ツール・ド・フランス2014 第20ステージ世界王者マルティンが個人TTで圧勝 ニバリは総合優勝を確実に、ペローが総合2位に浮上

  • 一覧

 ツール・ド・フランス第20ステージは26日、今大会唯一の個人タイムトライアル(TT)がベルジュラックからペリグーまでの54kmで行われ、TT世界チャンピオンのトニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)が2位以下を大きく引き離して今大会2勝目を挙げた。ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)はステージ4位の好タイムでマイヨジョーヌを守った。一方、ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が総合3位から2位に浮上するなど、総合トップ10内では順位が大きく入れ替わった。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は109位でゴールしている。

総合優勝に王手をかけたヴィンチェンツォ・ニバリ総合優勝に王手をかけたヴィンチェンツォ・ニバリ

 54kmの長いコースには4つの丘があり、計測地点が1~3つ目の丘の頂上に設けられた。この日は快晴で、全力で走れる路面コンディション。アップダウンが多いためレース前はクライマーに有利と見られていたが、それほど勾配が厳しくなかったためTTスペシャリストたちが力を発揮した。

今大会唯一のTTステージに臨んだ新城幸也今大会唯一のTTステージに臨んだ新城幸也

 総合順位の低い順にスタートを切り、序盤はダニー・ペイト(アメリカ、チーム スカイ)が1時間9分22秒の好タイムを記録。中盤にはチェコのTTチャンピオン、ヤン・バルタ(チーム ネットアップ・エンデューラ)が1時間8分8秒でトップタイムを更新した。新城は1時間14分15秒でゴールした。

ステージ優勝を挙げたTT世界王者のトニー・マルティンステージ優勝を挙げたTT世界王者のトニー・マルティン

 その後、TT世界選手権3連覇中のマルティンが実力を存分に見せ付けた。暫定トップのバルタに対し、第1計測では35秒リード。さらに第2計測では1分28秒も先行した。マルティンは2分間隔でスタートしていった前の選手たちを次々に抜き去り、結果的にはバルタを1分47秒上回る1時間6分21秒でゴール。平均時速は48.8kmを記録した。

 次に注目されたのは、オランダの個人TTチャンピオンで、6月に開催されたツール・ド・スイスの個人TTでマルティンに次ぐ成績を残したトム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・シマノ)。しかしドゥムランもマルティンに及ばず、1分39秒遅れでゴールした。

 スタート順が遅い上位陣では、総合順位を争う戦いが始まった。特に、総合2位から4位は15秒、7位から9位は41秒のなかに3人がひしめく激戦だ。

 まず総合9位のレオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ)が好走を見せ、第1計測をマルティンに48秒遅れで通過。一方で、同8位のローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)、同7位のバウケ・モレマ(オランダ)のベルキン プロサイクリングチーム勢は大ブレーキ。テンダムはマルティンに2分8秒遅れ、モレマは2分43秒の遅れとなり、総合7位争いは第1計測の時点でケニッグのリードが確実となった。

 最終的にケニッグはステージ5位の好成績で総合7位に浮上。一方、テンダムとモレマは、2分以上のリードがあったアイマル・スベルディア(スペイン、トレック ファクトリーレーシング)にも逆転を許し、総合8位がスベルディア、9位テンダム、10位モレマという結果になった。

 高いTT能力を誇る総合6位のティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム)は中間計測を好タイムで快走。総合5位のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)もまずまずの走りを見せた。このまま順位の変動はなく終えるかと思われたが、バルデが終盤でパンク。バイク交換によりタイムを失ってしまった。

 この結果、ステージ6位に入ったヴァンガードレンがわずか2秒差でバルデを上回り総合5位に浮上した。

 最終日の総合表彰台を争うのは、総合2位のティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル)、3位のペロー、4位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)の3人。

総合表彰台と新人賞を守ったティボー・ピノ総合表彰台と新人賞を守ったティボー・ピノ

 第1計測ではバルベルデがトップのマルティンから1分50秒遅れ、ペローが42秒遅れ、ピノは1分7秒遅れで通過。2人を追い上げたいバルベルデはタイムが伸びず、逆転による表彰台は難しくなった。焦点は2人のフランス人による順位争いに絞られ、この時点でペローがヴァーチャル順位で2位に浮上した。

 その後、ペローにパンクが発生。ここまでで稼いできたピノとのタイム差を失うことになったが、焦った様子を見せず、バイクを交換して再スタート。パンク前と変わらない力走を続けた。
 
こうしてペローは総合成績でピノを逆転。昨年のツールでは、第17ステージの個人TTで試走とレース中に落車し、鎖骨骨折でリタイアという悔しい経験をした。その雪辱を晴らす快走をみせたペローは、ゴール後に涙を流し、スタッフと喜びを分かち合った。ピノは逆転を許したものの、ステージ12位の好成績で総合3位の表彰台を確保するとともに、新人賞も確定させた。

逆転で総合2位に浮上したジャンクリストフ・ペロー逆転で総合2位に浮上したジャンクリストフ・ペロー

 7分以上のリードをもつ最終走者のニバリは、落ち着きながらも集中した様子でスタート台に立った。今大会初めてマイヨジョーヌの黄色一色のウエアに身を包み、事実上のウイニングランへとスタートした。

 決定的なリードがあっても力を緩めないスタイルをこの日も貫いたニバリ。ゴールに向けてペースを上げ、最終的にはトップから1分58秒遅れのステージ4位、総合上位陣のなかでは最も良いタイムをマークした。

 優勝したマルティンは、大会前から狙いを定めていたステージを見事に制した。第9ステージではロードレースでのツール初勝利を挙げており、今大会2勝目。レース後には「完璧な大会になった」と満足そうに語った。ガッツポーズもなくゴールラインまで走りきったニバリも、表彰式では喜びと安堵がこみあげたようで、常に笑顔をたたえていた。

 最終第21ステージは、エヴリーからパリ・シャンゼリゼまでの137.5kmで行われる平坦ステージ。ここまで走りきったすべての選手にとっての凱旋レースだ。前半のパレード走行を経て、シャンゼリゼ通りでの周回コースで21ステージにわたる戦いに決着がつく。無事に完走すれば各賞の順位が変動することはないため、注目されるのはステージ優勝の行方だ。

(文 平澤尚威/写真 砂田弓弦)

第20ステージ結果
1 トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ) 1時間6分21秒
2 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・シマノ) +1分39秒
3 ヤン・バルタ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +1分47秒
4 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分58秒
5 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +2分2秒
6 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +2分8秒
7 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +2分27秒
8 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、イアム サイクリング) +2分36秒
9 マルケル・イリサル(スペイン、トレック ファクトリーレーシング) +2分39秒
10 ダニエル・オス(フランス、BMC レーシングチーム) +2分58秒
109 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +7分54秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 86時間37分52秒
2 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +7分52秒
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +8分24秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +9分55秒
5 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +11分44秒
6 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +11分46秒
7 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +14分41秒
8 アイマル・スベルディア(スペイン、トレック ファクトリーレーシング) +18分12秒
9 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +18分20秒
10 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +21分24秒
65 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +2時間55分4秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 417 pts
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 253 pts
3 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) 247 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 181 pts
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 168 pts
3 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 112 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 86時間46分16秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +3分22秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +1時間12分25秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 260時間24分10秒
2 ベルキン プロサイクリングチーム +34分44秒
3 モビスター チーム +1時間5分44秒

スーパー敢闘賞
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2014 ツール2014・レース詳報

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載