これが世界トップクラスの実力【ロードレース詳報】欧州勢がジャパンカップを掌握 マーティンのアシストでハースに栄冠

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 渾身のゴールスプリントを繰り出したネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)が自身2度目の優勝を決めた2014ジャパンカップサイクルロードレース。10月19日に行われた日本最高峰のレースは、絶好の秋晴れのもと、過去最高の8万人の観衆から大声援を受けて、終盤には世界トップクラスの選手たちによる高速バトルが展開された。白熱したレース展開の詳細を振り返る。(文・米山一輝、写真・平澤尚威)

2度目の優勝を飾り、表彰式で喜びの表情を見せるネイサン・ハース(中央)。2位にはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(左)、3位にグレガ・ボーレが入った2度目の優勝を飾り、表彰式で喜びの表情を見せるネイサン・ハース(中央)。2位にはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(左)、3位にグレガ・ボーレが入った

日本チームの3人を含む4人が逃げを形成

2014ジャパンカップがスタート2014ジャパンカップがスタート

 例年通り14.1kmの周回コースを10周と、最終周回のみショートカットの10.3km、合計151.3kmの距離で争われたジャパンカップ。16チーム、79人の選手が朝10時に、一斉にスタートした。スタート直後の古賀志林道の上りから、まず逃げを狙う日本チームを中心としたアタックが掛かった。

 下りに入った時点で内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が単独で抜け出すが、集団全体がこれを追走。内間の逃げは下りを終えてすぐに吸収された。その後も何度か逃げと吸収を繰り返し、鶴カントリーの上りの直前、例年よりもやや遅いタイミングでようやく4人の逃げが形成された。

逃げ集団は(左から)山本元喜、ホセビセンテ・トリビオ、阿部嵩之、ダレン・ラプソーンの4人逃げ集団は(左から)山本元喜、ホセビセンテ・トリビオ、阿部嵩之、ダレン・ラプソーンの4人

 逃げのメンバーは阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、チームUKYO)、山本元喜(ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ)、ダレン・ラプソーン(オーストラリア、ドラパック プロサイクリング)の4人。メーン集団は欧州のUCIプロチーム勢が先頭付近を占めて一旦ペースダウン。タイム差は3周目までに5分以上となり、レース前半の流れが定まった。

1周目で形成された逃げ集団に声援が飛ぶ1周目で形成された逃げ集団に声援が飛ぶ
逃げが決まり、ペースの落ち着いたメーン集団逃げが決まり、ペースの落ち着いたメーン集団

まるでツール・ド・フランス 巧みな集団コントロール

 先行した4人は協調しながら逃げ続ける。メーン集団はチーム スカイ、ガーミン・シャープ、ティンコフ・サクソが集団をコントロール。特にスカイは先頭に常に5人全員が集まっており、さながらツール・ド・フランスのような光景だ。

メーン集団はUCIプロツアー勢がコントロールメーン集団はUCIプロツアー勢がコントロール

 3周回ごとに設けられた山岳賞は、1回目(3周目)を地元チームの阿部が、2回目(6週目)はトリビオが獲得。レース残り5周を前にした6周目途中から、メーン集団は徐々にペースを上げ、先頭との差を縮め始めた。

古賀志林道の頂上は、沿道や坂の上に大勢のファンが集まる観戦スポット古賀志林道の頂上は、沿道や坂の上に大勢のファンが集まる観戦スポット
メーン集団を牽引するダニエル・マーティン(左)とベルンハルト・アイゼル。楽しげに言葉を交わしていたメーン集団を牽引するダニエル・マーティン(左)とベルンハルト・アイゼル。楽しげに言葉を交わしていた

 集団前方は変わらず欧州のプロチームが固めた状態。その中で別府史之(トレック ファクトリーレーシング)や新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は比較的前方に位置するものの、国内コンチネンタルチーム勢は完全に集団後方へと追いやられ、不利な状況が見てとれた。

9周目、山岳賞を狙って逃げ集団から飛び出した山本元喜9周目、山岳賞を狙って逃げ集団から飛び出した山本元喜

 逃げとメーン集団の差は、7周目、8周目でそれぞれ1分弱ずつ縮まっていく。9周目、最後の山岳賞は山本が頂上目前でアタックして獲得するが、ここで力を使い果たした山本が後退し、先頭は3人と厳しい状態になった。

 メーン集団ではベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チーム スカイ)、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)といったビッグネームが前方へと上がり、追走のペースをさらにアップ。9周目の途中でついにタイム差は1分を切り、10周目へと向かう鶴カントリーの上りも、序盤とは比べ物にならないハイスピードで通過していく。

