ブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第21ステージコンタドールが2年ぶり3度目の総合優勝 最終ステージはマローリがグランツール初勝利

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 ブエルタ・ア・エスパーニャの最終第21ステージは14日、9.7kmの個人タイムトライアル(TT)で争われ、イタリアTTチャンピオンのアドリアーノ・マローリ(モビスター チーム)が11分12秒でステージ優勝を飾った。総合首位の証であるマイヨロホを着るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)は、総合2位のクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)らへのリードを守りきり、自身3度目のブエルタ総合優勝を飾った。

左から総合3位のアレハンドロ・バルベルデ、1位のアルベルト・コンタドール、2位のクリストファー・フルーム左から総合3位のアレハンドロ・バルベルデ、1位のアルベルト・コンタドール、2位のクリストファー・フルーム

 23日間の長い戦いを締めくくるのは、ブエルタの最終ステージとしては10年ぶりとなる個人タイムトライアル。走行距離は9.7kmと短く、ゆるやかな勾配があるものの平坦基調。しかしコーナーが多いうえに、ゴール前など所々に石畳があるので慎重な走りも要求されるコースだ。

 その舞台となったのは、エルサレム、バチカンと並ぶキリスト教三大巡礼地のひとつ、サンティアゴ・デ・コンポステーラ。ブエルタが首都マドリード以外の地で閉幕するのは、21年前に今大会と同じサンティアゴ・デ・コンポステーラへゴールして以来となる。今年のブエルタは第2週から第3週にかけて、巡礼地へ向かう道としてユネスコ世界遺産に登録されている「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」に沿うようなルートを辿ってきた。その終着点となるのが、当地の大聖堂だ。

ステージ2位となったジェス・サージェントステージ2位となったジェス・サージェント

 レースは総合下位から順に出走し、まずは3番手スタートのジミー・アングルヴァン(フランス、チーム ヨーロッパカー)が11分30秒というタイムで暫定首位に立った。これを次に上回ったのはジェス・サージェント(ニュージーランド、トレック ファクトリーレーシング)。アングルヴァンのタイムを10秒ほど更新し、最終的にステージ2位に入る快走をみせた。

 そしてイタリアTTチャンピオンのマローリが登場。サージェントをさらに8秒上回る11分12秒のタイムを叩き出し、残る選手たちのゴールを待つこととなった。ところがレース中盤に突然降り出した雨が、この後の展開を大きく左右した。

 この日3位に入ったローハン・デニス(オーストラリア、BMC レーシングチーム)がスタートした時点では、まだ雨は降っていなかった。トラック世界選手権団体追い抜きで金メダルを2回獲得しており、TTも得意とするデニスの走行中、ゲリラ豪雨のような大雨がコースを襲った。結果的にデニスはマローリから9秒遅れでゴールし、さらにゴール直後、地面に敷かれたバナーの上でスリップして落車してしまった。

雨が降り出し、ゴールでスリップ落車したローハン・デニス雨が降り出し、ゴールでスリップ落車したローハン・デニス

 しばらくして雨は止んだものの、コーナーが多いコースの路面がスリッピーになったため、その後の選手たちのタイムは伸びなくなった。

 スタート時刻が遅い総合上位の選手たちも、濡れたコースを攻めあぐねた。トップ10のなかでは総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)が最も速かったが、マローリから55秒遅れ。総合2位のクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)も、危険を冒す走りはできなかった。

 最後に出走したコンタドールは、ひと際慎重にコーナーを曲がり、丁寧に加減速しながら総合優勝を目指した。フルームへの1分37秒のリードを生かしたウイニングランだ。ゴールまで1km以上を残して11分12秒を越えたため、マローリのステージ優勝が確定。それでも余裕のあるコンタドールは、ゴールが近づいてくると勝利をじっくりと味わうように2回、3回とガッツポーズ。最終ステージのフィニッシュラインを駆け抜け、2年ぶりの総合優勝を決めた。

