大迫力のプロトンが中心街を疾走【レース詳報】かみ合ったチーム力と個人の力 スカイ勢がジャパンカップクリテリウムを制圧

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 宇都宮の市街地を、今年も世界トップレベルの選手たちが駆け抜けた。10月18日に開かれた2014ジャパンカップクリテリウムは、スプリンターによるゴール争いをクリストファー・サットン(オーストラリア、チーム スカイ)が制して初優勝。中盤以降、レースの流れを見事にコントロールしたスカイのチーム力と、ピュアスプリンターの切れ味を発揮したサットンの個人力が見事にかみ合っての勝利だった。

表彰された(左から)2位のヴォンホフ、優勝したサットン、3位のスイフト表彰された(左から)2位のヴォンホフ、優勝したサットン、3位のスイフト

 JR宇都宮駅を起点に西へと延びる「宇都宮市大通り」を舞台に繰り広げられたクリテリウムレース。市内の目抜き通りを800mにわたって全車線を完全封鎖し、1周1.55kmの特設コースを設定。5回目を迎えた今回も、パレード3周・レース20周の計35.65km(レース距離31km)で争われた。

 コースはフラット。UCI未公認レースで、翌日に控えるメーンレースをを前にした顔見せ的な側面は強いものの、スプリンターを中心に、スピード自慢のライダーたちが優勝争いに名乗りを挙げる。また、最終調整や脚試しといった感覚で臨む選手も多いようだ。

クリテリウムのパレード先頭は佐藤栄一宇都宮市長。「弱虫ペダル」作者の渡辺航さんの姿もクリテリウムのパレード先頭は佐藤栄一宇都宮市長。「弱虫ペダル」作者の渡辺航さんの姿も
談笑しながらパレードを走る宮澤と新城談笑しながらパレードを走る宮澤と新城

 レースに先立って行われたパレードは、佐藤栄一宇都宮市長を先頭に、地元競輪選手、ガールズケイリンの選手たちに続いて出場各チームの選手やチームカーが登場。集まった観客から温かい声援が送られ、選手たちは手を振ったり、ハイタッチするなどしてファンに応えた。

スタートラインに並んだ選手たちスタートラインに並んだ選手たち

 午後3時50分、いよいよレースがスタート。号砲と同時に勢いよく飛び出したのは、小嶋敬二(クリテリウム・スペシャルチーム)。競輪選手ならではのスピードでレースを先導したが、それも1周回のみ。そこからは歴戦のロードレーサーたちの出番だ。

スタートで先行するのは、やはりこの男、小嶋敬二スタートで先行するのは、やはりこの男、小嶋敬二
強力に先行する小嶋敬二に、2番手の内間康平が思わず付き切れ強力に先行する小嶋敬二に、2番手の内間康平が思わず付き切れ

 2周目以降、逃げ狙いのアタックが起こってはメーン集団がキャッチするという状況が続いた。日本チャンピオンジャージで臨んだ佐野淳哉(日本ナショナルチーム)が飛び出すシーンもあったが、これも失敗に終わる。

大通りを行って帰るコース。2カ所の180度ターンが設けられる大通りを行って帰るコース。2カ所の180度ターンが設けられる
ポイント周回1周前、新城幸也が先頭通過ポイント周回1周前、新城幸也が先頭通過
最初のポイント周回は、ネイサン・ハースが別府史之を抑え先頭通過最初のポイント周回は、ネイサン・ハースが別府史之を抑え先頭通過

 集団は1つのまま、5周おきに迎える中間スプリントポイントへ。5周目終了後に訪れた1回目のポイントに向けて動き出したのは、別府史之(トレック ファクトリーレーシング)だ。沿道の大歓声を背にアタックした別府だったが、通過ライン目前でネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)が逆転。まずはハースがトップで1回目の中間スプリントを獲得した。

