新しい地域創生への道筋自治体でスポーツ誘致組織の設立活発化 「さいたまクリテリウム」などファン集め経済効果

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 国内外のスポーツイベントを招致し地域経済の活性化を―。これに専念する「スポーツコミッション」を設立する自治体が増えてきた。世界最高峰の自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」の名を冠した国際大会を開くさいたま市、Jリーグのキャンプ誘致に動く沖縄県を中心に、取り組みを紹介しよう。(SankeiBizより)

素早い意思決定が奏功 さいたま市

「ツール・ド・フランス」の名を冠した自転車の国際大会で、スタートする選手たち =2013年10月26日、さいたま市「さいたまクリテリウム by ツール・ド・フランス」でスタートする選手たち =2013年10月26日、さいたま市

 ツール・ド・フランスで活躍した選手たちが市街地を走り抜ける。沿道を埋め尽くす人はそのスピードに圧倒された。

 2013年10月26日、さいたま市の新都心エリアの周回コースで開催されたサイクルロードレース「さいたまクリテリウム」の光景だ。

 「観戦者は20万人。宿泊や飲食などによる経済波及効果は30億円あった」と「さいたまスポーツコミッション」の担当者が話す。総事業費は5億3000万円のうち市の支出は約2億円。専門組織の有効性が証明され注目を集めるきっかけとなった。

 なぜ日本、しかも、さいたま市で行われたのか。

 「『フランスでツール・ド・フランスが始まって2013年が100回目。ツール主催会社がこれを記念して欧州以外で何か大会を開きたいと考えている』との情報を前年に得た。最後は市長がフランスに行き、主催会社の社長とトップ会談して決めた」と担当者。情報収集と素早い意思決定が奏功した。

 さいたま市が経済や観光、スポーツ団体と連携するコミッションを設立したのが2011年10月。東北や上越、長野の各新幹線の駅がある交通の便利さや4市が合併した経緯から数が多いスポーツ施設を生かし、個性ある街づくりを進めるためだ。

 今年も10月25日に「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」を開催する。「今後はママさんバレーやバスケットといった大人の大会の誘致に力を入れる。お土産を多く買ってくれるから」と笑った。

新潟市は東京五輪のキャンプ誘致へ

 この成功に倣って新潟市は「文化・スポーツコミッション」を創設した。「開催支援の補助金も充実させた。宿泊や観光の交流人口を増やすため首都圏に毎月、セールスに行っている」と担当者。2020年の東京五輪に向けて「参加国のキャンプ地を誘致できれば」との思惑もある。

 ユニークなのが関西経済同友会の主導で2012年4月に立ち上げた「スポーツコミッション関西」だ。スポーツ用品メーカーも多く、スポーツを核にした産業の活性化やニュービジネスの創出を目指す「スポーツ+(プラス)」が合言葉だ。

 参加型の生涯スポーツの世界大会「ワールドマスターズゲームズ」が五輪後の2021年に関西で行われる。自治体と協力して誘致した結果だ。

 「参加人員は五輪の2倍以上となる5万人だ。選手として来る中高年の宿泊や飲食などの経済効果は140億円という試算もある」と担当者。

 「高齢化はアジア各国でも進む。これを契機にマスターズの聖地として売り出すため、アジア地区の大会をその前に開きたい」。スポーツを軸にした戦略を練る。

Jリーグのキャンプ招致へ芝の専門職員 沖縄県

「スポーツアイランド」を掲げる沖縄県は、2015年春にスポーツコミッションが始動予定「スポーツアイランド」を掲げる沖縄県は、2015年春にスポーツコミッションが始動予定

 「日本のプロチームがキャンプ地に選べば、海外のチームやアマチュアの合宿が続く」と経験を語るのは、スポーツアイランドを掲げる沖縄県スポーツ振興課だ。

 10年度に策定したスポーツツーリズム推進戦略では、冬の暖かさを生かしたキャンプ誘致を目標に掲げる。

 沖縄では球場を持つ市町村がプロ野球の春季キャンプを誘致してきた。「今年は日韓で16チームが来た。野球ファンなどの観光客は5万人以上、経済効果は90億円近い。サッカーや陸上競技でも同じような成果を挙げたい」と意気込む。

 狙いについて沖縄県は「繁忙期と閑散期の観光客数の差は月で15万~20万人もある。これを縮小すれば観光産業の正社員が増える」と解説する。

 2010年度からJリーグのキャンプ招致事業を開始した。「最初は増えたが、芝の質の悪さからけがを心配して撤退するチームが相次いだ。芝を改善する専門職員を養成した結果、今年は韓国、台湾も含めて14チームが来た。チーム同士の口コミが決め手だ」という。

 2015年4月には「スポーツコミッション沖縄」をつくる予定。「競技団体だけだとホテルや会場の手配などをする人が少なく、大会や合宿の招致に二の足を踏む。実動部隊をつくりチャンスを逃さないようにしたい」

 地方創生にも一役買うことが期待できそうだ。

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