ツール・ド・フランス2014 最終第21ステージキッテルがシャンゼリゼで今大会4勝目 総合優勝のニバリは史上6人目の三大ツール制覇

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 第101回ツール・ド・フランスの最終第21ステージは7月27日、エヴリーからパリまでの137.5kmで行われ、シャンゼリゼ大通りでのスプリント勝負をマルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ)が制して今大会4勝目を挙げた。ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が総合優勝を飾り、史上6人目となる三大ツール制覇を達成した。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は日本人歴代最高の総合65位で、自身5度目の完走を果たした。

ヴィンチェンツォ・ニバリと、総合優勝を祝福するタイムボードヴィンチェンツォ・ニバリと、総合優勝を祝福するタイムボード

 23日間にわたる長い戦いの最後の1日は、半分以上がゆっくりしたパレード走行だ。完走を目前にした選手たちが、戦い抜いた喜びと開放感を楽しみながら、お祭りムードでパリを目指した。

 ただし、シャンゼリゼでの勝負に挑むスプリンターたちは、華やかなパレードを楽しみながらも、緊張感を途切れさせることはできない。3年連続のマイヨヴェール獲得を決定づけているペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)は、今大会初ステージ優勝がかかるため、昨年よりはややおとなしめだ。

走りながらシャンパンでヴィンチェンツォ・ニバリの総合優勝を祝うアスタナの選手たち走りながらシャンパンでヴィンチェンツォ・ニバリの総合優勝を祝うアスタナの選手たち

 総合首位に立つニバリは、ヘルメットからグローブに至るまで、初めて全身をマイヨジョーヌカラーで包んだ。さらにバイクもスペシャルカラーだ。ニバリ自らシャンパンを配り、アスタナの9人が全員そろって乾杯。1人もリタイアすることなくメーン集団を牽引し続けてきた強力なアシストたちを労い、ともに総合優勝を祝った。

 アスタナが凱旋のように牽引するプロトンは、いよいよ約7kmの周回コースを8周するパリ・シャンゼリゼへ。今年も昨年と同じく、凱旋門をぐるりと周るコースが採用された。

 周回コースの1周目、フランスのスター選手であるシルヴァン・シャヴァネル(イアム サイクリング)がファーストアタックをしかけた。今大会は思うように活躍できなかったシャヴァネル。このアタックは3kmほどで吸収されたがシャンゼリゼ大通りに詰めかけた大観衆の前で存在をアピールした。

 今度は、今季限りでの引退を表明しているイェンス・フォイクト(ドイツ、トレック ファクトリーレーシング)が単独アタック。17回出場してきたツールの最後を自ら飾る力強い走りだ。

 それに対し、フォイクトと同じ42歳のクリストファー・ホーナー(アメリカ、ランプレ・メリダ)が集団から飛び出した。ホーナーの動きに追随して、10人ほどが追走を試みた。

 逃げをめぐる動きか活性化するなか、メーン集団では総合2位のジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が落車。ヒヤリとする場面となったが、チームメートを伴って再スタート。メーン集団からは30秒ほど遅れてしまった。

スペシャルカラーの自転車で走るヴィンチェンツォ・ニバリスペシャルカラーの自転車で走るヴィンチェンツォ・ニバリ

 総合2位のペローが遅れるなかアタックが次々かかるため、集団のペースは下がらなかった。その状況を見かねて、総合リーダーであるニバリやシャヴァネルが、逃げようとする選手に追いついてアタックをやめるように指示。総合2位の選手に対する敬意を示した。その間に、チームメートやチームカーの隊列の協力を得て、ペローは集団に復帰した。

 いったんペースが落ちた集団のなかから、残り約37kmからリッチー・ポート(オーストラリア、チーム スカイ)ら4人がエスケープ。20秒前後のリードをもって逃げ続けたが、残り2周でポートは他の選手を切り離し単独先頭に。しかしその逃げもラスト1周の目前で吸収された。

 最終周回はキッテル擁するジャイアント・シマノ、アンドレ・グライペル(ドイツ)のロット・ベリソル、アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー)のチーム カチューシャなどが先頭でトレインを形成。そのなかで新城は、強力な牽引でヨーロッパカーを集団前方まで引き上げる走りを見せた。

 ラスト1kmを切ると、ジャイアント・シマノが有利な形勢。コンコルド広場からシャンゼリゼ大通りへのカーブを、キッテルは3番手で曲がって最終ストレートへ。その後ろにはクリツォフやグライペル、ラムーナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)らが続いた。

