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201cmのサイクリスト 山本隆弘<5>オーバーペースでヒルクライムの“洗礼” 悪戦苦闘のゴールで迎えてくれた清々しい笑顔

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 連載第4回でお伝えしたように、9月7日開催の「第3回嬬恋・万座ハイウェーヒルクライム」にゲスト出場することが決まり、新しいフレームになったオーダーメイドバイクで、自転車生活初めてのヒルクライム練習に挑戦しました。神奈川・箱根の大観山方面に湯河原から上る約20kmのルート。苦難あり、感動ありで、自転車の奥深さを感じることができた1日となりました。前回のレポートの続きをご報告します。

初のヒルクライム練習で疲れた様子の山本隆弘さん。先輩・益子直美さんはまだまだ余裕!?初のヒルクライム練習で疲れた様子の山本隆弘さん。先輩・益子直美さんはまだまだ余裕!?

 この日は、バイクを組んでくれた元プロ・ロードレーサーの山本雅道さんとバレーボールの先輩である益子直美さんのご夫妻、新フレームを作ってくれたブランド、コーダーブルームのスタッフ2人がヒルクライム初練習をサポートしてくれました。

 スタート前には、益子さんが「あそこまで上るよ」と指さした山の高さを見て逃げ出したくなったけれど、走っているうちにそんな気持ちはなくなっていきました。坂を上る楽しさを味わいながら、一列になってゆっくりと進んでいきました。

これから上る坂を見上げる山本隆弘さんこれから上る坂を見上げる山本隆弘さん

 最初は温泉街を通ったので、温泉の匂いや小川の流れる音がしていたのですが、いつの間にか音も聞こえなくなり、周りに見えるのは青々と生い茂る木々と、うねった坂道だけ。ここからが本格的なヒルクライムの始まりです。

“快調なペース”も長くはもたず

山本雅道さんのペースメークで走る山本雅道さんのペースメークで走る

 みんなで列を形成して走っていましたが、「ゆっくり走る」という益子さんとはここで別れ、僕と雅道さんは快調なペースで上っていきました。しかしこの“快調なペース”によって、僕はヒルクライムの洗礼を浴びることになりました。

 最初は、気持ちに余裕をもって走っていました。5月に出場した「佐渡ロングライド210」では、急勾配の峠も、ラスト30kmのアップダウンも乗り越えて130kmを完走しています。それに比べ、今回の距離は20kmだから大丈夫だろうと、安易な考えになった自分がいました。読者のみなさんに「自転車をなめている」と思われても仕方がないくらい、なめていましたね。

先頭に立ち自分のペースで走る山本隆弘さん先頭に立ち自分のペースで走る山本隆弘さん

 雅道さんに促されて、列の先頭に出て自分のペースで走ることに。上り坂の勾配に合わせてギアを軽くしたり重くしたりして、大きな筋肉を使わないように意識をしながら走っていました。しかし走れば走るほど、足の張りを感じるようになってきました。

 その時、雅道さんから「このままのペースであと1時間走れますか?」と聞かれました。僕の答えは「間違いなく無理です…」でした。自分の身体に合った自転車で楽しく走っているうちに、変に自信過剰になっていたのでしょう。雅道さんからの質問で、大事なことを思い出しました。スタート前に「どれだけ足に余裕をもたせながら上れるかが完走の秘訣」と言われていたことを。

ボトルに手が届きません

 明らかにオーバーペースで走っていたこともあり、のどが乾いてきました。ところが、走りながらボトルケージに手をやろうしても、手がボトルに届きません。フレームは僕の身長に合わせて作っていただいたのですが、ボトルケージの位置を確認しておらず、手が届かなかったんです(笑)。

 これ以上無理に手を伸ばしたら転倒してしまいそうだったので、水分補給を諦めてそのまま走っていましたが、今度は胃のあたりが気持ち悪くなってきました。このまま走ると脱水症状になってしまうと思い、あえなく水分補給のために止まってしまいました。ここで後からきた益子さんに追い越されることに。水分補給とエネルギーゼリーも取り、胃の気持ち悪さが無くなるまで休憩を取ってリスタートしました。

展望台で2度目の休憩。痛みも手伝って疲労気味…展望台で2度目の休憩。痛みも手伝って疲労気味…
展望台からは、曇りでも遠くまで見渡すことができた展望台からは、曇りでも遠くまで見渡すことができた

