腎臓病患者を支えるチャリティーライド驚きと感動の日本 マルタ発「ライフサイクル・チャレンジ」福岡~東京2000kmを走破

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 マルタ共和国はイタリア南部・シチリア島のさらに南、地中海のほぼ中央に位置する小さな島国です。そのマルタから日本へ、チャリティーライド「ライフサイクル・チャレンジ」に参加する22人のサイクリストが来日し、9月10~19日の10日間で福岡から東京まで約2000㎞を走破しました。イベントをサポートした宮林佳世さんによるレポートをお届けします。

「自然に“宝石”がありすぎる」と感動しながら走る「自然に“宝石”がありすぎる」と感動しながら走る

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22台の自転車が届かない!

福岡工業大学でのスタート集合写真福岡工業大学でのスタート集合写真

 マルタ共和国には多数の腎臓病患者がいますが、国内の医療施設では十分な医療が行えていません。そのため1999年以降、チャリティーライド「ライフサイクル・チャレンジ」を毎年様々な国で開催し、腎臓病の研究機関や医療機関への寄付金を募ってきました。

 今年は日本とマルタ共和国の外交関係が結ばれて50年目という記念すべき年にあたるため、16回目を迎えるライフサイクル・チャレンジを日本で開催することとなりました。計画したのは、10日間で約2000kmを走破する過酷なチャレンジ。コースは1都2府16県に及び、福岡、山口、広島、愛媛、香川、岡山、兵庫、大阪、京都、滋賀、岐阜、三重、愛知、静岡、山梨、長野、静岡、群馬、埼玉、東京の順に横断していきました。

 マルタを出発したのは9月8日。同日の夜中に福岡へ到着しました。参加するライダーは22人、自転車も全部で22台。各ライダーは、10日間のツーリングに必要なさまざまな荷物と自転車を合わせると重量オーバーになるため、自転車は別便で輸送することにしました。ところが、航空会社のミスで、予定していた9日には届かず、イベント出発当日の10日、開会式の2時間前にようやく自転車が到着! そこから自転車を組み立てるなど、全員大慌てで準備をした末、予定通り朝6時半に開会式を行って7時にスタートを切ることができたのです。ハプニングから幕が開けて、長い長いチャレンジが始まりました。

「ライフサイクル・チャレンジ」では、しまなみ海道も走行しました「ライフサイクル・チャレンジ」では、しまなみ海道も走行しました
スタート前のミーティングは欠かせませんスタート前のミーティングは欠かせません

彩り豊かな日本の自然は“宝石”

 最初の数日間は、参加したサイクリスト全員で、景色やサイクリングを楽しみながら余裕あるライドを楽しみました。日本の自然は山や川が多い上、多彩な色にあふれ、マルタの人たちにとっては「自然に“宝石”がありすぎる」と感動する毎日。脱落者がでることもなく、毎日、目的地まで到達していきました。

 とはいえ、想定外の出来事も多くありました。山道では3人が蜂に刺されたり、道に迷って宿泊施設への到着が夜中になったり、あるいはサイクリング中に変速機が破損して自転車が修理不可能になったり…と刺激的な毎日。そんなハプニングも大事に至ることなく乗り越え、ライドを続けていきました。

ケガをしたサイクリストもテーピングで固定して毎日出走ケガをしたサイクリストもテーピングで固定して毎日出走
自転車が故障してサポートカーに詰め込む場面も自転車が故障してサポートカーに詰め込む場面も
体育館にも宿泊しました体育館にも宿泊しました
毎日スタート前に行う準備運動毎日スタート前に行う準備運動

 もちろん、毎日約200㎞も走ると、徐々に疲労が溜まっていきます。それを乗り越えられたのは、沿道から見知らぬ人たちに声援をもらったり、滞在先で歓迎の催しを開いてもらったり、宿泊施設で伝統料理をふるまわれたりしたことのおかげです。宿泊施設に英語を話せる人はいませんでしたが、会話が上手にできなくても、海外の人たちと笑顔でコミュニケーションする光景が毎晩のように繰り広げられました。それが、マルタからやってきたサイクリスト達にとって、走る元気の源となっていました。