 しかし、キッテルと最終発射台を務めるトム・フィーレルス(オランダ)との間にガーミン・シャープのアシストが入ったため、キッテルは万全のスタートを切れず。その間にクリツォフが加速し、キッテルはホイールひとつ分ほどの先行を許した。2人はナヴァルダウスカスを引き離す高速スプリントで一騎打ちに。そこからキッテルは最後の一伸びで加速し、トップスピードの違いを見せつけてゴールラインへ飛び込んだ。

シャンゼリゼのステージを制し今大会4勝目を挙げたマルセル・キッテルシャンゼリゼのステージを制し今大会4勝目を挙げたマルセル・キッテル

 今大会、第4ステージまでで3勝を挙げたキッテルにとっては、多くの山岳ステージを乗り越えてつかんだ待望の4勝目だ。キッテルはこれでツール4勝とシャンゼリゼでのステージ優勝を2年連続で達成。最強スプリンターとの呼び声高い実力を、改めて証明した。
 
マイヨジョーヌのニバリはチームメートと喜び合いながらゴールし、自身初のツール・ド・フランス総合優勝を決定させた。イタリア人としては1998年のマルコ・パンターニ以来の総合優勝だ。そしてニバリは、2010年のブエルタ・ア・エスパーニャ、2013年のジロ・デ・イタリアと合わせ、全グランツール制覇を成し遂げた。ジャック・アンクティル、フェリーチェ・ジモンディ、エディ・メルクス、ベルナール・イノー、アルベルト・コンタドールという偉大な面々に続く、史上6人目の快挙。圧倒的な強さを印象付けた大会で、歴史的な記録も達成した。

 総合2位のペロー、総合3位とティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル)も無事に集団でゴール。2人のフランス人が表彰台に登壇すると、観衆からはひと際大きな声援が上がった。フランス人が表彰台に上るのは、1997年に2位に入ったリシャール・ヴィランク以来。2人同時となると、ローラン・フィニョンが総合優勝、ベルナール・イノーが2位に入った1984年以来、30年ぶりのことだ。

(左から)総合2位のジャンクリストフ・ペロー、総合優勝を果たしたヴィンチェンツォ・ニバリ、総合3位のティボー・ピノ(左から)総合2位のジャンクリストフ・ペロー、総合優勝を果たしたヴィンチェンツォ・ニバリ、総合3位のティボー・ピノ

 マウンテンバイクの選手として活躍してきたペローは、32歳でプロロードレーサーになった経歴の持ち主。37歳にしてツール表彰台を掴み取った。24歳のピノは新人賞のマイヨブランも獲得。これからのフランスを背負う存在であり、次々と出現するフランス期待の若手の代表格になった。違った個性をもつ2人が、長く低迷していたフランスのロードレース界に明るい光をもたらした。

 ポイント賞のマイヨヴェールは、サガンが3年連続で獲得。ステージ優勝を挙げられなかったことは心残りだが、コンスタントにポイントを稼ぐスタイルで、最大のミッションを達成した。

 山岳賞のマイヨアポワはツール初出場のラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)が獲得した。急遽出場が決まった今ツール。大会終盤に山岳ステージで2勝を挙げ、山岳ポイントを荒稼ぎした。24歳とまだ若く、グランツールライダーとしての成長が期待される。

 日本から唯一人出場した新城幸也は平坦、山岳ステージを問わずアシストとして活躍し、今年も無事にシャンゼリゼへ凱旋した。最終ステージでもアシストとしてチームのトレインを牽引し、47秒遅れの118位でゴール。5度目の完走と日本人歴代最高の総合65位は、ともに日本ロードレース界の歴史を刻む偉業といえよう。

(文 平澤尚威/写真 砂田弓弦)

第21ステージ結果
1 マルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 3時間20分50秒
2 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +0秒
3 ラムーナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ) +0秒
4 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) +0秒
5 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファルマ・クイックステップ) +0秒
6 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チーム スカイ) +0秒
7 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) +0秒
8 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファルマ・クイックステップ) +0秒
9 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) +0秒
10 ロマン・フェイユー(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン) +0秒
118 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +47秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 89時間59分6秒
2 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +7分37秒
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +8分15秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +9分40秒
5 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +11分24秒
6 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +11分26秒
7 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +14分32秒
8 アイマル・スベルディア(スペイン、トレック ファクトリーレーシング) +17分57秒
9 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +18分11秒
10 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +21分15秒
65 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +2時間55分27秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 431 pts
2 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) 282 pts
3 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 271 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 181 pts
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 168 pts
3 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 112 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 90時間7分21秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +3分11秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +1時間13分40秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 270時間27分2秒
2 ベルキン プロサイクリングチーム +34分46秒
3 モビスター チーム +1時間6分10秒

総合敢闘賞
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)

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