞られた。別府の姿も見えるニバリを追うグループは人数が絞られた。別府の姿も見える
追走集団の最後尾には新城幸也も追走集団の最後尾には新城幸也も

 終盤に差し掛かり、レースは激しさを増す。ニバリによる再度のアタックをきっかけに、11人が続いた。一度はまとまった先頭集団だったが、ニバリが単独先頭に。そのまま4回目のスプリントポイントをトップ通過。これにより、ポイント賞獲得が決定した。

 ニバリが先頭集団へと戻ると、今度は残り11kmで別府史之(ツール・ド・フランス ジャパンチーム)がアタック。追走は、複数メンバーを入れることに成功したアスタナ プロチームやチーム ジャイアント・シマノが主導権を握る。約1周にわたって先頭を走った別府をキャッチした。

今度は別府史之が渾身のアタック今度は別府史之が渾身のアタック
別府を追う集団先頭はニバリ別府を追う集団先頭はニバリ
先頭集団から遅れた初山(中央)ら先頭集団から遅れた初山(中央)ら
残り2周、別府は吸収残り2周、別府は吸収

 大きな局面を迎えたのは残り2周。別府と新城幸也(ツール・ド・フランス ジャパンチーム)がアタック。今回はチームメートの2人が協調して先行する。そして、そのままラスト1周の鐘を聞いた。

残り1周を前に、別府と新城が飛び出した残り1周を前に、別府と新城が飛び出した

 別府と新城は吸収されたものの、2人を含む10人のグループは快調に飛ばし、逃げ切りがほぼ濃厚な状況に。ラスト1.2km、満を持して飛び出したのはニバリだ。上りで加速し、後続を引き離しにかかるが、スプリント勝利を狙う選手たちも黙ってはいない。ニバリの独走を許さず、クーン・デコルト(オランダ)の牽引で最後のコーナーへと突入した。

 いよいよ最終局面。ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)やアレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)らが好ポジションから加速する。しかし、右サイドからグングンと伸びたのはキッテルだ。今年のツールでステージ4勝を挙げた絶対的なスピードを発揮。最後に追い込んだサガンらを寄せ付けず、高々と両手を挙げてフィニッシュラインを通過した。

ゴールスプリント。キッテル、クリツォフ、サガンの勝負ゴールスプリント。キッテル、クリツォフ、サガンの勝負
ゴールライン上、ハンドルを投げ合うゴールライン上、ハンドルを投げ合う
勝ったのはキッテル!勝ったのはキッテル!
メーン集団のゴールスプリントは、今シーズン限りで引退の清水都貴、宮澤崇史、西谷泰治が先頭でゴールしたメーン集団のゴールスプリントは、今シーズン限りで引退の清水都貴、宮澤崇史、西谷泰治が先頭でゴールした

別府を誘ってアタックした新城 マイヨジョーヌのニバリは9位

クリテリウム優勝のキッテルがステージに上がるクリテリウム優勝のキッテルがステージに上がる

 ヨーロッパで活動する選手たちにとっては、シーズンオフ直前の来日となったが、遠く日本への遠征でもプロとしての走りをしっかりと全うした。一際映えるマイヨジョーヌでの出走となったニバリも積極果敢な走りを披露。優勝こそならなかったが、再三のアタックで、ポイントレース、クリテリウムメーンレースともに見せ場を作った。

レース後、引退する宮澤崇史をねぎらって抱き合う新城幸也レース後、引退する宮澤崇史をねぎらって抱き合う新城幸也

 そして何より、日本のファンを沸かせたのは、今回「ツール・ド・フランス ジャパンチーム」として走った新城と別府だ。レース後半に単独で先頭に立った別府は、一度は集団による吸収を許したが、ラスト2周で新城とともに再度のアタック。このとき、新城が別府に対し「僕らでしょ! できる限りのことはやろう」と誘ったのだという。

 ゴールスプリントにも加わり、日本人トップとなった新城は5位。同じく最終局面を先頭集団で迎えた別府は9位。ゴール後の記者会見では、「昨年よりハイレベルな戦いだった。早めに仕掛けてのレース展開を狙ったが、動くのが早すぎて逃げ切ることができなかった。新城と逃げた場面も、後続が強くて勝つのは難しかった」と振り返った。

ニバリはポイント賞を獲得したニバリはポイント賞を獲得した
山岳賞はマイカ山岳賞はマイカ
敢闘賞は文句なしの別府敢闘賞は文句なしの別府
25歳以下の新人賞はサガンが獲得25歳以下の新人賞はサガンが獲得

 大型スプリンターの後塵を拝する結果となった2人だが、表情は晴れやかだ。さいたまスーパーアリーナ内を通過するコースについても好印象だといい、「良いアイデア。ファンがレースを間近で見られるだけでなく、室内に設置されたスーパービジョンでレース全体を見ることができる」(別府)、「世界でも類を見ない取り組みだ。ヨーロッパのライダーから見てもサプライズな風景だと思う。走っていて楽しかった」(新城)と述べ、次回以降の大会にも期待を膨らませていた。

 そして、優勝したキッテル。レースを終え安堵の表情を浮かべた。「日本の観客は熱狂的だ。本当に素晴らしい」とファンに感謝の気持ちを述べた。待ちに待ったシーズンオフについては、「ついにホリデーを迎えられる」と笑顔。嬉しさを隠せない様子だった。

ベスト日本チーム賞の愛三工業レーシングチームベスト日本チーム賞の愛三工業レーシングチーム
ベストチーム賞のジャイアント・シマノベストチーム賞のジャイアント・シマノ
最後は表彰対象者全員がステージに上った最後は表彰対象者全員がステージに上った

2014ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム Presented by ベルーナ(20周・62km)結果
1 マルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 1時間24分39秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) +0秒
3 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +0秒
4 アルノー・デマール(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +0秒
5 新城幸也(ツール・ド・フランス ジャパンチーム) +0秒
6 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +0秒
7 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +2秒
8 クーン・デコルト(オランダ、チーム ジャイアント・シマノ) +5秒
9 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +5秒
10 別府史之(ツール・ド・フランス ジャパンチーム) +5秒

ポイント賞
ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ・プロチーム)

山岳賞
ラファウ・マイカ(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

新人賞
ぺテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)

敢闘賞
別府史之(ツール・ド・フランス ジャパンチーム)

ベストチーム賞
ジャイアント・シマノ

ベスト日本チーム賞
愛三工業レーシングチーム

ポイントレース(8周)結果
第1組
1 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ) 19pts
2 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) 15pts
3 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 12pts
 
第2組
1 アルノー・デマール(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 19pts
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 17pts
3 ガティス・スムクリス(ラトビア、チーム カチューシャ) 11pts

文・福光俊介 写真・米山一輝、平澤尚威、柄沢亜希

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