ツール・ド・フランス2014 第19ステージナヴァルダウスカスが終盤の丘でアタックして逃げ切り サガンは集団落車で勝負に絡めず

  • 一覧

 ツール・ド・フランス第19ステージは25日、モブルゲ・ペイ・デュ・ヴァル・ダドゥールからベルジュラックまでの208.5kmで行われ、終盤の4級山岳でメーン集団からアタックしたラムーナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)が、雨の中ゴールまで約13kmを逃げ切って勝利した。メーン集団では残り3kmを切った最終盤で集団落車が発生したが、救済措置によりタイム差は付けられず、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)がマイヨジョーヌを守っている。新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー)はメーン集団の中、71位でゴールした。

メーン集団の追走を振り切り、終盤のアタックを成功させたラムーナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)が優勝メーン集団の追走を振り切り、終盤のアタックを成功させたラムーナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)が優勝

 ツールはピレネーでの山岳決戦を終え、フランス南西部から一気に北上する。第20ステージの個人タイムトライアルを前に、この日は最後の本格ラインレース。ほぼ平坦基調のコースだが、195.5km地点の4級山岳ポイントなど、終盤に若干のアップダウンがあり、ピュアスプリンター以外の選手にも勝負どころは残されている。逃げでステージ優勝を狙う選手たちにとっては事実上のラストチャンスだ。

 レースはスタート直後から、トムイェルト・スラフトール(オランダ、ガーミン・シャープ)、シリル・ゴティエ(フランス、チーム ヨーロッパカー)、マルティン・エルミガー(スイス、イアム サイクリング)、アルノー・ジェラール(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)の4選手が抜け出す展開。ここにレイン・タラマエ(エストニア、コフィディス ソリュシオンクレディ)が単独で追い付き、5人の逃げ集団となった。

ひまわり畑を行くエスケープグループひまわり畑を行くエスケープグループ
チームのスプリンター、ブライアン・コカールを援護する新城幸也チームのスプリンター、ブライアン・コカールを援護する新城幸也

 メーン集団はスプリンターを擁するキャノンデール、カチューシャ、ジャイアント・シマノ、ロット・ベリソルのアシスト選手が1人ずつコントロールに入り、おおよそ2分台のタイム差を保ちながらレースを進めた。途中から雨が降り、パンクでホイール交換をする選手が続出したが、レース自体は落ち着いた状態で後半まで淡々と進んだ。

 残り60kmを切り、メーン集団ではロット・ベリソル勢が先頭を固めて徐々にスピードアップ。逃げとの差を縮め始める。これに合わせて逃げ集団もペースアップを計るが、残り30kmの手前、タイム差が1分弱になったところで、先頭でスラフトールが単独でアタックを仕掛けた。他の選手は追随できず、スラフトールが先頭、追うメーン集団という図式となる。

チームメートにサポートされながら走るマイヨジョーヌのニバリチームメートにサポートされながら走るマイヨジョーヌのニバリ

 ペースを保って逃げ続けるスラフトールだが、メーン集団も徐々にその差を縮め、約20秒差で残り15km、4級山岳のモンバジヤックの上りに入った。集団ではカウンター狙いの細かいアタックが掛かりペースアップ。ピュアスプリンター達が悲鳴を上げる中、頂上目前で集団から抜け出したのは、ナヴァルダウスカスだった。ここまで先頭を逃げ続けたチームメートに合流すると、さらに加速して単独で先頭に立った。

 一方、メーン集団では、上りでのペースアップにより、追走を牽引する役目のスプリンターチームの隊列が崩壊。集団先頭ではジャック・バウアー(オーストラリア、ガーミン・シャープ)が追走の動きをチェックして封じ込め、チームメートの逃げをアシストする。リトアニアの現TTチャンピオンで独走力にも優れるナヴァルダウスカスは、雨の下りを攻撃的に走り続け、集団から23秒のタイム差を築くことに成功した。

 下り区間を終えて残り5km、ようやく集団先頭には各チーム追撃の隊列が組み直された。ここから一気に追い込もうという矢先、残り3kmを切ってすぐの直角コーナー出口で、まさかの集団落車が起きてしまう。この日のステージ優勝を狙っていた、マイヨヴェールを着るペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)も落車し、念願の今大会初勝利はまたもお預けとなった。

雨の中、一気に集団との差を付けたナヴァルダウスカス雨の中、一気に集団との差を付けたナヴァルダウスカス

 落車は集団の先頭近くで起こったために、完全に難を逃れた選手はわずか20人程度。集団内の混乱もあって、ナヴァルダウスカスを追撃する力は完全に失われてしまった。ナヴァルダウスカスはゴール前で何度も念入りに後ろを確認してから、ガッツポーズでゴール。個人としてはツール初勝利。またガーミン・シャープにとっても念願の今大会初勝利となった。

 集団の先頭でステージ2位を獲ったのはジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ)。また、残り3kmを切ってのアクシデントは総合時間には反映されないため、ニバリをはじめ多くの有力選手は、いくつかの集団に分かれてゆっくりとゴールした。

 今年のツールも残すはあと2ステージ。第20ステージは今大会唯一の個人タイムトライアルだ。ベルジュラックからペリグーに至る54kmのコースは、いくつかの緩いアップダウンが待ちうけ、パワーとスピードが要求される。この日で総合成績はほぼ確定するため、逆転を狙える最後のチャンスとなる。首位のニバリは安全圏といえるが、2位以下の争いは混沌としており、最終日シャンゼリゼの表彰台をめぐって、手に汗握るドラマが展開されることだろう。

(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

第19ステージ結果
1 ラムーナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ) 4時間43分41秒
2 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) +7秒
3 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +7秒
4 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファルマ・クイックステップ) +7秒
5 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ) +7秒
6 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファルマ・クイックステップ) +7秒
7 サミュエル・デュムラン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +7秒
8 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) +7秒
9 セップ・ヴァンマルク(ベルギー、ベルキン プロサイクリングチーム) +7秒
10 ユルヘン・ルーランス(ベルギー、ロット・ベリソル) +7秒
71 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +7秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 85時間29分33秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +7分10秒
3 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +7分23秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +7分25秒
5 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +9分27秒
6 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +11分34秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +13分56秒
8 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +14分15秒
9 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +14分37秒
10 アイマル・スベルディア(スペイン、トレック ファクトリーレーシング) +16分25秒
63 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +2時間49分8秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 417 pts
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 253 pts
3 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) 247 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 181 pts
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 168 pts
3 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 112 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 85時間36分43秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +2分17秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +1時間9分35秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 256時間52分21秒
2 ベルキン プロサイクリングチーム +28分33秒
3 モビスター チーム +1時間5分47秒

敢闘賞
トムイェルト・スラフトール(オランダ、ガーミン・シャープ)

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2014 ツール2014・レース詳報

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載