 23日間の戦いの終わりを告げる表彰式は、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂前の広場で行われた。ステージを制したマローリは2011年と今年のイタリア選手権TTチャンピオンで、現在のイタリアにおける屈指のTTスペシャリスト。今大会第1ステージのチームTTでステージ優勝に貢献し、最終ステージでは自身初のグランツールステージ優勝を果たした。

ステージ優勝を果たしたアドリアーノ・マローリステージ優勝を果たしたアドリアーノ・マローリ

 今大会4勝を挙げたジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ)がポイント賞のリーダージャージ、プントスを獲得した。2012年はステージ5勝したもののリーダージャージ獲得には至らなかったため、今大会はステージ優勝と同時にポイント賞も狙いながら戦ってきた。ツール・ド・フランスで2年連続4勝を挙げているマルセル・キッテル(ドイツ)もポイント賞は獲得できていないため、強豪スプリンターチームにとっては念願のリーダージャージといえそうだ。

 山岳賞のモンターニャは、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルラル・セグロス RGA)が獲得した。ブエルタがチームとして最大の目標であるスペインのプロコンチネンタルチームにとっては、大きな栄冠だ。エースとして今季に加入したサンチェスだが、来季はアスタナへ移籍することが決まっている。再びビッグチームへと活躍の場を移す前に、母国のチームに置き土産を残した。

 チーム総合はチーム カチューシャが優勝を飾った。総合4位のホアキン・ロドリゲス(スペイン)を筆頭に、ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア)、ダニエル・モレノ(スペイン)らアシスト陣が常に安定した力を発揮。ステージごとに上位3人のタイムが加算されていくチーム総合において、2位以下を大きく引き離す好成績を残した。

ゴールするクリストファー・フルームゴールするクリストファー・フルーム

 最後に表彰されたのはコンタドール、フルーム、バルベルデの総合トップ3。コンタドールは死力を尽くして総合優勝を争ったフルーム、同胞のバルベルデと清々しく健闘をたたえ合った。

 コンタドールにとっては、2008年、2012年以来となる3度目のブエルタ総合優勝となった。2007年、2009年のツール・ド・フランス、2008年のジロ・デ・イタリアと合わせると通算6度目のグランツール制覇。コンタドールは、2年間の出場停止処分が明けて、復帰後間もなく迎えた2012年の総合優勝は格別なものだったと語っている。そして今回は、ツールで落車による負傷リタイアしたのち、けがから復帰してつかんだ栄冠。困難を乗り越えつつ勝利を手繰り寄せてきたコンタドールらしい総合優勝だ。

(文 平澤尚威/写真 砂田弓弦)

最終第21ステージ結果
1 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター チーム) 11分12秒
2 ジェス・サージェント(ニュージーランド、トレック ファクトリーレーシング) +8秒
3 ローハン・デニス(オーストラリア、BMC レーシングチーム) +9秒
4 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ) +17秒
5 ジミー・アングルヴァン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +17秒
6 セルゲイ・チェルネトスキー(ロシア、チーム カチューシャ) +18秒
7 マチェイ・ボドナル(ポーランド、キャノンデール) +18秒
8 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) +18秒
9 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック ファクトリーレーシング) +18秒
10 ダミアン・ゴーダン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +18秒

個人総合(マイヨロホ)
1 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 81時間25分5秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +1分10秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分50秒
4 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +3分25秒
5 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +4分48秒
6 サムエル・サンチェス(スペイン、BMC レーシングチーム) +9分30秒
7 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +10分38秒
8 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・シマノ) +11分50秒
9 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール) +12分50秒
10 ダニエル・ナバロ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) +13分2秒

ポイント賞(プントス)
1 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 169 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 146 pts
3 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 145 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルラル・セグロス RGA) 58 pts
2 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 45 pts
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 40 pts

複合賞(コンビナーダ)


1 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 6 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 8 pts
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 11 pts

チーム総合
1 チーム カチューシャ 244時間19分36秒
2 モビスター チーム +38分54秒
3 ティンコフ・サクソ +40分16秒

敢闘賞
クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)

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