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つれづれイタリア~ノ<37>イタリアナショナルチームの食卓で「古代小麦」が活躍 変化する食材とメニュー

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スペイン・ポンフェラーダで行われたUCIロード世界選手権(砂田弓弦撮影)スペイン・ポンフェラーダで行われたUCIロード世界選手権(砂田弓弦撮影)

 スペインのポンフェラーダで開催された2014年のUCIロード世界選手権が終わりました。昨年はイタリアが誇る世界遺産、花の都フィレンツェで行われ、とても盛り上がったのに対し、今年は華やかさを欠きました。交通の不便さとホテル不足が原因で観客数も少なかったようです。実際、イタリアのメディアからも開催地の選択と運営方法に対し、不満の声がたくさん挙がりました。

 しかし、世界選手権は世界選手権です。一年に一度、ワンデーレースのチャンピオンを決める重要な大会ですから、ファンとしては見ない訳にはいかないのです。

 今年のエリート男子ロードレースでは優勝候補と期待されていた地元のスペインやイタリア、オランダ、ドイツ、フランス、ベルギー、スイスの選手が不発で、ポーランドのミハウ・クフィアトコフスキー(オメガファルマ・クイックステップ)が優勝。母国に初のメダルをもたらしました。

ジロ・デ・イタリア2013出場チームのディナーで提供されたパスタ(砂田弓弦撮影)ジロ・デ・イタリア2013出場チームのディナーで提供されたパスタ(砂田弓弦撮影)

 世界選手権は、国同士が対決するという不思議なもの。しかし、その裏では国の枠組みを超え、様々な国籍の人間が協力し合っています。ベネズエラの監督がイタリア人だったり、シェフのほとんどがイタリア人だったり。実は料理の話になると、イタリアが金賞ものです!

料理世界選手権なら金メダルはイタリアに

ロード世界選手権のレース前夜、パスタで食事をとる日本ナショナルチーム(飯島美和撮影)ロード世界選手権のレース前夜、パスタで食事をとる日本ナショナルチーム(飯島美和撮影)

 自転車選手たちの胃袋を支えているのは、ほとんどがイタリアのシェフたちです。今年の世界選手権でもイタリア、ドイツ、カザフスタンなどのナショナルチームのシェフたちはみんなイタリア人でした。

 ドイツナショナルチームの例を見てみましょう。担当しているのは、カンパニョーロ本社のあるヴィチェンツァ出身のエロス・スタンゲルリンさん。

 スタンゲルリンさん自身も硬派の自転車愛好家で、仕事をしながら毎年2万kmを自転車の上で過ごします。1997年からイタリア自転車代表チームを担当していましたが、2010年にドイツ代表チーム監督の目に留まり、2013年イタリア代表からドイツ代表チームに正式に移籍。スタンゲルリンさんの話によればドイツ人もパスタが大好きだそうですが、イタリア人との違いと言えば、ジャガイモ、サツマイモとスイーツの消費量だそうです。やはり多い。

最新の食材は「古代小麦」

 今年、イタリアナショナルチームは何を口にしたのでしょうか。今年からイタリアナショナルチームの指定栄養士を務めているのが、イアデル・ファッブリさんというお方。さまざまな選手のメンタルトレーナーや食生活指導を担当しています。彼の指導の下で鍋を動かしているのが叔父のマッシーモさんと孫のミルコ・カローロさん。

イタリアナショナルチームに用意された食材

パスタ類 100kg(全粒粉でグルテン除去または低グルテンのもの)
お米  30kg
鶏肉  100kg
赤身肉 30kg
魚貝類 40kg
乳製品 20kg
卵   750個
果物  200kg

イタリア大手製麺企業、デチェッコ社のホラーサーン入りパスタ ©DECECCOイタリア大手製麺企業、デチェッコ社のホラーサーン入りパスタ ©DECECCO

 栗村修さんが説明しているように、トレーニングで破壊された細胞を作るためには、バランスのいい食事が必要不可欠です(連載「栗村修の“輪”生相談」<32>)。注射による栄養成分の接種が禁止されてから、食事の改善が注目されています。そこでファッブリさんが切り札として出したのが「古代小麦と健康食品」の使用。特に古代小麦の一種、ホラーサーンに注目をしました。

 ホラーサーンとは、中東ペルシアで栽培されている古代小麦の一種で、現代の大量に作られている小麦の品種と比べて栄養面で優れているようです。高タンパク質でミネラルやビタミンEが豊富だとされ、疲労回復に役立つというスポーツマンにぴったりの小麦です。少量生産ですので、ほとんどは無農薬栽培のようです。味は素朴で、「昔のパスタだ」とみんな口をそろえて言っています。

 このホラーサーンは数年前から、スポーツ界で注目を集めています。とあるアメリカ企業の「KAMUT」(カムート)という製品がよく知られています。

一般小麦とホラーサーンの成分比較

水分     11.5% 9.7%
熱量(100g) 335cal 359cal
たんぱく質  12.3% 17.3%
脂質     1.9%  2.6%
炭水化物   72.7% 68.2%
食物繊維   2.1%  1.8%

 今年からイタリア人選手のメニューのなかには、ホラーサーン入りのパスタやグルテンが除去された全粒粉のパスタやパンが入っています。その他の献立は鶏肉、生野菜と温野菜、デザートに大量のフレッシュフルーツ(リンゴ、バナナ、パイナップル、桃、ブドウなど)。

 朝食にもホラーサーンのパスタにラスク、卵料理(黄身を半分以上省いたもの)に蜂蜜と、糖質の少ないフルーツジャム。

 日本ではホラーサーン小麦はあまり普及していませんが、イタリアの自然食品店や大型スーパーには必ず置いています。イタリアを訪れた際には、ぜひ買ってみてください。古代小麦は味わい深く、個人的にはファッロという古代小麦が大好きです。古代小麦なら、サラミのように成田空港で没収されることはないはずです。

文 マルコ・ファヴァロ

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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