ブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第10ステージTT世界王者マルティンが快勝、コンタドールが総合首位に キンタナ落車、フルームも苦戦

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 ブエルタ・ア・エスパーニャは2日、第10ステージが行われ、36.7kmの個人タイムトライアル(TT)をトニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)が制し、ブエルタ通算2勝目を挙げた。注目された総合上位陣は、TTを得意とするクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が苦戦。さらには、総合首位の証であるマイヨロホを着るナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)がまさかの落車。この結果、ステージ4位となったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がマイヨロホを獲得した。

TT世界チャンピオンの力を発揮したマルティンの走りTT世界チャンピオンの力を発揮したマルティンの走り

 ブエルタは1回目の休息日を終え、舞台をスペイン北部へと移して第2週目に突入。今大会最初の個人TTステージは、レアル・モナステリオ・デ・サンタ・マリーア・デ・ヴェルエーラをスタートし、ボルハを目指すルートが設定された。スタートから11.2km地点の3級山岳ポイントまで上り、その後はゴールに向かって下り基調となる。TTスペシャリストが有利と予想されていたが、アラゴン州特有の丘陵地帯とあって、序盤から急坂を数回越える難しいコースだ。

 総合成績の最下位から順にスタート。早めの時間帯にスタートした選手たちの中では、新旧TT世界王者がまずはトップ2を占めた。第1計測ポイントとなる3級山岳頂上から暫定トップトップタイムをマークしたファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)が47分20秒でフィニッシュすると、その後にスタートしたマルティンが47分2秒でトップタイムを更新。以降、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)らがマルティンのタイムに迫ったが、トップに立つことはできなかった。

マルティンに次いで2位となったウラン。総合でも3位に浮上マルティンに次いで2位となったウラン。総合でも3位に浮上

 やがて総合上位陣がスタートし、まず快調な走りを見せたのはサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシングチーム)。第1計測ポイントでトップタイムをマークすると、途中でパンクのアクシデントに見舞われたものの、マルティンから48秒差でフィニッシュした。

 その4人後にスタートした総合9位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ)も快走。30km地点に設けられた第2計測ポイントでマルティンのタイムをわずかに上回りトップに。ゴールではマルティンのタイムには及ばなかったが、15秒差の暫定2位でフィニッシュ。

 総合タイム差が拮抗している上位6選手にとっては、できる限りタイムを稼ぎたいところ。総合6位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)は、苦手とするTTだが、3級山岳頂上でバイク交換を行って対処し、トップとのタイム差を1分49秒にとどめた。

バルベルデはステージ8位でまとめ、総合2位にバルベルデはステージ8位でまとめ、総合2位に

 逆に苦しい走りを強いられたのは総合5位のフルームだった。スタートからいまひとつペースに乗り切れない。第1計測ポイントこそ18秒差で通過したが、その後はトップとのタイム差が広がっていき、結局1分32秒差でゴール。

 TTに不安があると見られていた総合4位ウィナーアンドルー・アナコナ(コロンビア、ランプレ・メリダ)は、ノーマルバイクで上り区間を走り、3級山岳頂上からTTバイクに交換。これが奏功しトップからの遅れを1分45秒に抑えた。続いてスタートした総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)は、第1計測で暫定トップタイムを記録したが、その後少しペースを落とし、1分1秒差のゴール。

 残るは2選手。コンタドールは本来TTを得意としており、第1計測ポイントでトップタイムをマークすると、第2計測ポイントもトップから8秒差と好ペースを刻んだ。終盤は苦しんだものの39秒差の暫定4位でゴールへ。この時点で総合上位勢の中では最も良いタイムをマークした。

ステージ4位のタイムで走ったコンタドールステージ4位のタイムで走ったコンタドール

 最終出走のキンタナはマイヨロホを守るべくスタートしたが、第1計測ポイント通過直後にアクシデントに見舞われた。右のシューズに手をやりながら下っていたところ、十分に減速しないまま右カーブへ。オーバースピードのままコーナーへ入ってしまい、道路外側のガードレールに接触、バイクから大きく投げ出されてしまった。しばらくは路面に倒れたままだったが、何とか起き上がり再スタート。ここで数分のロスを喫し、ゴールでは4分7秒遅れと、総合争いから大きく後退してしまった。

 この結果、ステージ優勝はマルティンに。5月以降、個人TTでは負け知らずだ。昨年まで世界選手権TTでも3連勝しており、今月下旬にスペイン・ポンフェラーダで開かれる世界選で4連覇に挑戦する。今のところ大きなトラブルもなく、調整は順調のようだ。

 そして総合首位のマイヨロホには、ついにコンタドールが袖を通した。ツール・ド・フランスでの落車負傷の影響が心配され、本人も今大会はステージ優勝狙いだと公言していたが、第1週での好調さにより目標を総合優勝へとシフト。前日(休息日)の記者会見では「TTステージが最初の大きなテストだ」と気を引き締め、見事に結果で示した。

コンタドールが今大会初めてマイヨロホに袖を通したコンタドールが今大会初めてマイヨロホに袖を通した

 このほか総合上位陣は、バルベルデが首位から27秒差の総合2位に、このステージ2位となったウランが59秒差の総合3位に浮上。アナコナ、フルーム、ロドリゲスの総合4~6位は変わらないが、サンチェスが総合7位と、このステージで好リザルトをマークした選手たちがジャンプアップに成功した。なお、落車のキンタナは3分25秒差の総合11位となっている。

 3日の第11ステージは、パンプローナからサントゥアリオ・デ・サン・ミゲル・デ・アララールまでの151kmで争われる。中盤までは緩やかで、100km地点を越えたあたりから3級山岳へ。その後一旦下り、ラスト9.9kmからサン・ミゲル・デ・アララールの上りが始まる。平均勾配は7.5%だが、ゴール前約2kmで最大勾配14%の区間へと突入。ゴール直前にも8%超の勾配が待ち受け、選手たちを苦しめる。このステージのスタート地、パンプローナ出身の元ツール王者ミゲル・インドゥライン氏は、「ロドリゲスやコンタドール向きの上りだ」と分析している。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第10ステージ結果
1 トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ) 47分2秒
2 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ) +15秒
3 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング) +18秒
4 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +39秒
5 サムエル・サンチェス(スペイン、BMC レーシングチーム) +48秒
6 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMC レーシングチーム) +49秒
7 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ) +57秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分0秒
9 ジェス・サージェント(ニュージーランド、トレック ファクトリーレーシング) +1分13秒
10 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +1分32秒

個人総合(マイヨロホ)
1 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 36時間45分49秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +27秒
3 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファルマ・クイックステップ) +59秒
4 ウィナーアンドルー・アナコナ(コロンビア、ランプレ・メリダ) +1分12秒
5 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +1分18秒
6 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +1分37秒
7 サムエル・サンチェス(スペイン、BMC レーシングチーム) +1分41秒
8 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +2分27秒
9 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +2分38秒
10 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール) +2分59秒

ポイント賞(プントス)
1 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 87 pts
2 ナセル・ブアニ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 74 pts
3 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 71 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 リュイスギジェルモ・マス(スペイン、カハルラル・セグロス RGA) 20 pts
2 ウィナーアンドルー・アナコナ(コロンビア、ランプレ・メリダ) 18 pts
3 ジェローム・クザン(フランス、チーム ヨーロッパカー) 13 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 12 pts
2 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 16 pts
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 18 pts

チーム総合
1 モビスター チーム 109時間55分19秒
2 オメガファルマ・クイックステップ +2分41秒
3 BMC レーシングチーム +4分29秒

敢闘賞
トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)

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