団体優勝の経済産業大臣旗もブリヂストンアンカーが獲得序盤からの逃げ切りに成功 内間康平がJプロツアー「ロードチャンピオンシップ」制覇

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 国内ロードレースのシリーズ戦「Jプロツアー」の第15戦、「JBCF 経済産業大臣旗 ロードチャンピオンシップ」が9月21日、広島県の中央森林公園で行われた。経済産業大臣旗をかけた歴史あるレースは、序盤から逃げを決めた17人から生き残った2人のゴール勝負となり、内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が入部正太朗(シマノレーシング)を下してJプロツアー初優勝を挙げた。団体成績で争われる経済産業大臣旗もブリヂストンアンカーが獲得した。

逃げからのマッチスプリントを制した内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が優勝逃げからのマッチスプリントを制した内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が優勝
レース前、昨年団体優勝のマトリックスパワータグから経済産業大臣旗が返還されたレース前、昨年団体優勝のマトリックスパワータグから経済産業大臣旗が返還された

 ロードチャンピオンシップは、全日本実業団の流れをくむ一戦で、今年で48回目の開催を迎える。レースレイティング(格付け)はシリーズ中最高のAAAに位置づけられ、年間ポイント争いにおいても非常に重要な一戦だ。舞台は毎年変えられ、今年は広島森林公園での開催。奇しくも現在開催中のアジア大会が、20年前に広島で開かれた際に自転車ロードレース競技が行われたのが、この広島のコースだ。

 最高クラスP1のレースは、広島空港を取り巻く12.3kmの周回コースを13周する159.90kmで行われた。21チーム、117人の選手が号砲とともに一斉にスタート。コースは周回前半にスピードが乗る細かいアップダウン、後半には三段階でまとまって現れる上り区間が特徴となる。

1周目、アタック合戦が続く集団1周目、アタック合戦が続く集団
数人がわずかに飛び出した形で2周目を終える集団数人がわずかに飛び出した形で2周目を終える集団

 レース序盤は、まず逃げを決めて主導権を握りたい各チームのせめぎ合いとなった。2周目で5人が逃げ、3周目に10人ほどが追い付き、16人の逃げ集団を形成。昨年の優勝チーム、マトリックスパワータグは、アイラン・フェルナンデス、永良大誠、エドワード・プラデス、和田力の4人を送り込んだ。ブリヂストンアンカーは内間康平、寺崎武郎、伊丹健治の3人、宇都宮ブリッツェンは阿部‎嵩之と堀孝明の2人、他のチームは1人ずつが入った。

 単独で逃げに乗ったのは土井雪広(チームUKYO)、入部正太朗(シマノ)、普久原奨(那須ブラーゼン)、高岡亮寛(イナーメ信濃山形)、末永周平(クロップス・チャンピオンシステム)、フラビオ・バルセッキ(シエルヴォ奈良ミヤタ-メリダ)、小室雅成(ロヂャース)ら。土井がチームスタッフに、後方集団を追わせるよう指示を飛ばすが、この時点で後方メーン集団は約3分ほどのタイム差を許してしまっていた。

3周目、ついに逃げが決まった3周目、ついに逃げが決まった
一人では不利とチームスタッフに追うように伝える土井雪広一人では不利とチームスタッフに追うように伝える土井雪広
単独前を追って合流した大場政登志単独前を追って合流した大場政登志
メーン集団は一旦ペースを緩めていた。差は一気に3分まで開いたメーン集団は一旦ペースを緩めていた。差は一気に3分まで開いた

 4周目に、単独で逃げ集団を追走していた大場政登志(クロップス・チャンピオンシステム)が追い付き、先頭は17人となった。いったんペースを落としていたメーン集団も、追走のため再び活性化。集団は縦に長く伸び、力のない選手を振り落としてく。レースを3分の1終えた時点で、メーン集団もその人数を50人弱に絞った状態となった。

ペースの上がったメーン集団ペースの上がったメーン集団
追いかけるメーン集団。森本誠も積極的追いかけるメーン集団。森本誠も積極的
メーン集団で積極的に動いていた佐野だが、集団内で接触、メカトラで遅れてしまうメーン集団で積極的に動いていた佐野だが、集団内で接触、メカトラで遅れてしまう

