ブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第16ステージ最難関山岳ステージでコンタドールが今大会初勝利 最後はフルームとの一騎打ちを制する

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 ブエルタ・ア・エスパーニャは8日、第16ステージが行われ、今大会最難関の呼び声が高い山岳ステージの山頂ゴールを、アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が制して今大会初優勝。総合首位のマイヨロホを守り、ライバル勢との差を広げることに成功した。

第16ステージを制したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)第16ステージを制したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)

 第2週のヤマ場となる山岳3連戦のラストを飾るステージ。サン・マルティン・デル・レイ・アウレリオからソミエードに至る160.5kmと比較的短い距離ながら、カテゴリー山岳が5つ連続する。スタートしてすぐに1級山岳を越えた後、2級山岳、さらに1級山岳が3つ続き、最後は山頂ゴール。今大会最も厳しい“クイーンステージ”だ。

 レースはスタート直後から十数人の選手がアタックして抜け出し、最初の1級山岳での攻防を経て、13人の逃げグループとなった。この中には山岳賞2位に付けるルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルラル・セグロス RGA)や、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)らが含まれる。

ウランの脱落で総合6位に浮上したダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)ウランの脱落で総合6位に浮上したダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)

 最初の1級山岳ポイントはサンチェスがトップで通過。サンチェスは続く2級山岳、1級山岳でもトップ通過を果たし、山岳賞争いでトップに立つことに成功した。メーン集団は逃げから5分程度の差でチーム カチューシャがコントロール。淡々と進むが、その中で総合6位に付けるリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ)が、たびたび集団から遅れる姿を見せる。気管支炎を患っているというウラン、この日は厳しい戦いとなった。

 3つ目の1級山岳からは、徐々に集団の先頭をチーム スカイが支配し始める。4つ目の1級山岳へと差し掛かった時点で、逃げとメーン集団との差は3分弱だ。

 ここで逃げ集団内でトラブルが発生。ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、オメガファルマ・クイックステップ)とイヴァン・ロヴニー(ロシア、ティンコフ・サクソ)が、口論からつかみ合いの喧嘩となり、最後はブランビッラからロヴニーの頬に強烈なパンチが飛ぶ。ロヴニーはサングラスを外して審判車にアピール。ブランビッラは、われ関せずの態度で集団先頭を走り続ける。

逃げからの積極的な走りを見せたデマルキ逃げからの積極的な走りを見せたデマルキ

 逃げ集団に不穏な空気が漂った直後、頂上まで約5kmを残したところでデマルキがアタック。これに反応したのは、先ほどのトラブルの当事者ブランビッラと、そのチームメートのヴァウテル・プールス(オランダ、オメガファルマ・クイックステップ)。サンチェスは反応はするものの、すぐに遅れてしまう。

 先頭からはプールスも遅れて、デマルキとブランビッラの2人に。1級山岳の頂上はデマルキが先頭で通過した。一方メーン集団はスカイ勢がペースアップ。ウランが表情をゆがめながら脱落していき、その人数は山頂通過までに20人弱にまで絞られた。

 レースは峠を下り、最後の上りへと向かう。下りで先頭に再びプールスが合流。メーン集団にも上りで遅れていた選手や、逃げから脱落した選手が合流する。集団先頭は変わらずスカイ勢が牽引。逃げの3人は快調なリズムを刻み、メーン集団との差を3分弱のまま保っている。

ロヴニーとレース中に喧嘩して失格となったブランビッラ(撮影は前日のステージ)ロヴニーとレース中に喧嘩して失格となったブランビッラ(撮影は前日のステージ)

 残り16km、いよいよ最後の本格的な上りに差し掛かるところで、先頭グループに異変が起きた。赤い審判車に呼び止められたブランビッラが、悔しそうなジェスチャーをしながら脚を止める。一つ前の峠でのロヴニーとのトラブルに対して、主催者が下した判断は、両者を失格にするという厳しい裁定だった。ここまで先頭で活きのいい走りを続けていたブランビッラだったが、後味の悪い形でレースから姿を消すことになった。

 しばらくプールスと2人で走っていたデマルキだったが、ペースが物足りないのか、残り11kmでアタックして単独先頭に立った。集団は徐々に差を詰めて約1分差まで迫っていたが、デマルキは一旦これを1分半にまで押し広げることに成功する。

 メーン集団もその人数を10人程度まで減らしていた。先頭を引くスカイのアシストが一人、また一人と役目を終えて後退。最後にミケル・ニエベ(スペイン)が力尽き、残り約5kmというところで、満を持してエースのクリストファー・フルーム(イギリス)がアタックを仕掛けた。

 フルームの動きにすぐ反応したのはコンタドールただ一人。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)、ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)は遅れ、その差は徐々に開いていった。

ロドリゲス、バルベルデ、アールの争いロドリゲス、バルベルデ、アールの争い

 フルームとコンタドールは残り3km手前でデマルキを追い抜く。フルームは断続的にダンシングで加速を見せるが、コンタドールは落ち着いてこれに合わせ、全く離れない。

 残り1kmを切り、ラスト700mで今度はコンタドールが一閃、強烈なアタックをみせる。その加速にフルームはついていくことができない。残り100mからコンタドールは後ろを何度も振り返り、フルームが追ってきていないことを確認すると、得意のピストルポーズを見せながらゴール。ツール・ド・フランスでの落車リタイアからの、完全復活を告げるステージ勝利を遂げた。

 2位は15秒差でフルーム、3位には粘ったデマルキが入った。バルベルデが55秒差の4位でゴール。コンタドールは総合2位のバルベルデとの差を、約1分広げることに成功した。バルベルデは総合2位の座を守ったものの、3位のフルームとの差はわずか3秒にまで縮まった。総合上位陣では6位のウランがこの日15分46秒遅れでゴール、総合争いから完全に脱落した。

 第2週のレースを終えたブエルタは、9日に2度目の休息日を過ごした後、いよいよ最終週へと突入する。残すはあと5ステージ。第17ステージはオルティゲイラからア・コルーニャに至る、190.7kmのほぼ平坦、スプリンターのためのステージだ。

(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

第16ステージ結果
1 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 4時間53分35秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +15秒
3 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール) +50秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +55秒
5 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +59秒
6 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分6秒
7 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +1分12秒
8 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +1分22秒
9 サムエル・サンチェス(スペイン、BMC レーシングチーム) +1分43秒
10 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +1分48秒

個人総合(マイヨロホ)
1 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 63時間25分0秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分36秒
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +1分39秒
4 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +2分29秒
5 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +3分38秒
6 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) +6分17秒
7 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +6分43秒
8 サムエル・サンチェス(スペイン、BMC レーシングチーム) +6分55秒
9 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・シマノ) +8分37秒
10 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール) +9分10秒

ポイント賞(プントス)
1 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 124 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 114 pts
3 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 108 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルラル・セグロス RGA) 53 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 30 pts
3 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 23 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 6 pts
2 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 7 pts
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 17 pts

チーム総合
1 チーム カチューシャ 190時間11分42秒
2 モビスター チーム +14分34秒
3 ティンコフ・サクソ +31分8秒

敢闘賞
ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルラル・セグロス RGA)

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