降れば豪雨、道は川になる南国が舞台“カリブ海のツール”を沸かせた「ブリヂストンアンカー チーム」 町中で声をかけられチカラに

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 カリブ海のフランス領・グアドループで8月1日から10日まで開催されたステージレース「Tour de la Guadeloupe」(ツール・ド・グアドループ)に、日本国内外で活動をする「ブリヂストンアンカー サイクリングチーム」が参戦した。同チームのツール・ド・グアドループ参戦は2013年に続き今年で2度目。水谷壮宏監督が、Cyclistへ原稿を寄せてくれた。

「ツール・ド・グアドループ」に参戦したブリヂストンアンカー サイクリングチーム。右から水谷壮宏監督、内間康平、寺崎武郎、ダミヤン・モニエ、トマ・ルバ、清水都貴、椿大志「ツール・ド・グアドループ」に参戦したブリヂストンアンカー サイクリングチーム。右から水谷壮宏監督、内間康平、寺崎武郎、ダミヤン・モニエ、トマ・ルバ、清水都貴、椿大志

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10日間で12ステージの“超ハード”レース

南国で焼けつくブリヂストン アンカー「RMZ」南国で焼けつくブリヂストン アンカー「RMZ」

 アンカーは総合優勝を狙って今年もツール・ド・グアドループに参戦。このレースはUCI2.2クラスのアメリカツアーであり、なんといっても10日間で12ステージも走るとても過酷なレースだ。

 ステージは最長で170km、一日に2ステージ設けられている日が2回ある。その場合は、午前中が100kmのロードレース、午後は個人タイムトライアル(TT)といった組み合わせになる。2ステージある日は、起床が4時でホテル出発が6時などと特に早く、また午後のTTが終了してホテル到着が夜の10時と超ハード。選手、スタッフ共々、夜はクタクタの毎日が続いた。

 そんな状態に加え、暑さと膨大な数の蚊がトドメを刺しててくる。さらに今年の天気は昨年と異なり南国にしてはすぐれず、3日に1回のペースで雨が降りしきった。降れば豪雨で前が見えず、坂道は一瞬にして川に化してしまう程だった。チームカーの運転も容易ではない。ただしそれほどの雨でも、止んだ5分後にはすぐに路面が乾いてしまう程の暑さだった。

チームがお世話になった宿チームがお世話になった宿
毎ステージ後の食事は学校の食堂で毎ステージ後の食事は学校の食堂で
店の軒先でスタート前の雨宿り店の軒先でスタート前の雨宿り

陽気で熱烈なファンから「シミズ!」の声援

いつも遅れて出発するバスいつも遅れて出発するバス

 南国の人々は、時間にとてもルーズであることも忘れてはならない。選手を送迎するバスは絶対に予定通りには出発せず、いつも1時間遅れ。参戦2年目の私たちはだいたいの要領は把握していたので、ローカルペースに合わせて対応ができた。地元民“ブラック・カリブ”とのユーモアあるコミュニケーションは、一番のストレス解消になる。音楽の感性の違いを新鮮に感じつつも、チームカーではいつもローカルラジオでズーク(※)を聞きながらリラックス。

※グアドループ発祥とされる音楽ジャンル

 この大会の一番の魅力は、半端ではない観客の多さだ。自転車はグアドループ最大のスポーツイベントであり、その人気はツール・ド・フランスと同等だ。コース上は観客で埋め尽くされ、応援は絶えない。まるで島内すべての人々が観戦する勢いで、山岳ポイントにおいては“自転車ファン全員集合”の様相である。

表彰式が毎日すごいことになる表彰式が毎日すごいことになる
シミズ、シミズ!シミズ、シミズ!

 そして今年は、町を歩けば「シミズ、シミズ!」の連呼。(清水)都貴は昨年の活躍で地元で大人気になり、特に子供たちのアイドルになっていた。スーパーマーケットレジのお姉さん、ガソリンスタンドのお兄さん、警察、渋滞中で並走しているクルマの中から――あらゆる人々に声をかけらる程の人気振り! 本人は「対応に大変だった」と漏らしているが、これほどに注目されたレースは今までに経験したことがなく、多くのファンからの声援を受けチームが勇気づけられたのは言うまでもない。

地元メディアも都貴に大注目地元メディアも都貴に大注目
地元自転車連盟のチィコ氏。彼の息子も大の“シミズ”ファン地元自転車連盟のチィコ氏。彼の息子も大の“シミズ”ファン
斬新なカリビアンアートをどうぞ斬新なカリビアンアートをどうぞ

 あらゆる地元メディアもレースの模様を伝えていて、レース中はコミッセールのラジオツールを聞くよりもローカルラジオを聞いている方が情報が多いありさまだ。またコミッセールバイク2台に対してメディアバイクは15台もあり、見分けも付きにくい。せっかくなのでメディアバイクのジャーナリストにレースの情報を聞いてみたところ、レース展開など肝心なことは誰も知らず、地元選手や優勝候補の話題に盛り上がるのだった…。

内容の濃いレースを経験し成長し続けるブリヂストンアンカー サイクリングチーム内容の濃いレースを経験し成長し続けるブリヂストンアンカー サイクリングチーム

レースに出ればスター扱い

ダミヤンのTTスタート。平均時速は48km!ダミヤンのTTスタート。平均時速は48km!

 ツール・ド・グアドループで地元選手はスター扱いされ、勝った選手は“英雄”となる。“英雄”は実際に各スポンサーや自治体から豪邸やクルマを贈られるといった待遇を受けられ、自転車選手として大変に魅力的なのである。そういったスター選手や、オーガナイザーのひいきとする選手が逃げれば、彼以外の情報は入らなくなり、いつどこで誰が逃げているかなどは全く教えてもらえなくなる。海外チームの悩みどころだ。

ミス・グアドループとの貴重なポディウム。ミス・グアドループは頻繁にミス・フランスにも選ばれる程に美人が多いミス・グアドループとの貴重なポディウム。ミス・グアドループは頻繁にミス・フランスにも選ばれる程に美人が多い
トマと武郎のワン・ツー達成!トマと武郎のワン・ツー達成!
信頼できるブリヂストン アンカーのバイク信頼できるブリヂストン アンカーのバイク

 またこの大会は長丁場のステージレースだが、スタッフから選手への補給地点は設けられておらず、選手自らチームカーまで補給を取りに来なければならない。今回は(寺崎)武郎、(椿)大志の若手2人が頻繁にチームカーまで下がって来てはジャージ背中にボトルを6本ほど詰め込んで補給に努めてくれた。

 こういった補給を運ぶ動きは足を使いすごく消耗するし、補給中に集団のスピードが上がってしまえばそのまま取り残され復帰さえも困難になってしまう。それでも、補給員アシストがいるからこそチームメイトが活躍でき、勝利につながる。

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アンカーがチーム力で総合を奪い返したステージの直後。今大会でのベストショットアンカーがチーム力で総合を奪い返したステージの直後。今大会でのベストショット

 肝心なレース結果は、ダミヤン(・モニエ)があと一歩の総合2位で本当におしかった。しかし2013年に果たせなかったトマ(・ルバ)の区間優勝、そして武郎とダミヤンの区間2位、ダミヤンの区間3位、大志と康平の区間入賞とアンカーチームとして決して悪くない結果を残すことができた。このレースで成し遂げたチームの走りは素晴らしかった。

文・水谷壮宏

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