東京・お台場で熱い戦いを展開4人の逃げ集団を制した阿部‎嵩之が優勝 Jプロツアー「湾岸クリテリウム」

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 国内ロードレースの「Jプロツアー」第12戦となる「JBCF 湾岸クリテリウム」が27日、東京・お台場で行われ、阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン)が逃げグループでのスプリント勝負を制して優勝した。年間個人ランキング首位のルビーレッドジャージは増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が守っている。

阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン)が逃げグループのスプリント勝負を制して優勝阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン)が逃げグループのスプリント勝負を制して優勝
東京・お台場のシンボルプロムナード公園内のコース。路面はタイル東京・お台場のシンボルプロムナード公園内のコース。路面はタイル

 「湾岸サイクルフェスティバル」と併催となった今大会。東京・お台場でJプロツアーのレースが行われるのは2年ぶりで、コースは以前よりも数百メートルほど東側に移動し、シンボルプロムナード公園内に1周1.45kmの周回コースが設定された。男子は16周回の予選が3組行われ、各組上位13人ずつが決勝に進む。

 決勝レースは24周回、34.80kmで争われ、39選手が出場。この中には宇都宮ブリッツェンとマトリックスパワータグが最多の7人、シエルヴォ奈良 ミヤタ-メリダが5人、那須ブラーゼンとクロップス・チャンピオンシステムが4人の選手を送り込んだ。強い日差しが照りつける中で大会が進んでいたが、決勝がスタートする頃には、徐々に雲が立ちこめる天候となった。

 スタート直後からはアタック合戦が続き、何度か逃げと吸収が繰り返されたあとの4周目、カウンター気味に飛び出した雨澤毅明(那須ブラーゼン)が単独で集団から抜け出す。雨澤は独走のまま5周目のポイント賞もトップで通過する。

日本チャンピオンの佐野淳哉(那須ブラーゼン)が集団先頭に立つ日本チャンピオンの佐野淳哉(那須ブラーゼン)が集団先頭に立つ
序盤の攻防。先頭は小渡健悟(シエルヴォ奈良 ミヤタ-メリダ)序盤の攻防。先頭は小渡健悟(シエルヴォ奈良 ミヤタ-メリダ)
単独アタックで逃げる雨澤毅明(那須ブラーゼン)単独アタックで逃げる雨澤毅明(那須ブラーゼン)
集団はまずは静観の構え集団はまずは静観の構え

 メーン集団は次の展開を探るかのような牽制状態が見られたが、6周目に入ったところで阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン)が追走のアタック。これに末永周平(クロップス・チャンピオンシステム)、和田力(マトリックスパワータグ)が反応し、3人が雨澤に追い付いて4人の先頭グループとなった。人数を揃える今大会の主要チームがほぼ入ったことで、メーン集団は一旦この逃げを容認。タイム差は一気に開いて、9周目には45秒差となった。

6周目、阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン)が追走のアタック。末永周平(クロップス・チャンピオンシステム)が反応6周目、阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン)が追走のアタック。末永周平(クロップス・チャンピオンシステム)が反応
雨澤に3人が追い付き、4人の先頭集団に雨澤に3人が追い付き、4人の先頭集団に
メーン集団は宇都宮ブリッツェンが先頭でペースアップメーン集団は宇都宮ブリッツェンが先頭でペースアップ

 次の動きは10周目を過ぎてから。メーン集団先頭に宇都宮ブリッツェンが集結し、逃げを追い始めた。タイム差はすぐに10秒近く縮まるが、これを嫌ったのがマトリックスパワータグ。先頭の追走に混じってペースを乱すと、再び先頭との差は40秒台に戻った。逃げの4人では、追走を助けるために阿部‎と和田が先頭交代から外れ、雨澤と末永のみが前を引くが、1周2分少々の安定したペースを刻み続ける。

折り返しを通過する逃げグループ折り返しを通過する逃げグループ
折り返しを抜けるとすぐに上り坂折り返しを抜けるとすぐに上り坂
ブリッツェンの追走にマトリックスが混ざっているブリッツェンの追走にマトリックスが混ざっている
集団先頭をピュアホワイトジャージの堀孝明(宇都宮ブリッツェン)が牽引集団先頭をピュアホワイトジャージの堀孝明(宇都宮ブリッツェン)が牽引
メーン集団でブリッツェンとマトリックスが動いたことで、逃げグループは雨澤と末永のみが引くことにメーン集団でブリッツェンとマトリックスが動いたことで、逃げグループは雨澤と末永のみが引くことに

 メーン集団では15周目、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)がアタック。これにベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)が反応。ここに鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)、遠藤績穂(クロップス・チャンピオンシステム)が加わって追走グループとなる。さらに後方からアイラン・フェルナンデス、田窪賢次(ともにマトリックスパワータグ)、普久原奨(那須ブラーゼン)の第2追走グループも形成された。

 第1追走と第2追走グループが合流しかけたところで、しかしメーン集団からさらにセバスチャン・モラ(マトリックスパワータグ)が前に合流しようとする動きを見せる。これが逆に追走の芽を摘む形となってしまった。ペースの上がったメーン集団が追走グループを飲み込み、ここで牽制状態となったことで、先頭との差は50秒台に広がってしまった。残り5周、先頭を行く4人の逃げ切りは濃厚となった。

15周目、メーン集団から追走の動き15周目、メーン集団から追走の動き
メーン集団から、さらに第2追走グループが飛び出すメーン集団から、さらに第2追走グループが飛び出す
メーン集団から、さらに第3の追走の動きメーン集団から、さらに第3の追走の動き
第3の追走が他の追走を全て飲み込む形に第3の追走が他の追走を全て飲み込む形に

