ツール・ド・フランス現地インタビューツール好きなら誰もが知ってるクレア・ペドロノさん 「タイムボード」を掲げるモトの女神

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 ツール・ド・フランスをこの5年間に何らかの形で観戦したことがある人なら、必ず見たことがある女性がいる。名前は、クレア・ペドロノさん(Claire Pedrono)。モト(オートバイ)の後部座席に乗り、プロトン(集団)と先頭との間を行き来し、刻々と変化する時間差をチョークでボードに書いて選手に教える役割を担う。その仕事の醍醐味や想いを聞いた。

自らの写真がパネルになっているのを見てボードを持つそぶりを見せるクレア・ペドロノさん(7月18日、柄沢亜希撮影)自らの写真がパネルになっているのを見てボードを持つそぶりを見せるクレア・ペドロノさん(7月18日、柄沢亜希撮影)

自らつかんだ「ビッグ・チャンス」

マイヨジョーヌに並んで立つクレア・ペドロノさん(7月18日、柄沢亜希撮影)マイヨジョーヌに並んで立つクレア・ペドロノさん(7月18日、柄沢亜希撮影)

 この仕事ができることを「とてもラッキー」と話すペドロノさん。黄色いウェアに身を包んでモトの後部座席にまたがる姿はたくましく、時おりテレビカメラに向ける笑顔がまぶしい。12歳から趣味で自転車に親んできたといい、この仕事のきっかけは、自らの情熱でつかみとった。

 学生生活を過ごしながら「そろそろ仕事を探さなければ」と思っていた20歳の頃、ペドロノさんは「ツール・ド・フランス関係の仕事がしたい」と、ツール運営会社A.S.O.で大会総合ディレクターを務めるクリスティアン・プリュドム氏に会う約束を取り付けた。「CV(職務経歴書)を手にプリュドム氏に会うと、すぐに『セカンド・ディレクターにも会ってみてくれ』と言われたの」と経緯を明かしてくれた。

 1カ月後、「キャラバン隊になれればいいな」というくらいに考えていたペドロノさんに届いた知らせは、“Ardoisière”、つまりタイムボードを担当してみないかという内容だった。「ビッグ・チャンス」とばかりに二つ返事で採用が決定。初仕事は2010年5月中旬に開催された3日間のステージレース「ツール・ド・ピカルディ(Tour de Picardie)」、まだ試用期間で本番に臨んだ。

“ホリデー”として続けたい

レースコースへ出走前に“正装”に着替えたクレア・ペドロノさん(7月18日、柄沢亜希撮影)レースコースへ出走前に“正装”に着替えたクレア・ペドロノさん(7月18日、柄沢亜希撮影)

 ペドロノさんは初めてのレースの感想を「自分の職務の忙しさに加えて、観客や中継カメラ、報道陣の多さに目が回り、すごく疲れた」と振り返る。その慌しさは、4年が過ぎた今も変わらない。レース後、バイクを下りて大会本部に向かうペドロノさんを見かけた際、記者はその足取りや表情に“すべてを出しきった”という達成感や虚脱感を感じた。それでも、カメラを向ければ笑顔になってくれるプロフェッショナルな人柄に、とても感心させられた。

 「これまでで一番嬉しかったことは何か」と聞くと、しばらく考えたのちに「選手の話していることが聞こえてきたこと」と答えた。「プロトンの中で(新城幸也が所属する)『ヨーロッパカー』の選手たちが、アタックするかどうかなど準備を整えながら話しているのが聞こえたの。その後、聞こえたとおりに選手が飛び出したのを見て、とても嬉しくなったわ」

ツール・ド・フランス2014最終日、第21ステージでは、総合優勝が確定したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)に向けて「おめでとう」と書いたツール・ド・フランス2014最終日、第21ステージでは、総合優勝が確定したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)に向けて「おめでとう」と書いた

 今では「広告系の仕事が別にあって、A.S.O.での仕事は給料の出る“ホリデー”」と楽しそうに語るペドロノさん。ツール・ド・フランスのほかにも、ワンデーレースなど年間7レース以上でタイムボードを掲げているという。本業のオフィスを長期間空けて、休みなく働いていることに記者が驚いた様子を見せると、「上司も喜んで送り出してくれているわ」と教えてくれた。

 最後に、過酷な労働であることなどから「嫌になることはないのか」と問うと、「そんなことありえないわ! これからも続けたいと思っているのよ」と笑顔でコメントした。

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