ドイツ人サイクリストのMTB旅<1>いざ、日本へ! 楽しい旅のはじまり

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 2012年5月、日本をマウンテンバイク(MTB)で旅するドイツ人の集団がいた。彼らの目的は、「日本に秘められたドイツ史をMTBで発見する旅」。世界各地に散在するドイツ史を求めて、1992年から続けているプロジェクトの一環だ。ドイツの玄関口、フランクフルトを擁するヘッセン州からやってきたメンバーは、ハラルド、ヨルク、マティアス、ウリ、ジギの5名。地元テレビ局のクルーと共に、長崎、大阪、箱根、富士山、東京を訪れた旅の記録を、全6回で紹介する。

「日本に秘められたドイツ史をMTBで発見する旅」のはじまり


5月8日、火曜日=フランクフルト

 さあ、出発だ! 日本を横断しながらドイツ人の歴史的足跡を求める「アドベンチャー・プロジェクト2012」がついに始まる。早朝、タクシーバスと自転車用トレーラーで故郷ヘッセン州の街を出て、フランクフルト空港へ向かった。自転車は、特別なキャリングケースへ安全に納めた。自転車が無事に届かなければ、旅で走ることすらできなくなってしまう。

 今回の旅には、ヘッセン放送のペトラとフランツィスカと同行取材し、写真や映像を記録する。後日、ヘッセン放送で5回にわたる特集番組が放映される。

 空港では、すでにカメラマンが出発日の様子を撮影しようと待ち構えていた。その晩、すぐに放映するそうだ。特大の荷物を抱えてのチェックインも問題なく済んだ。

 ペトラが、私たちをびっくりさせるものを用意していた。日本で精がつく食べ物として人気があるという、ローストされたムシを持ってきたのだ。彼女を信じて、そのムシを試食する。この不思議な経験が、ツアーの成功に役立ったのかどうか、はっきりとはわからないが…。

 約11時間のフライトを経て、水曜日の朝6時に東京へ到着した。ドイツとの時差は7時間。フライトは至極快適で、リラックスできた。これは、ボーイング787ドリームライナーの快適な設備と、ANAの非常に優れたサービスのおかげだ。

エレベーターに乗り込む


5月9日、水曜日=長崎

 きょうの行き先は、東京ではなく長崎。空港で4時間待ってから、さらに2時間のフライトで移動した。残念ながら、国際線から国内線へのバゲッジスルーチェックインはできなかった。私たちは、重い荷物を一度すべてピックアップし、再びチェックインする羽目になった。

 午後1時半ごろに長崎へ着陸。東京とは打って変わってすばらしい青空だ。太陽は輝き、気温は25℃にまで上昇した。すでにヘッセンを出発してから24時間経過し、相当に疲れていたが、これから始まる旅を思うと興奮を抑えきれない。

 ただ、この日の予定は、あとはホテルへ向かうだけだった。私たちを待つ2台のバスへ、再び特大サイズの自転車ケースを積み込んだ。この運搬作業には、よく慣れる必要がある。今回の旅を通じて、“物流”に費やす手間やコストは途方もなく大きい。長崎に入るだけでも、私たちはずーっと荷物の扱いを計画し、調整し、訪問先に電話し、メールを送り続けてきた。

 ホテルでは、自転車を建物内に施錠しないで停めておくように言われた。これに対し、私たちは猛然と反論した。無施錠での保管が日本で問題ないことだとしても、願わくば自転車を施錠して安心したいものだ。交渉の末、自転車を停めておく部屋を確保できたので、自転車ケースをエレベータで運び、建物内を引っ張って部屋へ向かった。

 ホテルで自転車を組み立てた後、いよいよ探索ツアーを開始。午後4時、日本の大地で最初のひとこぎを記した。

 まず駅の観光案内所へ直行。そこでは、翌日のインタビューの相手として、長崎市出島復元整備室長で、歴史の専門家である馬見塚純治さんに連絡をとってもらった。

 港の遊歩道のすぐ脇にある駐輪施設で、リラックスしたひと時を過ごす。ここに、ヨーロッパから日本へ最初の貿易品を持ちこんだ「オランダ人」がやってきたのだ。太陽が徐々に傾く中、私たちは地中海風の雰囲気を持つ港の遊歩道で、心地よく夕食を楽しんだ。

日没の港に浮かび上がる自転車のシルエット日没の港に浮かび上がる自転車のシルエット

 そこで初めて、私たちは日本の高い物価に直面もした。日本という国は、決して安価なリゾート地ではない。ただ、品質は納得いくものがある。

 暗い中でライトをつけてホテルに帰り、自転車を片づけた後、全身が疲労していたにもかかわらず夕暮れの散歩に出た。さらに、心地の良い居酒屋で素敵な夜を過ごした。ちいさいビア樽が空になるまで飲み、陽気なドイツ人たちの写真をたくさん撮り、日本のスカーフの土産物もほどよい値段で買うことができた。こんなに楽しい旅をしたことは初めて、疲れも忘れてしまった。楽しい時間は、時差ぼけへの対処法にもなった。

レポート文・写真 ”Hinterländer Mountainbiker”(ヒンターランドのMTB乗り)

■初回特別Q&A■
――これまでどのような旅をしましたか?
国内から始まり、2002年にフランスからイタリアへ抜ける「ハンニバルのアルプス越え」ルート、2004年に聖人ボニファティウスの伝道ルート、2006年に中国の万里の長城などへ行きました。中でも2010年のナミビアでは、「ビッグ・ダディ」と呼ばれる標高383mの大砂丘からダウンヒルをするという格別な経験をしました。
――ふだんからMTBに乗っているのですか?
今回のような旅は特別で、2年がかかりで計画します。それ以外には、週に2回、雨でも雪でもみんなで集まって乗っています。以前、歴史とは関係なく、鉄鉱の採掘所を1000mもぐっていくチャレンジをしたときには、1997年のギネスブック記録になったこともあります。

<2>鎖国時代から日本に足跡 長崎・出島で辿ったドイツ史

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