異文化にとまどい、感動

チェックポイントに設定したコンビニエンスストアで休憩するサイクリストたちチェックポイントに設定したコンビニエンスストアで休憩するサイクリストたち

 後半の日程は、アップダウンばかりの山道が続き、体力を奪われる厳しいチャレンジとなりました。日本で走り始めてから、地域によって交通ルールが異なる経験をしてきましたが、さらに山道では標識がわかりづらくなり、通行止めや、トンネル内を通行できない道に何度も遭遇しました。そのたびに、引き返して他のルートを探すことになり、行ったり来たりの繰り返しでした。日本での便利な生活に触れてきたマルタのサイクリスト達に、一番理解されなかったことは、日本の交通ルールでした。

 休憩は、基本的には1日3カ所指定したコンビニエンスストアでとるようにしていました。マルタ共和国には、1つの場所でさまざまな商品が揃い、かつ24時間営業しているようなお店はないので、「すごく驚いた」とのことでした。コンビニエンスストアで販売されている食品にも驚いていました。味つけはもちろん、お米以外にパスタやラザニアなど、電子レンジ温めるだけですぐに食べられるメニューが多く、さらに新鮮な野菜もあることに大喜びでした。

秋晴れの中走行するサイクリストたち秋晴れの中走行するサイクリストたち
宮林さんお母校・長野松代高校ではウェルカムセレモニーが催されました宮林さんお母校・長野松代高校ではウェルカムセレモニーが催されました

 そしてトイレを使用した後に、ビショ濡れで出てくるサイクリストが続出。トイレにたくさんボタンがあることに驚いたうえ、操作方法がわからないため色々と押してしまい、シャワートイレが作動して濡れてしまった…というわけです。

 日本では当たり前のように使用している道具でも、マルタの人たちから見れば驚きのアイテムばかり。宿泊先では、温泉だけでなくマッサージもボランティアとして提供してくださることもあり、一行は日本の文化に触れることができて大満足でした。

後半はアップダウンの道が続きました後半はアップダウンの道が続きました

 最終日のゴールには、到着時間が大幅に遅れてしまいましたが、サイクリスト全員が無事に10日間で約2000㎞の走行を達成することができました。夜遅かったにもかかわらず、マルタ共和国名誉総領事の白鳥令さんをはじめたくさんの方々が集まり、長い道のりを走り切ったサイクリストたちを歓迎してくださいました。

1都2府16県 それぞれ違ったおもてなし

夜遅くの到着にもたくさんの人に歓迎してゴール夜遅くの到着にもたくさんの人に歓迎してゴール

 日本のルールをマルタのサイクリストたちに理解してもらうことができず、もめることも多々ありましたが、最終的にはサイクリストたちから「日本の文化は素晴らしい」「僕たちの国も真似るべきだ」とほめ称える意見をたくさんもらいました。具体的には、「人々が親切で温かい」「食べ物が安くておいしい」「町がきれいでゴミが落ちてない」と感動していました。

 イベントを通じて1都2府16県、それぞれ違った道路、景色、伝統、食べ物に触れられたことは、日本を知らなかったマルタの人たちにとって素晴らしい経験だったと感じています。プロジェクトを企画・運営した私たちにとっても、このチャリティーライドを開催することができたのは、各地で宿泊施設、伝統料理、特産のプレゼント品、マッサージ、伝統舞踊などをご提供くださった皆様のおかげだと思っています。日本のおもてなしがあったからこそ、マルタからやってきた22人のサイクリスト全員が、無事に全行程を走りきることができました。

2014年の「ライフサイクル・チャレンジ」に参加したサイクリストたち=長野県茅野市2014年の「ライフサイクル・チャレンジ」に参加したサイクリストたち=長野県茅野市

 今後は腎臓病だけではなく、食とスポーツを通じて病気の予防法を伝えていく活動も手がけたいと考えています。また、日本とマルタ共和国の両国がさらに交流を深められるよう貢献し、日本の文化を世界に発信できれば幸いです。

(レポート 宮林佳世)

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