産経新聞愛媛版【話のステージ】より「しまなみ海道」を売り込め サイクリング普及に取り組むMTBプロライダー門田基志さん<1>

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 しまなみ海道のサイクリング振興への取り組みについて、マウンテンバイクのプロライダー、門田基志さんが産経新聞に寄稿した記事を、Cyclistでご紹介します。

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MTBプロライダー・門田基志さん =2014年3月(米山一輝撮影)MTBプロライダー・門田基志さん =2014年3月(米山一輝撮影)

 しまなみ海道が世界共通の「shimanami」になり、日本のこの場所にあることを知ってほしい―。そんな思いから、しまなみ海道のサイクリング普及に取り組んでいる。しまなみ海道の町に生まれ育ち、そしてプロ自転車選手となった私には、なぜかこの活動が使命のように感じられる。

 愛媛県今治市と広島県尾道市を島づたいに結ぶ瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)。開通した平成11年ごろは、自転車で丸1日走ってもサイクリスト1人と出会うか出会わないかで、全国各地の大きな自転車イベントでしまなみ海道の話をすると、知らない人が多いというより、知っている人がほとんどいない状況だった。今では笑い話だが、島の住人ですら「自転車も高速道路をず~と走れるんやろ」と勘違いしている程度の認識だった。

 当時、選手として各地のレースを転戦する中で、「しまなみ海道は全国に通用するサイクリングルートだ」という確信が芽生えた。そして、全国からサイクリストに走りに来てもらいたい、知ってもらいたいという思いから、さまざまなイベントを企画し、しまなみ海道をアピールする活動を始めた。

日本は自転車が文化としてなじみやすい環境

レースだけでなく、サイクリングイベントやツアーなども積極的に展開。しまなみ海道の素晴らしさを伝える =2014年3月(米山一輝撮影)レースだけでなく、サイクリングイベントやツアーなども積極的に展開。しまなみ海道の素晴らしさを伝える =2014年3月(米山一輝撮影)

 自転車は移動手段であると同時にスポーツでもある。さまざまなスポーツがある中で、家のドアを出ると始まり、ドアで終わるスポーツは少ない。通勤や買い物、ちょっとした日常の中に取り入れることで、手軽に始められるスポーツが自転車だ。そして、日本は自転車に乗れる人の割合が高く、文化としてなじみやすい環境にある。

 ただ、日本の自転車文化は、歩行者の延長線から発展した道路事情との兼ね合いもあって、自転車は車両でありながら特殊なことが多く、課題も少なくないという点は、指摘しておかなければならない。

 そんな日本の自転車事情を考えると、しまなみ海道はサイクリストにとって最高のコースの一つなのだ。現在は2つの市を結んでいるが、合併前は多くの自治体が島内に存在し、文化も風土も食べ物も微妙に違っている。自転車で手軽に周遊できる観光地として最高で、初心者から上級者まで満足の行く施設がそろっている。道の駅はサイクルステーションとしても稼働しており、安心して多くの人が楽しめる。

 普段、車で走るしまなみ海道は、四国から全国のレース会場へと続く道であり、遠征の時は必ずと言っていいほど利用する。高速道の本線を車のサンルーフを空けて走ると、心地よい風が吹き抜け、多数の島々や多くの船が行き交う景色に「これはすごい」と感動させられる。そして、サイクリストとして、この本線の景色の中を走りたいと強く思うようになった。

世界に誇れるサイクリングパラダイスへ

 やりたいことはとにかく言い続け、諦めない。高校生の頃、何の疑いもなく「僕は将来、自転車のプロになる」と言い続け、そしてプロになった。諦めない性格の自分が、また何の根拠も疑いもなく、しまなみ海道の本線をサイクリングできる日が来ると言い続けた。その結果、多くの人の思いとタイミングが奇跡のように重なり、昨年10月、供用中の高速道で初めて自転車で本線を走るサイクリング大会が開かれた。そして今年は、もっと大規模なサイクリング大会が10月26日に開催される。世界に誇れるサイクリングパラダイスへと大きな一歩を踏み出すのだ。

<2>へ続く 

産経新聞・愛媛版より)

門田 基志(かどた・もとし)

昭和51年、愛媛県今治市生まれ。今治明徳短期大学卒。世界最大の自転車メーカー、ジャイアント所属のMTBプロライダー。選手として国内外のレースに参戦する一方、レース以外のサイクリングツアーも展開。石鎚山ヒルクライム、サイクリングしまなみなど数多くの自転車イベントを提案し、安全教室の講師やアドバイザーも務めるなど、自転車文化の発展に奔走している。

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