 レース中盤、メーン集団は分断しながら1分台前半まで差を詰めるが、この動きは急激すぎたのか、再び一つにまとまる。しかしこれに反応する形で、今度は先頭集団がペースアップして分裂。8周目に土井、内間、入部らを含む8人が一時先行、さらに9周目には内間が単独アタックで先行する。このペースアップで、高岡、小室、末永らが脱落する。

上りでペースが上がり、分裂するメーン集団上りでペースが上がり、分裂するメーン集団
8周目の逃げ集団。ペースアップで分裂8周目の逃げ集団。ペースアップで分裂
単独先頭を行く内間康平単独先頭を行く内間康平
残り3周となった先頭5人残り3周となった先頭5人

 10周目には内間に追い付く形で、入部、大場、普久原、フェルナンデスの5人の先頭集団が形成された。1分差で土井、阿部‎、堀ら先頭から遅れた7人。さらに1分を置いてメーン集団が追う形に。メーン集団の先頭ではトマ・ルバ、ダミアン・モニエ(ともにブリヂストンアンカー)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、ホセビセンテ・トリビオ、サルバドール・グアルディオラ(ともにチームUKYO)らが一気にペース上げて追走する。

追走グループが合流。チームUKYOが先頭を固めて追いかける追走グループが合流。チームUKYOが先頭を固めて追いかける

 11周目には先頭5人に対し、後続の追走グループがまとまって、15人ほどの集団となった。集団先頭を固めて追うのは土井を中心としたチームUKYOで、先頭との差を1分を切るところまで詰めてきた。メーン集団が逃げを飲み込むのは時間の問題と思われた。

 しかしここから先頭で動きを見せたのが内間だ。11周目終盤、残り2周を前にアタックを仕掛け、単独先頭に立つ。残された4人のうち、入部だけが追走に成功し、12周目中盤に内間と合流した。追いかけるメーン集団は、その差20秒にまで迫り、レースは残り1周へと突入した。

残り1周目前、先頭は内間と入部に絞られた残り1周目前、先頭は内間と入部に絞られた
先頭2人を20秒差にまで捉えたメーン集団だが、ここからペースが上がらなかった先頭2人を20秒差にまで捉えたメーン集団だが、ここからペースが上がらなかった

 先頭2人が逃げきれるかどうかは微妙な情勢だったが、最終周回前半で、詰まっていた差が逆に1分まで広がった。内間がペースを上げたのに加え、メーン集団内での思惑が追走から次の展開へと移り、牽制状態が生まれてしまったのだ。獲得ポイントが大きい今大会、年間総合ポイント争いが懸かったブリッツェンとUKYOの睨み合いは、結果的に逃げの2人を勝利へと大きく近付けた。再び追走に入ったメーン集団だが、上り区間を終えて、その差40秒と万事休す。内間、入部の逃げ切りが確実となった。

いよいよホームストレートに現れた2人いよいよホームストレートに現れた2人
内間が加速して仕掛けた内間が加速して仕掛けた
入部は内間に並ぶこともできない入部は内間に並ぶこともできない

 2人のゴールスプリントであれば、スプリント力のある入部が有利。最後のホームストレートに現れた2人は、先頭内間で入部が後ろに付き、入部が万全の体制。内間は後ろを見ながら、スピードを限界まで落としてタイミングを計る。残り100mで内間がついに加速。後ろの入部も合わせるが、意外にも入部のスピードが伸びず、横に並ぶこともできない。そのまま内間が先頭で、大きくガッツポーズしながらゴールラインを駆け抜けた。2位は入部、3位は15秒差のメーン集団先頭を畑中勇介(シマノ)が獲った。

プロでも花開く内間、経験と自信を身につけ

プロ入り後は国内初勝利となった内間プロ入り後は国内初勝利となった内間

 内間はJプロツアー初勝利。高校、大学時代にはインターハイ、インカレなど大きな勝利を重ねていたが、プロ入り後は海外を中心に活動するチームに所属。アシストとしての役割が多かったことで、自らの勝ち星からは遠ざかっていた。しかし今年は日本代表で出場したツール・ド・シンカラ(UCI2.2)でステージ2勝を挙げ、また今大会の1週間前に行われたツール・ド・北海道(UCI2.2)では、第1ステージで2位に入り、個人総合でも3位に入る活躍を見せている。