 レースが動きを見せたのは6周目。マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、ティンコフ・サクソ)のアタックをきっかけに、3選手が追随。そのまま4人が逃げグループを形成した。メンバーは、ボアーロ、マルコ・マルカート(イタリア、キャノンデール)、ラクラン・ノリス(オーストラリア、ドラパック プロフェッショナルサイクリング)、ピエルパオロ・デネグリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)。これを機に、序盤はハイペースだった集団が落ち着きを見せ始めた。

マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、ティンコフ・サクソ)がアタックマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、ティンコフ・サクソ)がアタック
逃げグループの4人逃げグループの4人

 逃げの4人は順調に先頭交代のローテーションを繰り返し、メーン集団に15~20秒のリードを保つ。10周目、15周目に設けられた中間スプリントポイントは、いずれも争うことなくマルカートがトップで通過した。

 メーン集団はトレック ファクトリーレーシング、ガーミン・シャープ、チーム スカイが主導権争い。特にトレックは、別府でスプリントを狙う構えだ。

逃げとメーン集団。大通りの突き当たりはJR宇都宮駅逃げとメーン集団。大通りの突き当たりはJR宇都宮駅

 レースは終盤へ。メーン集団はペースアップを開始し、先頭4人の吸収を目指す。依然トレック、ガーミン、スカイの3チームが集団をコントロール。そしてラスト2周で、逃げ集団からボアーロがアタック。TTスペシャリストとして活躍する選手だけあって、独走に持ち込むと強さを発揮する。一緒に逃げていた3選手はあっという間に置き去りにされ、そのままメーン集団へと吸収された。

再び単独アタックを見せたボアーロ再び単独アタックを見せたボアーロ
ボアーロに置いていかれた3人は、すぐに集団に吸収ボアーロに置いていかれた3人は、すぐに集団に吸収

 しかし、勢いを増すメーン集団のスピードにさすがのボアーロも太刀打ちできず。ラスト1周の鐘を聞くと同時に吸収され、大集団でゴールを目指す形に。スプリント勝負になることは濃厚だ。

 強力なヨーロッパのプロチームに対し、トレインを組んで集団前方へと躍り出たのは、地元の雄・宇都宮ブリッツェンだ。阿部嵩之の牽引は有力チームでも対抗するのが難しいほどの力強さだった。そのまま最終コーナーをクリアし、ゴールまで残り600m。

ボアーロも吸収され、集団は一つに。残り1周から先頭に躍り出たのは、地元・宇都宮ブリッツェンのトレインボアーロも吸収され、集団は一つに。残り1周から先頭に躍り出たのは、地元・宇都宮ブリッツェンのトレイン

 しかしここから地力を見せたのは、スカイとガーミン・シャープ。ラスト200mでディフェンディングチャンピオンのヴォンホフがスプリントを開始すると、スカイはベン・スウィフト(イギリス)を発射台にサットンが加速。並んだままゴールラインを通過した2人。すぐに優勝を確信しガッツポーズを決めたサットンに対し、半信半疑といった様子のヴォンホフ。勝敗は写真判定に持ち込まれた。

スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)とサットンが、ハンドルを投げ合ったスティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ)とサットンが、ハンドルを投げ合った
ゴール直後、勝利を確信して両手を上げたクリストファー・サットン(オーストラリア、チーム スカイ)ゴール直後、勝利を確信して両手を上げたクリストファー・サットン(オーストラリア、チーム スカイ)

 数分後、サットンの優勝が確定。ここまでピュアスプリンターとして鳴らしてきたプロキャリア9年目の30歳だが、今シーズンは未勝利だっただけに喜びもひとしおのようだ。特に、終盤はエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)、スウィフトとのトレインを形成し、盤石の態勢を築いた。優勝を確認したチームメートととともに勝利を分かち合った。

優勝のサットン優勝のサットン
ネイサン・ハース(中央)が、優勝のサットンと2位のヴォンホフを祝福。オーストラリア人の3人でポーズネイサン・ハース(中央)が、優勝のサットンと2位のヴォンホフを祝福。オーストラリア人の3人でポーズ

