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“自転車革命都市”ロンドン便り<4>自転車カフェが「キノコのように」増殖中 ロンドン人気スポットを一挙紹介

by 青木陽子 / Yoko AOKI
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 7月末、ついに東京にもラファのカフェが登場するなど日本でも自転車をテーマにしたカフェや自転車フレンドリーなカフェが増えていますが、その流行を一歩先取りしているのがロンドン。今回は日本語の「雨後の竹の子のように」とそっくりな英語の慣用句「マッシュルームのように」続々登場している自転車カフェ(サイクルカフェ)をご紹介します。

ロンドンから走りに来たサイクリストがちょうど休憩したくなるあたりに誕生した、古いバスを使った「バイクバス」カフェ。筆者の青木陽子さん(右)と友人のライド中スナップロンドンから走りに来たサイクリストがちょうど休憩したくなるあたりに誕生した、古いバスを使った「バイクバス」カフェ。筆者の青木陽子さん(右)と友人のライド中スナップ

世界中のサイクルカフェのお手本に

イースト・ロンドンのオールド・ストリートにあるLook Mum No Hands!(LMNH)1号店。「ママ見て、手放し運転だよ!」という店名が秀逸イースト・ロンドンのオールド・ストリートにあるLook Mum No Hands!(LMNH)1号店。「ママ見て、手放し運転だよ!」という店名が秀逸

 やはり最初にご紹介しなくてはならないのが、オールドストリートにある「ルック・マム・ノー・ハンズ!(LMNH)」。公共自転車などがロンドンに登場したのと同じ2010年にオープン、以来世界中のサイクルカフェのお手本的存在になってきています。

 手作り感のあるカジュアルな店内の一部は、自転車の整備をしてくれるワークショップになっていて、コーヒーを飲んでいる間にパンクを直してもらったりできるというのは、当時は新しいコンセプトでした。Wi-Fi無料、PCやスマホの充電ができるようにコンセントが多数用意されて長居できる雰囲気があるというサイクルカフェのスタンダードも、ここが作った印象があります。

 春のクラシックからブエルタ・ア・エスパーニャまでのロードレースシーズンは頻繁にパブリック・ビューイングも催され、テラス席までファンの人だかりができることも珍しくありません。2013年にはLMNHの2店舗目が、ロンドンのトレンディな地域、ハックニーにオープンしています。

LMNHオーナーのひとりサムさんはアマチュアレーサーでありメカニックであり、ロンドンのローディ界の顔。ワークショップなどカフェの自転車面を担当しているLMNHオーナーのひとりサムさんはアマチュアレーサーでありメカニックであり、ロンドンのローディ界の顔。ワークショップなどカフェの自転車面を担当している
LMNH店内の様子。カリカリのローディやキメキメのフィクシー乗りもいるけれど、自転車に乗らない人も気軽に集えるあたかい空間(6月19日、柄沢亜希撮影)LMNH店内の様子。カリカリのローディやキメキメのフィクシー乗りもいるけれど、自転車に乗らない人も気軽に集えるあたかい空間(6月19日、柄沢亜希撮影)
ピカデリー広場近くのRCCは、サイクルアパレルショップとカフェが同居している。ここでコーヒーを飲みながら待ち合わせをして、ライドに行く人も多いピカデリー広場近くのRCCは、サイクルアパレルショップとカフェが同居している。ここでコーヒーを飲みながら待ち合わせをして、ライドに行く人も多い

 もうひとつ、サイクルカフェ文化の礎を築いたのが、冒頭で言及したラファのサイクルカフェ「ラファ・サイクル・クラブ(RCC)」でしょう。2008年にロンドンでポップアップ(期間限定)のカフェ兼ショップを開いて、アメリカ西海岸のポートランドやサンフランシスコで盛り上がっていたクラフトビールやサードウェーブ・コーヒーなどをイギリスに持ち込み、おしゃれローディ(ロードバイク乗り)ライフスタイルを決定づけたと言えそうです。

 ピカデリー広場に近いSOHOにあるRCCでは、一般向けのライドを毎週定期的に開いていて、これもなかなかの人気。これは東京や大阪のRCCでも行われていますね。

自転車好きはコーヒー好きという潮流

サイクルカフェ人気の肝になっているのが、おいしいコーヒー。コーヒー豆の仕入れにこだわり、バリスタ修行をしたスタッフを置いている店も多いサイクルカフェ人気の肝になっているのが、おいしいコーヒー。コーヒー豆の仕入れにこだわり、バリスタ修行をしたスタッフを置いている店も多い