 「先週の北海道では悔しい思いをしたので、広島に合わせていけば良い結果が出ると思い調整しました。前々で展開するのが自分の走り。最初から最後までパーフェクトな走りができました」とゴール後に語る内間。スプリントを得意とする入部とのゴール争いも、「ゼロ発進のスプリントには自信があった」と自ら先行して主導権を握り、真っ向勝負で栄冠を勝ち取った。

 終盤、30kmを残してアタックを仕掛けた。「シンカラで勝ったときもラスト30kmからだったので、チャレンジしました。(一人では難しい距離だが)一回やったことがあるので躊躇しませんでした」という内間。プロとしての経験を積む中で自らの勝ちパターンをつかみ、いよいよ花開く時がきたと言えるだろう。

大きな声を上げて喜ぶ内間大きな声を上げて喜ぶ内間
水谷監督と歓喜の抱擁水谷監督と歓喜の抱擁
完敗の入部。「負けたけど楽しかった」とコメント完敗の入部。「負けたけど楽しかった」とコメント

団体もブリヂストンアンカー 激しさを増す年間ポイント争い

 各チーム上位3人の成績で争われる経済産業大臣旗は、内間擁するブリヂストンアンカーが獲得。年間ポイント争いは、この日8位になったトリビオがルビーレッドジャージを守り、U23のピュアホワイトジャージは堀が奪回した。

 年間個人総合で連覇を狙うチームUKYOと、王座奪回を目指す宇都宮ブリッツェンのポイント争いは激しさを増しており、両者のにらみ合いが結果的にレース展開にも影響を与える場面が見られた。シーズン終盤の連戦が続くなかで、それぞれのレース、そして年間ポイント争いの行方も混沌としており、目の離せないレースが続きそうだ。

(文・写真 米山一輝)

P1表彰式。(左より)3位の畑中、優勝の内間、2位の入部P1表彰式。(左より)3位の畑中、優勝の内間、2位の入部
ルビーレッドジャージはトリビオが守り、ピュアホワイトジャージは堀が奪回ルビーレッドジャージはトリビオが守り、ピュアホワイトジャージは堀が奪回
経済産業大臣旗はブリヂストンアンカーが獲得経済産業大臣旗はブリヂストンアンカーが獲得
団体表彰団体表彰
女子のレースは、集団ゴールスプリントを制した吉岡美穂が優勝女子のレースは、集団ゴールスプリントを制した吉岡美穂が優勝
女子表彰。(左より)3位の智野、優勝の吉岡、2位の西女子表彰。(左より)3位の智野、優勝の吉岡、2位の西

P1結果(159.90km)
1 内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) 4時間4分44秒
2 入部正太朗(シマノレーシング) +0秒
3 畑中勇介(シマノレーシング) +15秒
4 エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ) +15秒
5 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +16秒
6 リカルド・ガルシア(チームUKYO) +16秒
7 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +17秒
8 ホセビセンテ・トリビオ(チームUKYO) +18秒
9 サルバドール・グアルディオラ(チームUKYO) +18秒
10 安原大貴(マトリックスパワータグ) +20秒

団体成績
1 ブリヂストンアンカー サイクリングチーム(内間、ルバ、モニエ) 3700pts
2 シマノレーシング(入部、畑中、木村) 2900pts
3 チームUKYO(ガルシア、トリビオ、グアルディオラ) 2600pts
4 マトリックスパワータグ(エドワード・プラデス、安原、永良) 2200pts
5 宇都宮ブリッツェン(増田、堀、鈴木真理) 1600pts
6 イナーメ信濃山形(森本、高岡、中村) 1000pts

Jプロツアーリーダー(ルビーレッドジャージ)
ホセビセンテ・トリビオ(チームUKYO)

U23リーダー(ピュアホワイトジャージ)
堀孝明(宇都宮ブリッツェン)

F結果
1 吉川美穂(Team ASAHI) 1時間56分55秒
2 西加南子(LUMINARIA) +0秒
3 智野真央(ニールプライド・メンズクラブ JFT) +1秒

Jフェミニンリーダー
棟近陽子(EURO-WORKS Racing)

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