メーン集団はダニエル・マーティンの強力なアシストで、逃げ集団との差をつめるメーン集団はダニエル・マーティンの強力なアシストで、逃げ集団との差をつめる
大歓声を受けながら古賀志林道を上る新城幸也大歓声を受けながら古賀志林道を上る新城幸也

逃げを吸収、マーティンが強力に牽引

 残り2周となる10周目、逃げ集団では阿部‎が上りで遅れた。一方、メーン集団ではチームメートを引き連れた宮澤崇史(ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ)が集団先頭へと上がる場面も。周回前半の古賀志林道の上りでは、メーン集団からヤン・ポラン(スロベニア、ランプレ・メリダ)が単独で先頭へと追い付くことに成功。逃げは再び3人となるが、メーン集団はガーミン・シャープが前方に4人を揃えて強力に追走。下りを終えてしばらくしたところで、3人の逃げは完全に吸収された。

 鶴カントリーの上りは、マーティンが先頭で強力に牽引する。どうやらこのレースでガーミン・シャープのエースはネイサン・ハースのようだ。先頭集団は40人程度まで人数を減らしており、日本人選手は別府、新城、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、西谷泰治(愛三工業レーシング)、清水都貴(ブリヂストンアンカー)、内間康平(同)ら10人弱となった。

最後の古賀志林道で、海外の有力選手に絞られた先頭集団最後の古賀志林道で、海外の有力選手に絞られた先頭集団

 いよいよ残り1周。ホームストレートを高速で通過した集団は、先頭で次々にアタックが掛かりペースアップ。トップスピードのまま最後の古賀志林道へと突入した。上りではモレノ・モゼール(イタリア、キャノンデール プロサイクリング)やジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング)がアタックを仕掛ける。頂上を前にモゼールが単独で抜け出すことに成功した。

 モゼール、アレドンドに続いて、数秒遅れで10人ほどの集団が頂上を通過するが、この中に日本人選手の姿はない。少し遅れて別府、増田がトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)とともに通過。新城、西谷らは大きく遅れてしまう。

先頭集団を追う別府史之先頭集団を追う別府史之
第2集団のなかには増田成幸が食らいつく第2集団のなかには増田成幸が食らいつく

最終周回の劇的な攻防

 下りを終えてモゼールは10秒ほど先行。続いてマヌエーレ・ボアロ(イタリア、ティンコフ・サクソ)が単独で追走。さらに10秒ほど置いて10人の集団が続く。集団の先頭は、上りの頂上で若干遅れたマーティン。下りで追い付き、さらにハースのために集団を牽引する。

 まずマーティンが1人で集団を引いてボアロを吸収。逃げるモゼールも粘ったものの、残り1kmで吸収されていった。ここから抜け出す選手はなく、勝負は集団ゴールスプリントに託された。最終局面で先行したのはハース。エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チーム スカイ)が強力に追い込んだが、ゴールラインまでハースが粘りきって手を挙げた。

ゴールスプリントは(左から)ネイサン・ハース、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン、グレガ・ボーレ3人の勝負になったゴールスプリントは(左から)ネイサン・ハース、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン、グレガ・ボーレ3人の勝負になった
アジア最優秀選手賞を獲得し、表彰式に登場した別府史之アジア最優秀選手賞を獲得し、表彰式に登場した別府史之

 2位はボアッソンハーゲン、3位はグレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ)だった。先頭集団からこぼれた数人がゴールした後、48秒遅れで第2集団となる別府、増田、ルバの3人がゴール。スプリントで2番手に入った別府が、14位で日本人最高順位となった。

■ジャパンカップサイクルロードレース(151.3km)
1 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)4時間06分48秒 
2 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チーム スカイ) +0秒
3 グレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ) +0秒
4 ミケル・ヴァルグレンアンデルセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ) +0秒
5 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック・ファクトリーレーシング) +0秒
6 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ) +0秒
7 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール プロサイクリング) +0秒 
8 モレノ・モゼール(イタリア、キャノンデール プロサイクリング) +0秒
9 ヤン・ポラン(スロベニア、ランプレ・メリダ) +5秒
10 クリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ) +18秒
14 別府史之(トレック ファクトリーレーシング +48秒
15 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +48秒
22 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +56秒
23 初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +56秒
24 内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +56秒
26 新城幸也(チーム ヨーロッパカー) +56秒

山岳賞
3周目 阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン)
6周目 ホセビセンテ・トリビオ(チームUKYO)
9周目 山本元喜(ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ)

アジア最優秀選手賞
別府史之(トレック ファクトリーレーシング)

U23最優秀選手賞
ミケル・ヴァルグレンアンデルセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)

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