 先頭グループで動きがあったのは22周目。阿部‎がアタックを仕掛けた。これに反応してまず追い付いたのは和田。雨澤と末永は出遅れたが、しばらく雨澤中心に追走したところから末永がブリッジを掛け、23周目の後半に先頭2人に追い付くことに成功。3人の先頭グループで最終周回へと突入した。

 最終回後半、コーナーを利用して最初に仕掛けたのは末永だった。緩やかに上ってのゴールへと先頭で突き進む。しかし脚を残していた阿部‎が加速、ゴール前50mで末永をかわし、両手を何度も突き上げて先頭でゴールした。悔しそうに何度もハンドルを叩いた末永が2位、和田が3位、最後遅れたものの単独で粘った雨澤が4位に入った。雨澤は4度のポイント賞のうち3度を先頭通過して、ポイント賞を獲得した。5位争いのメーン集団ゴールスプリントは、鈴木譲が先頭で入った。

アタックした阿部‎に和田が追い付くアタックした阿部‎に和田が追い付く
さらに後方から末永が追走さらに後方から末永が追走
3人の先頭グループで最終周回へと向かう3人の先頭グループで最終周回へと向かう
最終周回に入ったメーン集団最終周回に入ったメーン集団
スプリント勝負を制したのは、豊富な経験を生かした阿部‎だったスプリント勝負を制したのは、豊富な経験を生かした阿部‎だった

誤算と誤算の戦い 経験が勝負を分ける

ゴール直後から、滝のような雨に。シャワーのように汗を流す辻善光(湘南ベルマーレ)ゴール直後から、滝のような雨に。シャワーのように汗を流す辻善光(湘南ベルマーレ)

 レース後、今大会の主導権を争った、宇都宮ブリッツェンとマトリックスパワータグ、両チーム関係者に話を聞いたが、その表情は一様に渋いものだった。

 宇都宮ブリッツェンはレース中盤から総攻撃を仕掛けて、集団を破壊するプランだったが、想定よりも早く4人の大逃げが決まり、また追走の動きを潰されたことで、必ずしもスプリントに強くない阿部‎に勝負を託すことになってしまった。結果的に勝ちはしたものの「作戦は失敗だった」と清水裕輔監督は語る。

 一方マトリックスパワータグは、3人いるスペイン人選手を先頭グループに送り込んで勝負する作戦だった。しかしブリッツェンとのバランスを見ながら追走を作る過程で、スペイン人がそれぞれにアタックしてしまい、結果的に追走を潰すことになっていしまった。「最初から逃げに和田でなくスペイン人が乗るべきやった」とレース後、安原昌弘監督は語った。

ルビーレッドジャージは増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が守ったルビーレッドジャージは増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が守った
ポイント賞を獲得した雨澤毅明(那須ブラーゼン)ポイント賞を獲得した雨澤毅明(那須ブラーゼン)

 「まだ経験が少ないので、とにかく積極的に動こうと思っていた」という雨澤や、チームのスプリンターのために序盤の動きに反応していた末永など、4人の先頭グループは、あくまでレース途中の過程として生まれたものだったが、期せずしてこれが勝ち逃げとなった。この中で和田と末永は、大学から今年Jプロツアー入りして1年目、雨澤も高卒2年目の選手とあり、いずれもプロのレースの先頭で勝ち負けに関わることは初めてだ。今年6年目、複数の優勝経験のある阿部‎の経験・実績が抜きん出ていた。

P1表彰。(左より)3位の和田力、優勝の阿部‎嵩之、2位の末永周平P1表彰。(左より)3位の和田力、優勝の阿部‎嵩之、2位の末永周平

 結局、「早く仕掛けすぎてゴールまで長かった」という末永と、「本来は先行型なのに出方を見てしまった」という和田が互いに自滅する中で、「チームメートが追ってきていたので、脚を溜めることができた。これもある意味チーム戦」と冷静に勝負に徹した阿部‎が勝利をつかむことになった。

 阿部‎はJプロツアーでは、昨年の石川ロード以来の勝利。「途中、多少ミスコミュニケーションもあったが、経験でまとめることができた。勝てて良かった。それが一番です」と語った。

 3大会が開催された7月を終え、Jプロツアーは約1カ月お休みとなる。次戦、シリーズ第13戦は8月31日、長野県宮田村で「みやだクリテリウム」が開催される。

(写真・文 米山一輝)

Jフェミニン(女子)は、鹿屋体育大学の上野みなみが、序盤から独走して優勝Jフェミニン(女子)は、鹿屋体育大学の上野みなみが、序盤から独走して優勝
女子表彰。(左より)2位の塚越さくら、優勝の上野みなみ、3位の智野真央女子表彰。(左より)2位の塚越さくら、優勝の上野みなみ、3位の智野真央

P1決勝(34.80km)
1 阿部‎嵩之(宇都宮ブリッツェン) 49分31秒
2 末永周平(クロップス・チャンピオンシステム) +0秒
3 和田力(マトリックスパワータグ) +1秒
4 雨澤毅明(那須ブラーゼン) +7秒
5 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +1分11秒
6 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン) +1分11秒
7 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ) +1分11秒
8 小室雅成(ロヂャースレーシングチーム) +1分11秒
9 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +1分11秒
10 藤岡克磨(クロップス・チャンピオンシステム) +1分12秒

F決勝(14.50km)
1 上野みなみ(JBCF J-Feminin) 23分34秒
2 塚越さくら(JBCF J-Feminin) +47秒
3 智野真央(ニールプライド・メンズクラブ JFT) +1分10秒

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