産経新聞愛媛版【話のステージ】より言葉の壁、国境を越え、自転車新文化は世界中に広がる MTBプロライダー門田基志さん<5・完>

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 しまなみ海道のサイクリング振興への取り組みについて、マウンテンバイクのプロライダー、門田基志さんが産経新聞に寄稿した記事を、Cyclistでご紹介します。

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しまなみ海道を中心に、船、鉄道も

 私がサイクリングを始めた頃の「しまなみ海道」(西瀬戸自動車道)は、まだ全通していなかった。今治港から見える来島海峡大橋は工事中で、「しまなみは船で島に走りに行こう」という感覚。今治港から大島下田水港まで30分弱のフェリーで海を渡ると、そこからは大島、伯方島、大三島が橋でつながっていて、当時を振り返るとまるで小旅行のようだった。

予讃線の松山―今治間で自転車を持ち込める「サイクルトレインしまなみ号」=2014年4月、JR松山駅(愛媛県提供)予讃線の松山―今治間で自転車を持ち込める「サイクルトレインしまなみ号」=2014年4月、JR松山駅(愛媛県提供)

 最近は、しまなみ海道の橋と島をサイクリングすることが話題になっているが、瀬戸内の醍醐味は船、橋、島とサイクリングの融合で遊ぶこと。船で海を渡って島を自転車で走り、また船に乗って次の島へというのが面白い。しまなみ海道の近くには「ゆめしま海道」と「とびしま海道」もあり、これら3つの海道を船で結び旅をすることは、このエリアでしかできない楽しみ方だろう。

 自転車は公共交通や車などに積み込むことができる便利な乗り物で、船やサイクルトレインを利用するといった楽しみ方ができるのも魅力なのだ。

 愛媛県は、しまなみ海道を中心に「サイクリングの聖地」をアピールし、多くのサイクリストらが国内外から訪れる場所へと駆け足で突き進んできた。また、自転車新文化という大きな目標を持ち、サイクリストの誘客だけでなく、自転車の安全利用の条例など安全対策やマナーアップにも取り組んでいる。これら数多くの取り組みを行っている愛媛県が、サイクリング文化の先頭を走る責任と影響は大きいと感じる。

世代を超え、言葉の壁を越え…

 十数年前、来島海峡大橋の設計に関わり今治市で仕事をしていた知人が、しまなみ海道開通15周年記念式典で今治に来ることになった。当時、一緒に自転車で走っていた仲間で、私にとって年の離れた友達でもある。

 久しぶりにしまなみ海道を一緒に走ると、過ぎ去った時間を越えて一体感を感じた。プロ選手と一般のサイクリストという走力の差はあっても、サイクリングフレンドとして同じ景色を楽しみ空気を感じることができる、それがサイクリングの良いところだと思う。

レースだけでなくスクール、イベントなど、精力的に活動する門田基志さん=2014年3月(米山一輝撮影)レースだけでなくスクール、イベントなど、精力的に活動する門田基志さん=2014年3月(米山一輝撮影)

 しまなみ海道では最近、定年退職した人達のサイクリンググループと良く出会う。話をすると、自転車を始めたのはここ数年という人が多い。最初は大島まで渡るのが目標で、次は伯方島でラーメンを食べる、その次は大三島で神社にお参りと距離が伸びていく。気がついたら尾道まで自転車で行けるようになり、今では1日で往復出来るまでになったという。

 このグループのように同世代でのサイクリングもいいが、しまなみ海道を楽しむのに年齢は関係ない。例えば、おじいちゃんが孫と夏休みの思い出に来島海峡大橋を渡るなど、世代を超えて楽しめるのもサイクリングの良いところだ。

 台湾からは年間数百人がサイクリングに訪れている。ツアーガイドとして彼らと一緒に走ると、サイクリスト同士、すぐ意気投合して楽しめる。サイクリングは世代を超え、言葉の壁を越え、国境をも越える。自転車新文化の輪が、しまなみ海道から世界中に広がる。<完>

産経新聞・愛媛版より)

門田 基志(かどた・もとし)

昭和51年、愛媛県今治市生まれ。今治明徳短期大学卒。世界最大の自転車メーカー、ジャイアント所属のMTBプロライダー。選手として国内外のレースに参戦する一方、レース以外のサイクリングツアーも展開。石鎚山ヒルクライム、サイクリングしまなみなど数多くの自転車イベントを提案し、安全教室の講師やアドバイザーも務めるなど、自転車文化の発展に奔走している。

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