 ヴォンホフは連覇ならず。しかし、狙い通りの走りで優勝争いに挑めたことに満足した様子だ。サットンや、3位に入ったスウィフトとともに、さわやかに健闘を称えあった。

◇         ◇

 クリテリウムの表彰式は、宇都宮市内のイベント広場「オリオンスクエア」で行われた。サットン、ヴォンホフ、スイフトの上位3人と、スプリント賞を獲得したハース、マルカートが登壇すると、大勢のファンから喝采を浴びた。

 優勝したサットンは「初来日したのは2005年で、今回が2度目。ファンが素晴らしくて、こんなレースは他にないと思っている。来年また戻ってきたいと思います」と宣言。

石でできた鳥居のトロフィーを掲げるサットン石でできた鳥居のトロフィーを掲げるサットン

 さらに、チームの完璧なアシストによって勝利したことについて「序盤から厳しいレースで、最初は調子がよくなかったけれど、15分くらい走ったら徐々に上向きになってきた。チームメートの助けもあり、勝つことができた。スイフトは弟のような存在なので、彼のアシストで優勝を飾れ、一緒に表彰台に上がれたことがうれしい」と喜んだ。

 ゴール時は、ジャパンカップクリテリウム5回目にして初めての写真判定が行われた。勝ったという確信があったのか、と質問されたサットンは、「少し疑問はあったけど、自分の自転車が前に出ていると思った」。ゴール直後に見せたガッツポーズは、その確信から生まれたようだ。

スプリント賞の特別ジャージを着たハース(左)とマルカートスプリント賞の特別ジャージを着たハース(左)とマルカート
トークショーに登場したペタッキトークショーに登場したペタッキ

 また、表彰式前のトークショーには、ジャパンカップクリテリウムに先立って行われた「レジェンドクリテリウム」に出場した今中大介さん、阿部良行さん、片山右京さんらが会場を盛り上げた。また、ジャパンカップクリテリウムのために結成されたスペシャルチームのメンバーも登場。このチームで出場したアレッサンドロ・ペタッキは、「10年ほど前に来日した時から素晴らしいファンがいる国だと思っていたので、再び呼んでくれたことをうれしく思っています。日本人は素晴らしい国民だと思っています。ありがとうございました」と感謝のメッセージを送った。

 19日には宇都宮市森林公園へと舞台を移し、メーンレースの2014ジャパンカップサイクルロードレースが行われる。古賀志林道を筆頭にアップダウンに富んだコースが使用されることから、主役はクライマーやパンチャーへと移る。午前10時のスタートとともに、熱き戦いが幕を開ける。

(文・福光俊介、平澤尚威 写真・米山一輝、平澤尚威)

■ジャパンカップクリテリウム(35.65km)
1 クリストファー・サットン(オーストラリア、チーム スカイ)41分32秒 
2 スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +0秒
3 ベン・スイフト(イギリス、チーム スカイ) +0秒
4 グレガ・ボーレ(スロベニア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ)+0秒
5 ウェズレイ・サルツバーガー(オーストラリア、ドラパック プロフェッショナルサイクリング) +0秒
6 ミケル・ヴァルグレンアンデルセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)+0秒
7 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、クリテリウム・スペシャルチーム)+0秒
8 宮澤崇史(ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ) +0秒
9 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ) +0秒
10 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チーム スカイ) +0秒
11 ヤン・ポラン(スロベニア、ランプレ・メリダ) +0秒
12 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +0秒
13 モレノ・モゼール(イタリア、キャノンデール プロサイクリング) +0秒
14 エリア・ファヴィッリ(イタリア、ランプレ・メリダ) +0秒
15 畑中勇介(シマノレーシング) +0秒
16 バーナード・サルツバーガー(オーストラリア、ドラッパック プロフェッショナルサイクリング) +0秒
17 新城幸也(チーム ヨーロッパカー) +0秒
18 岡篤志(ジャパン・ナショナルチーム) +0秒
19 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール プロサイクリング) +0秒
20 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
+0秒
【スプリント賞】
5周目 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
10、15周目 マルコ・マルカート(イタリア、キャノンデール プロサイクリング)

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