産経新聞愛媛版【話のステージ】より「世界のしまなみ海道」へ、ガイド育成と環境の整備を MTBプロライダー門田基志さん<2>

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 しまなみ海道のサイクリング振興への取り組みについて、マウンテンバイクのプロライダー、門田基志さんが産経新聞に寄稿した記事を、Cyclistでご紹介します。

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国際的な人気イベント「サイクリングしまなみ」をPRする門田基志さん=2014年4月(平澤尚威撮影)国際的な人気イベント「サイクリングしまなみ」をPRする門田基志さん=2014年4月(平澤尚威撮影)

 「しまなみ海道」(西瀬戸自動車道)を中心としてサイクリングが盛り上がっている愛媛県は、海外のサイクリスト誘客にも積極的で、ここ数年は台湾、香港、インドネシア、シンガポールなど多くの国・地域からサイクリストが訪れるようになった。さらにミシュラン・グリーンガイドや米CNNの世界7大サイクリングロードにも選ばれ、サイクリングツアーの依頼が数多く寄せられるなど人気に拍車が掛かっている。

 サイクリングツアーとは、通常の場合、30人程度のグループに熟練のガイドサイクリストが2、3人付き添い、参加者の安全を確保した上で、サイクリングを楽しんでもらえる配慮をしつつグループを誘導するというものだ。

 右側通行の国から来たサイクリストは、しまなみ海道などの上り下りするループでカーブを繰り返すと、普段の習慣から右側に入りがちになる。また、信号や交通ルールなどの違いから戸惑うことも多いが、ガイドが誘導することで不安や迷いがなくなり、単純にサイクリングを楽しむことができるようになる。

 さらにサポートカーも準備して、坂道の頂上や休憩ポイントで飲み物や食べ物の補給を行い、パンクなどのトラブルにも対応する。こういったスタイルのサイクリングツアーは、さまざまな国で既に事業として成り立ち、観光産業の一部として盛り上がりを見せている。

熟練された海外のサイクリングツアー

 世界各地のレースを転戦する中で訪れたフランス、オーストリア、カナダ、ドイツでは、スキーリゾートの夏場の主力はサイクリングツアーだと聞いた。アジアでもタイ、インドネシアのバリ島、台湾では通年、サイクリングツアーが実施されている。

 昨年、世界選手権で訪れたオーストリアの町では、2人程度のガイドが20~30人のサイクリストを連れているツアーと多くすれ違い、完全に事業として成り立っていることに驚かされた。

 また、台湾は1周サイクリングツアーが有名で、筆者も2周ほど台湾を回っているが、プロ選手の卵といわれる強力な走力のガイドと、集団をまとめる熟練のガイドのペアでツアーをコントロール。危険な街中の走行も交差点もストレスなく走り抜け、時間通りに目的地に到着する完璧なガイドぶりだった。

 さらに、これらの国や地域には当たり前のように自転車を持ち込めるサイクルトレインがある。方法はさまざまだが、バスにも自転車が積める場合が多い。

「世界7大サイクリングロード」として勝負の1年

伊予鉄道のサイクルトレイン実証実験に参加した門田基志さん(右)。愛媛県の中村時広知事(中央)と松山市の野志克仁市長も乗り込んだ=2014年3月(米山一輝撮影)伊予鉄道のサイクルトレイン実証実験に参加した門田基志さん(右)。愛媛県の中村時広知事(中央)と松山市の野志克仁市長も乗り込んだ=2014年3月(米山一輝撮影)

 海外では既に一流のサイクリング環境が整備され、ツアーが数多く組まれて稼働している。そして、しまなみ海道は日本が世界に誇れるサイクリングロードであり、世界7大サイクリングロードに選ばれた今年が、勝負の1年であることは言うまでもない。

 しかし、ここで大きな問題がある。ガイド不足とサイクルトレインなどの環境整備の遅れだ。これは以前から指摘していることだが、海外からしまなみ海道を走りにくるサイクリストの命を預かるガイドは、短期間では育てられない。

 世界中のサイクリングロードの中で、しまなみ海道を多くのサイクリストに選んでもらうためには、環境面の整備こそが直面する課題だろう。これをクリアすることが「世界のしまなみ海道」への近道かもしれない。

<3>へ続く 

産経新聞・愛媛版より)

門田 基志(かどた・もとし)

昭和51年、愛媛県今治市生まれ。今治明徳短期大学卒。世界最大の自転車メーカー、ジャイアント所属のMTBプロライダー。選手として国内外のレースに参戦する一方、レース以外のサイクリングツアーも展開。石鎚山ヒルクライム、サイクリングしまなみなど数多くの自転車イベントを提案し、安全教室の講師やアドバイザーも務めるなど、自転車文化の発展に奔走している。

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しまなみ海道 話のステージ・門田基志さん

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