勝負どころをネット動画で研究残り1kmでアタックしたデリアックが逃げ切り優勝 Jプロツアー「みやだクリテリウム」

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 国内ロードレースシリーズ「Jプロツアー」の第13戦「JBCFみやだクリテリウム」が31日、長野県上伊那郡宮田村で行われた。決勝レースではロイック・デリアック(チームJBCF)が残り1kmからの単独アタックを決め、そのままゴールまで逃げ切ってJプロツアー初優勝を挙げた。個人総合ランキングでは増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が首位を守っている。

追いすがる集団を振り切って、ロイック・デリアックが逃げ切り優勝を決めた追いすがる集団を振り切って、ロイック・デリアックが逃げ切り優勝を決めた

 宮田村は長野県の天竜川沿い、駒ヶ根市の北に位置する。稲穂が実った田んぼに囲まれた周回コースは、1周が3.2km。全体が緩い斜面になっているなかに作られ、前半が下り基調で後半が上り基調。8つの直角コーナーに加え、短いながら上り・下り区間もあり、変化に富んだコース設定だ。走りこなすためには地力とともに、位置取りの上手さなど総合力が要求される。

 Jプロツアーのレースは午前中、4周回の予選が2組行われ、各組の上位25人ずつが午後の10周回の決勝レースに進む。前戦の湾岸クリテリウムから1カ月を空けての公式戦。チームUKYO、マトリックス・パワータグは新外国人選手を補強してシーズン後半戦に臨んだ。上位チームの選手はほぼ順当に予選を通過。大きな番狂わせは起こらず、午後の決勝レースを迎えた。

決勝のスタートに並んだ選手決勝のスタートに並んだ選手
一面に実った稲穂に囲まれたコース一面に実った稲穂に囲まれたコース
2周目、野中がアタック2周目、野中がアタック
3周目、阿部と堀のアタック3周目、阿部と堀のアタック

 スタート直後はまず宇都宮ブリッツェンが集団先頭を固め、その後も有力チーム勢が集団前方で仕掛け合う展開となった。2周目に単独で抜け出したのは野中竜馬(シマノレーシング)。これが吸収された3周目には阿部‎嵩之、堀孝明(ともに宇都宮ブリッツェン)が逃げるが、これもすぐに吸収される。

 小さな逃げができては吸収されるものの、決定的な動きが作られないまま中盤戦へ。メーン集団はハイペースの弘法が続き、集団後方では徐々に遅れる選手が出始める。5周目にはエドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)、鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)、土井雪広(チームUKYO)、小坂光(那須ブラーゼン)の4人が先行。逃げは強力な動きを見せるが、この動きに乗り遅れたシマノの畑中勇介がメーン集団先頭で追走する。

5周目、アタックが繰り返されるが、なかなか決まらない5周目、アタックが繰り返されるが、なかなか決まらない
集団後方では徐々に遅れる選手が集団後方では徐々に遅れる選手が
6周目、4人の逃げが集団に差を付けた6周目、4人の逃げが集団に差を付けた
逃げに選手を送り込めなかったため、必死で前を追走するシマノ畑中逃げに選手を送り込めなかったため、必死で前を追走するシマノ畑中
7周目、数人の選手が逃げに追いつく7周目、数人の選手が逃げに追いつく

 メーン集団での追走の動きから複数人のブリッジが掛かり、7周目には逃げはエドワード・プラデスと、昨年のシリーズ王者ホセビセンテ・トリビオ(チームUKYO)の2人に再構成された。メーン集団では変わらず畑中が追走を牽引し、畑中が後退した後は宇都宮ブリッツェンが隊列を組んで追走する。

 ブリッツェンの追走は9周目についに逃げを捕え、レースは25人ほどの集団で最終周回に突入した。先頭を固めていたブリッツェンのアシストは後退するが、UKYO、マトリックスらはアシストも含めまだ人数を揃えた状態で、勝負はゴールスプリントが濃厚になった。

8周目、逃げるのはエドワード・プラデスとホセビセンテ・トリビオ8周目、逃げるのはエドワード・プラデスとホセビセンテ・トリビオ
9周目、集団先頭を固めて追走するのは、宇都宮ブリッツェン9周目、集団先頭を固めて追走するのは、宇都宮ブリッツェン
ブリッツェンは大久保陣、鈴木譲らを勝負に残すブリッツェンは大久保陣、鈴木譲らを勝負に残す
残り1周、ブリッツェンが前を引き続け、その後ろにはデリアック、入部らが控える。ブリッツェンはスプリンターの大久保が集団後方に下がってしまう残り1周、ブリッツェンが前を引き続け、その後ろにはデリアック、入部らが控える。ブリッツェンはスプリンターの大久保が集団後方に下がってしまう