 こういったところの成功を見て、またフィクシー(ピストバイク乗り)などの街乗り自転車がおしゃれアイテムとして盛り上がるのに合わせ、店舗の一部にカフェコーナーをつくってこだわりのコーヒーを出すサイクルショップがいくつも登場。その後やっぱりそのスペースで自転車を売ったほうがもうかると、コーナーをやめてしまったお店もじつはいくつかあるのですが、自転車好きとコーヒー好き、カフェ好きという潮流は確固としたものになりました。

 また、トレーニングとして100km前後の距離を走るサイクリスト人口が急増するのを受けて、ロンドン郊外でサイクリストを迎え入れるカフェもまた急増しました。サイクルショップが休憩できるカフェを併設しているところが多いようですが、もとからあるカフェが自転車を置きやすいように工夫して人気になっているところもでてきました。

ロンドンから南の方角に走って行く人たちに人気なのが「ケイデンスカフェ」。典型的な、自転車ショップがカフェを併設して成功しているタイプロンドンから南の方角に走って行く人たちに人気なのが「ケイデンスカフェ」。典型的な、自転車ショップがカフェを併設して成功しているタイプ
昔からロンドン郊外でその名も「村の喫茶店」として経営してきているうちに、サイクリストに人気になったカフェ。あのカヴェンディッシュも訪れるという昔からロンドン郊外でその名も「村の喫茶店」として経営してきているうちに、サイクリストに人気になったカフェ。あのカヴェンディッシュも訪れるという

カフェ業界もサイクリストに注目

スポークのマネージャーのヴィールさんはオランダ人。「オランダでは本当に自転車が足だから、ロンドンで自転車推進の役に少しでも立てるならうれしい」スポークのマネージャーのヴィールさんはオランダ人。「オランダでは本当に自転車が足だから、ロンドンで自転車推進の役に少しでも立てるならうれしい」

 今年の2月にオープンした「スポーク」は、レストラン経営をしていたカップルが立ち上げた、自転車業界外から参入したタイプのサイクルカフェ。オーナーが自転車乗りというわけではないため、まだ自転車モチーフが飾られただけのカフェという印象があるけれど、サイクリストの呼び込みにかなり熱心な印象でした。空気ポンプや、ボトルを満たすための客用の蛇口が用意され、さらに近々自由に利用できるツールボックスを導入する予定だそうです。自転車乗りが世の中で注目されている、とうれしくなります。

 ツール・ド・フランスもイギリスにやって来たし、サイクルカフェは増えているし、「ロンドンの自転車文化はますます発展しているなぁ~♪」とうれしく思いながら先日もロングライドをしていると、休憩に止まった昔ながらの街道沿いのパブに、見覚えのあるロゴの看板が目に留まりました。

アーチウェイに誕生した「スポーク」。自転車のための設備はまだこれからだけれど、本格的なキッチンがあるので、ライドの前後にちゃんとした食事ができるアーチウェイに誕生した「スポーク」。自転車のための設備はまだこれからだけれど、本格的なキッチンがあるので、ライドの前後にちゃんとした食事ができる
いまも英国最大の自転車NGOとして活動しているCTCの古いロゴ看板。古いパブの店先に錆をさらしながらもいまも掲げられていたいまも英国最大の自転車NGOとして活動しているCTCの古いロゴ看板。古いパブの店先に錆をさらしながらもいまも掲げられていた

 それは、「サイクリスト・ツーリスト・クラブ(CTC)」という100年超の歴史を誇るサイクリスト団体の古いロゴでした。いまも7万人の会員を抱える英国最大の自転車団体で、自転車の普及や安全な走行環境拡大のために活発に活動しているNGOです。何十年も昔からこうやって自転車フレンドリーなパブを認定して、いわばサイクルカフェとして推奨してきたのか、と歴史の厚さに頭がさがる思いをしたのでした。

(文・写真 青木陽子 / Yoko Aoki )

青木陽子青木陽子(あおき・ようこ)

ロンドン在住フリー編集者・ジャーナリスト。自動車専門誌「NAVI」、女性ファッション誌などを経て独立起業、日本の女性サイトの草分けである「cafeglobe.com」を創設し、編集長をつとめた。拠点とするロンドンで、「運転好きだけれど気候変動が心配」という動機から1999年に自転車通勤以来のスポーツ自転車をスタート。現在11台の自転車を所有する。

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