産経新聞オピニオン面【ネットろんだん】より「自転車は危ないから乗るな」 市長の異例の呼び掛けに批判集中

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 新潟県加茂市の小池清彦市長は今月、市内の小中学生約2000人に「自転車は危ないからなるべく乗らないように」と呼び掛ける文書を配布した。8月に市内で自転車に乗った中学生の死亡事故が起きたため、再発防止が目的だった。しかし、インターネット上では「自転車が安全に走れる環境を整備しないのは行政の怠慢」と批判が渦巻き、賛成の声は少ない。

 事故が起きたのは8月19日。信号機のない交差点で、自転車に乗った中学2年の男子生徒=当時(13)=がワゴン車と衝突。頭を強く打って搬送先の病院で死亡した。

 これを受けて配布された文書は、(1)自動車がたくさん通る中で乗るのは極めて危険(2)なるべく徒歩かバスを利用するのがよい(3)どうしても乗るときは必ずヘルメットを着用するよう-などと書かれていた。10月1日に担任が児童、生徒に手渡した。

二度と事故起こしたくない

新潟県加茂市の小池清彦市長が配布した文書の一部新潟県加茂市の小池清彦市長が配布した文書の一部

 小池市長は「このような痛ましい事故を二度と起こしたくない」と感じ、異例の文書配布に踏み切った。平成7年の初当選以降、市内の小中学校にスクールバスを導入しているため、小中学生の通学は現在、原則的にバスか徒歩で、自転車の使用は放課後や休日程度になるようにしていた。それだけに、思いは強かったようだ。同市内では少なくとも19年以降、小中学生の自転車の死亡事故は起きていないという。

 このニュースにネット民は即座に反応。掲示板などに「すごいな。自転車に乗れないなんて、どんだけ危険な街なんだよ」「危険なのは自転車じゃなくて自動車じゃないの?」「外に出ると危ないから外に出てはいけませんと言っているのと一緒だろ」と、批判の書き込みがあふれた。

 特に目立ったのは、「全く時代に逆行しているな」「他の自治体や国はむしろ、自転車の利活用を模索していると思うんだが」などの声。

 昨今の環境意識の高まりから、自転車は地球にやさしい健康的な乗り物として見直す機運が高まり、平成18年頃からブームが続いている。通勤手段を公共交通機関から自転車に切り替える「ジテツー」が増え、自転車で“お散歩”を楽しむポタリングの愛好者も多くなった。また、駅前などに自転車を大量に用意して市民がシェア(共同利用)する取り組みも各地で進んでいる。時代に逆行と指摘されたのはそのためだ。

「時代に逆行」「行政の怠慢」

 それゆえ、「自転車なんてごく普通の乗り物なんだから、排除するのではなく、交通安全教育をきちんとしたうえで利用させればいい」との声も上がる。全国では、自転車専用レーンの整備もわずかずつ進んでおり、「危険なのは自動車と混走するから。危険と認識したうえで専用レーンを整備していないなら、行政の怠慢だろう」という批判もあった。

 ただ、市内の小中学生の通学を原則的に全てスクールバスにするという加茂市の取り組みは、児童や生徒を不審者などの危険から守るための優れた方策だと評価され、国の青少年白書でも紹介されている。そのため、「子供を危険から少しでも遠ざけるのは親や社会の責任」「危ないものには乗らせない方がいい」という声もある。

 それでもネット上では、「リスクのない生活はない。行政がムキになっても仕方ないでしょ」といった意見が支配的。「自転車に乗れない人を、自治体が大量生産してどうするの」という声もあった。(壽)

【用語解説】自転車の安全利用

 自転車は道路交通法上、軽車両とみなされ、車道走行が原則。だが、昨今の利用者増で平成19年に法改正され、13歳未満の子供は歩道を通行できるようになった。また、国土交通省と警察庁は24年、従来の道路整備は自動車優先で自転車に配慮されていなかったとして、自治体が自転車専用レーンを設置する際のガイドラインを策定。国を挙げて自転車の安全利用を推進している。

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