 しかし、この隙を突いてアタックを決めたのが、デリアックだった。残り1kmで単独先頭に躍り出ると、スプリントをにらんで牽制気味になっていた集団に一気に差を付け、そのまま独走でゴールに飛び込んだ。すぐ後ろでは2位争いのゴールスプリントとなり、窪木一茂(チームUKYO)が2位、昨年優勝の入部正太朗(シマノレーシング)が3位となった。

ホームストレートに入ったデリアック。集団は追いつかないホームストレートに入ったデリアック。集団は追いつかない

 優勝したデリアックは、キナンAACA所属のフランス人選手。同チームがJプロツアー登録でないため、暫定チームの「チームJBCF」で単騎参戦している。「集団を引くブリッツェンの後ろに付けていて、最終周の上りでチームUKYOのガルシアのアタックに反応した。途中先頭交代を要求されたが拒否して、残り1kmから一気に仕掛けたんだ」とデリアックはアタックポイントについて語る。2012年に同大会で優勝した福島晋一(当時ボンシャンス飯田)の走りをネット動画で見て、「単独で勝つならこの形」と同じ走りをしたという。

 かつては欧州トッププロチームの研修生としても走った経験のある25歳。キナンAACA代表の加藤康則さんが、国内レースのレベルアップを目的に今年招聘し、6月よりJプロツアーや「AACAカップ」などのレースに参戦している。初めて長期滞在する日本についての感想は「歴史が感じられて素晴らしい。ただ野菜の値段が高いのが困る」だそう。

Jプロツアー初優勝のデリアック。キナンAACA代表の加藤さんとJプロツアー初優勝のデリアック。キナンAACA代表の加藤さんと
P1表彰。(左より)2位の窪木、優勝のデリアック、3位の入部P1表彰。(左より)2位の窪木、優勝のデリアック、3位の入部

 “してやられた”形の国内トップチームたち。2位の窪木は「行こうと思えば行けたんだけど、スプリントを意識して躊躇してしまった」と悔やむ。終盤まで集団をコントロールしていた宇都宮ブリッツェンは、「想定通りの展開ができたが、(レースのスピードが速く)温存したはずの選手も消耗してしまっていた」と清水裕輔監督。力のある外国人選手がさらに戦線に加わったことで、シーズン後半戦は戦い方を考える必要があると話す。

 年間総合ランキングでは、増田がルビーレッドジャージを、雨澤毅明(那須ブラーゼン)がピュアホワイトジャージを、それぞれ守っている。

 次戦、シリーズ第10戦となる「タイムトライアルチャンピオンシップ」が1週間後の9月7日、栃木県の渡良瀬遊水池で開催される。

(文・写真 米山一輝)

総合首位を守った増田。この日はチームメートのために走って16位ゴール総合首位を守った増田。この日はチームメートのために走って16位ゴール
U23賞のピュアホワイトジャージは雨澤が守ったU23賞のピュアホワイトジャージは雨澤が守った
女子Fクラスタでは、ロングスパートを決めた智野真央(中央)が優勝した女子Fクラスタでは、ロングスパートを決めた智野真央(中央)が優勝した
Yクラスタ(18歳以下)では小野康太郎と椙田明仁が1周目から集団を引き離して逃げるYクラスタ(18歳以下)では小野康太郎と椙田明仁が1周目から集団を引き離して逃げる
残り2周で椙田を振り切った小野が逃げ切って独走優勝残り2周で椙田を振り切った小野が逃げ切って独走優勝
Y表彰。(左より)2位の椙田、優勝の小野、3位の越智Y表彰。(左より)2位の椙田、優勝の小野、3位の越智

P1結果(32.0km)
1 ロイック・デリアック(チームJBCF) 47分28秒
2 窪木一茂(チームUKYO) +1秒
3 入部正太朗(シマノレーシング) +2秒
4 ホセビセンテ・トリビオ(チームUKYO) +2秒
5 サルバドール・グアルディオラ(チームUKYO) +3秒
6 リカルド・ガルシア(チームUKYO) +3秒
7 土井雪広(チームUKYO) +3秒
8 城田大和(宇都宮ブリッツェン) +3秒
9 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ) +3秒
10 大場政登志(クロップス・チャンピオンシステム) +3秒

Jプロツアーリーダー(ルビーレッドジャージ)
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)

U23リーダー(ピュアホワイトジャージ)
雨澤毅明(那須ブラーゼン)

F結果(16.0km)
1 智野真央(ニールプライド・メンズクラブ JFT) 29分41秒
2 西加南子(LUMINARIA) +1秒
3 栗林ひろみ(バルバレーシングクラブ) +2秒

Jフェミニンリーダー
棟近陽子(EURO-WORKS Racing)

Y結果(22.4km)
1 小野康太郎(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) 36分54秒
2 椙田明仁(ARAI MURACA) +16秒
3 越智崇裕(湘南ベルマーレクラブ) +31秒

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