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栗村修の“輪”生相談<33>55歳男性「素人ではないローディーのマナーが改善されていない事が気になります」

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栗村さんこんにちは。スポーツ自転車歴35年の55歳男です。

 最近は様々な方の努力で、自転車は軽車両、通るのは車道左側などのルールやマナーがかなり認知されてきて、嬉しい限りです。が、最近気になるのは、素人ではないローディーのマナーが改善されていない事です。

 たとえば、渋滞してると迷わず歩道に上がる、しかも結構な速度で走る、など。しかも、初心者ではなく、明らかに上級者(走り方、ジャージで判ります)のケースが結構多いように思います。

 可能であればその場で注意する様にしていますが、このままで良いのでしょうか? 競技団体、ショップの組合、メディアなど、まとまった取り組みをしないといけないと強く感じますが、栗村さんはどうお思いですか?

(55歳男性)

 正直、耳が痛いご質問ですね。特に、僕のように昔からロードバイクに乗っていた人間にとっては…。

 僕が選手をやっていた時代は、今以上にロードバイク乗りは少なく、同時に今以上に交通ルールに関してルーズでした。たとえば、「自転車は歩道」という、誤った意識が一般的だったんですね。車道を走っていると自動車から煽られたり、逆に自転車乗りが、駐車車両をパスするのに歩道を突っ切ったり。昔からロードバイクに乗っている人ほど、古い、間違った交通ルールが染み付いてしまっているのかもしれません。

 また、たとえば、僕が現役だったころは、ヘルメットをかぶらないのが普通でした。僕はプロになった年、ジャパンカップに出場したのですが、ノーヘルで走った記憶があります。ノーヘルは普通だっただけでなく、「格好いい」ことだったんです。むしろヘルメットがダサいと思われていたというべきでしょうか。

1994年のツール・ド・フランス、集団ゴールスプリントを制したのはノーヘルのマリオ・チポッリーニ(イタリア)。スプリンターですらヘルメットをほとんど被らなかった時代だ1994年のツール・ド・フランス、集団ゴールスプリントを制したのはノーヘルのマリオ・チポッリーニ(イタリア)。スプリンターですらヘルメットをほとんど被らなかった時代だ

 練習中も、春先のベルギーのワンデーレースのように、信号や路上駐車の車で停止しないですむよう歩道を走ったりするのが「上手い」と思われる時代でした。今思うと、ずいぶん危険なことをしていたと思います。

 しかし時代は変わり、プロ選手も、ヘルメットの着用が義務付けられました。今の僕はTA(ティーチングアドバイザー)として宇都宮ブリッツェンに関わっているわけですが、時代は変わったと思いますね。選手は必ずヘルメットをして、二段階右折をする。ぶっちゃけ、僕の時代は二段階右折をしない選手もいました。でも、今の選手たちはルールを厳守する。

 ご質問にあるような走りかたをする人は、昔の感覚が抜けていない一部のベテランライダーが含まれているのかもしれません。でも、せっかく自転車の交通マナーが周知され、地位向上が叫ばれる今、そういう人こそ変わらないといけませんね。

 残念ながら、交通ルールに関する取り組みは後手に回っています。個別のライダーやチームが叩かれることはあっても、全体としての取り組みはほとんどありません。僕はずっと競技畑でやってきた人間ですが、今、啓蒙活動の必要性を痛感しています。

(編集 佐藤喬/写真 砂田弓弦)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会副ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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