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栗村修の“輪”生相談<29>40代男性「自分の店で売っていない客のバイクを整備するのは迷惑なのでしょうか?」

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 はじめまして、ロードバイクに乗り始めて5年ほどになります。

 購入して以来、ずっと自分でバイクの整備を行っているのですが、最近不安になり、ショップにメンテナンスをお願いしようと思っています。バイクを購入した店は、自宅から離れた実家に近い店で購入したので、メンテナンスをお願いする店は、自宅に近いショップを見つけるつもりでした。

 しかし友人から「購入した店でもお願いしにくいのに、購入していない店にメンテナンスをお願いするなんて、失礼すぎる。有り得ない」と言われました。お店を経営する方からすると、自分の店で売っていない客のバイクを整備するのは迷惑なのでしょうか?

(40代男性)

 いいですね。いい質問だと思います。

 著書でもお伝えしてきましたが、やっぱり自転車のショップには、ちょっとした閉鎖性がありますよね。お店のカラーや店長さんのキャラにもよりますが…。

 でも、ご友人が言う「購入した店でも頼みにくい」というのは、さすがにヘンだと思いますよ。そんなはずはありません。まったくお金を払わずにいろいろなメンテナンスを頼むのは難しいかもしれませんが、普通はアフターケアもショップの仕事です。スポーツバイクというのは、メンテナンスを必要とする商品なんです。スポーツバイクに乗るというのは、メンテナンスもちゃんとするということです。メンテナンスはセットなんですね。

 問題は、購入してないお店でのメンテナンスですね。そのことについて考える前に、ショップの置かれている現状について触れたいと思います。

 現在、日本のショップはなかなか苦しい状況にあると思います。薄利になってきているからです。安売りの価格競争はあるし、ネット通販、とくに海外通販なんて、卸し価格よりも安いんじゃないかというレベルの値段をつけてきます。だから、モノを売って利益を出す従来のビジネスモデルは行き詰まりつつあるでしょう。

スポーツバイクには適切なメンテナンスが欠かせませんスポーツバイクには適切なメンテナンスが欠かせません

 じゃあどうやって食っていくかというと、技術を売るんです。それがメンテナンスですね。技術はネットでは買えませんから、これからのショップにとっては重要な食い扶持です。

 ですから、昔のように「ヨソで買ったものは整備できないね」というショップは、今は少ないはずです。そんな悠長なことを言っていられる時代ではありません。中には昔気質の頑固親父もいるかもしれませんが、少ないでしょう。

 あと、実は技術という商品は、ショップにとっては割がいいんです。売上からマイナスしなければいけないのは人件費だけですから、売り上げがほとんどそのまま利益になります。しかし、モノを売って、たとえば1万円の利益を上げるためには5、6万円は売り上げが必要でしょう。技術は、粗利率が非常に高いんですね。ですからますます、ショップが他店で売られた自転車の整備を拒む理由はなくなるはずです。

 それでも拒む理由をあえて探すと、買ったショップでの組み方がおかしい自転車が持ち込まれた場合でしょうか。あまりにおかしいと、何かあったときに責任がとれません。だから拒否する、ということは考えられます。

 質問者さんの自転車の整備状況が極端に悪いのでなければ、堂々と持ち込んでみてください。新しい出会いが待っているはずです。

(編集 佐藤喬/写真 砂田弓弦)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会副ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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