 休憩までの反省を生かし、ペースを落として走っていましたが、今度はお尻の痛みが出てきました。何でこんなに早く痛みがくるのだろう? 自転車を始めて、そろそろお尻も慣れてきていたはずなのに。そう思いながらも痛みに耐えて走っていると展望台があり、寄り道がてら休憩をとりました。そこからの眺めは最高で、その景色が疲れを少し癒してくれました。

「もう少しだ!」と思ったのに…

ゆるい勾配でペースが上がってきたゆるい勾配でペースが上がってきた

 残り6kmくらいの場所まできていたので、このまま最後まで走りきろういう気持ちで再スタート。そこから先は、木々に囲まれた日陰ではなく、日が差して視界も開けたので気持ち良く走っていけました。坂の勾配は緩く、自然と速度も上がって行きます。

 山の頂上も見えてきて、ゴールらしき施設が見えます。その手前に急勾配の坂も見えたけれど、ここは気合いで乗り越えようと頑張りました。ところが、その急勾配の坂を走りきってもゴールに辿り着きません。むしろ離れていったように感じました。見えていた建物は、ゴールではなかったのです。

 「よし、もう少しでゴールだ!」と思って走っていたのに、そうではなかったショックで先が見えなくなり、さらに休憩から痛かったお尻は麻痺状態。足に力が入らず、ペダルが回らなくなったので、3回目の休憩を取りました。

遠くから見えた施設はゴールではなく、頂上はまだ先だった遠くから見えた施設はゴールではなく、頂上はまだ先だった
頂上に近づき、視界が開けてきた頂上に近づき、視界が開けてきた
休憩をとって回復中休憩をとって回復中

 ほどよくお尻の感覚が戻ってから走り出すと、足に力が入るようになり、ペダルが軽く感じるくらい回復して快適に走れました。緩いカーブを走って行くと、先にゴールしていた雅道さんと益子さんが笑いながら迎えてくれました。僕は苦しい思いで何とかゴールしましたが、益子夫妻はじめコーダーブルームの2人も清々しい笑顔でした。

頂上にたどり着いた山本隆弘さんを、先にゴールしていた山本雅道さんと益子直美さんが笑顔で迎えた頂上にたどり着いた山本隆弘さんを、先にゴールしていた山本雅道さんと益子直美さんが笑顔で迎えた
20kmの上りを終えて記念に1枚(左から)益子直美さん、山本隆弘さん、山本雅道さん20kmの上りを終えて記念に1枚(左から)益子直美さん、山本隆弘さん、山本雅道さん

背が高いと「左カーブは怖い」

 ヒルクライム練習に初挑戦した結果、前半のペース配分を間違えたことと、まだまだ初心者なのでサドルにドンっと座ってしまい、お尻に負担がかかる乗り方をしていたことが今回の反省点でした。とはいえ、ヒルクライム後の達成感は今までと全く違うものがありました。クルマやバイクでは峠道で景観を楽しむことができないけれど、自転車は自分の足でペダルを回しながら景観を楽しめますね。

注意深く下る山本隆弘さん。長い下りも初体験注意深く下る山本隆弘さん。長い下りも初体験

 その後、帰り道の下り坂で感じたのは、僕にとって左カーブは怖いなということです。みんなと同じラインで走っていて、突然目の前に出てきた木の枝に当たりそうになりました。自転車のフレームもそうですが、身体が大きいので普通なら当たらない物にも当たってしまいます。なのでゆっくりと、若干大回りしながら下っていきました。

 クルマを停めたJR湯河原駅近くのパーキングまで下りたところ、行きは2時間かかったのに帰りは30分というのもヒルクライムならではですね。

途中で休憩した展望台まであっという間に到着途中で休憩した展望台まであっという間に到着
走り終えて、新しいバイクをじっくりチェック走り終えて、新しいバイクをじっくりチェック

 まずは、出場が決まっている「嬬恋・万座ハイウェーヒルクライム」に向けて、さらに練習を積んでいきます。また、歌手の「ヒルクライム」の作品に「春夏秋冬」という曲がありますが、四季それぞれの景色を楽しみながら走るっていうのも楽しそうですね。そのうち旅行も兼ねて、走り終えた後のビールと温泉を楽しみたいな。

(文 山本隆弘)

山本隆弘山本隆弘

元バレーボール選手。201cmの長身サウスポーとしてスパイクやサーブを武器に、Vプレミアリーグのパナソニック・パンサーズや全日本でエースとして活躍。2008年には北京オリンピックに出場した。2013年に現役引退してからは解説者、タレントとして活動。身長に合わせたオーダーメードのロードバイクで、初めてのスポーツ自転車に挑戦中。山本隆弘オフィシャルブログ「志」http://ameblo.jp/takahirokokorozashi/

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