工具はともだち<58>憧れるような強くて美しい工具に 細かく磨いたあとはメッキの“お化粧”で完成

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仕上げの美しいKTC「ネプロス ラチェットハンドル」仕上げの美しいKTC「ネプロス ラチェットハンドル」

 出張でよく新幹線に乗ります。新幹線は今年で開業20周年。小さい頃の私には憧れの乗り物でしたが、今も変わらず、お子様にとって憧れの乗り物のようです。整備現場の見学会が開催されていますし、運が良ければ見られるという検査用車両「ドクターイエロー」など、公共交通機関でありながら、お子様たちに多くの楽しみを提供しています。自転車も、三輪車に始まり、通学用自転車を経て、カッコいいロードバイクに憧れるようになるのではないでしょうか。

 憧れの対象になっていくものって、見た目が美しい、格好いいという要素が非常に強いように思えます。工具もそうあってほしいとの思いで、われわれも最終的には美しさを追及しています。

表面処理で美しく、さびにくい工具に

 これまで紹介してきた工程で、工具を作るための最適な素材を、想定した仕様に基づいて成形し、カット。安全性を考慮し、バリやカエリといったものを取り除くために、特殊な刃物やサンドペーパーで磨く。そして硬く強靭でありながらも、壊れにくくするために熱処理を施す。こうして作り上げられてきた工具類は、いわゆるガテン系。

 そこに、美しいという要素を追加していくのが、今回紹介する工程です。

⑤バレル研磨

 さまざまな加工工程を経て、完成系に近づいてきた工具。最後に美しさを引き出す表面処理を施していきます。ただ、そのままの状態で表面処理を施すと、表面に付着している不要なものまで包みこんでしまいます。ですので、まずはその不純物を取り除くところから。

 刃物やサンドペーパーでカエリなどを取り除いても、まだ手を損傷させてしまうような小さなものが残ってしまいます。それらをバレル研磨という方法で、取り除いていきます。バレル=樽の中に、研磨石やコンパウンドとワーク(工具)をいれ、小さな振動をつけることで、表面を滑らかに仕上げます。この工程は研磨材が小さくかつ自由に動くため、機械で研磨しにくい場所であっても美しく仕上げることができます。ただし、必要以上にやるとワークの角部を丸くしてしまう危険性があるので、適切な力、時間で行う必要があります。

⑥表面処理

 微妙な調整をしながら、工具のお肌の表面が滑らかになれば、そろそろお化粧の時間です。工具の表面処理は、一般的には、ニッケル・クロムのメッキを施します。表面を薄膜で覆うことにより、美しく仕上げるだけでなく、金属のさびを発生しにくくするといった狙いがあります。

 このようにして、皆さんに憧れを与えるような工具作りをしています。ただし水分には、決して強くありません。雨に濡れたら拭き取る、適度な油分を塗布しておくなど、日ごろのメンテナンスも欠かさないでくださいね。お客さまのなかには、椿油を塗る方もいらっしゃるようです。

 だいぶ涼しくなり、サイクリングには、最適なシーズン。愛車のメンテナンスもお忘れなく。そのときは、憧れの工具を使うのもいいのではないでしょうか。

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小池覚(こいけ・さとる)

KTC(京都機械工具)へ入社後、販売企画や商品開発に携わる。学生時代から二輪、四輪が趣味で、整備経験が豊富。自転車は実は始めたばかりだが、工具のプロとして、サイクリストにも整備の“いろは”を伝えることに燃えている。

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