10年間継続する大会に不可欠イベントを支え、復興を見守るボランティア 新制度「ツール・ド・東北 クルー」始動

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 被災地の復興支援と、震災の記憶を未来に伝えていくことを目的に昨年スタートした「ツール・ド・東北」。今年は9月14日に開催予定で、すでに出場エントリーは締め切られたものの、大会ボランティアスタッフ「ツール・ド・東北 クルー」は7月31日まで募集されています。今年から新制度としてスタートした「クルー」って、どんな仕組みで、どんな活動をするの? 誰でも参加できるの? そんな疑問に対し、大会を主催するヤフー株式会社でボランティアスタッフのサポートを担当する佐藤真司さんが、「クルー」の役割や特典、参加方法についてCyclistに寄稿してくれました。

エイドステーションでライダーを出迎えるボランティアスタッフ (2013年大会より)エイドステーションでライダーを出迎えるボランティアスタッフ (2013年大会より)

◇         ◇

エイドステーションでの食事提供の様子 (2013年大会より)エイドステーションでの食事提供の様子 (2013年大会より)

 2013年11月3日に行われた第1回大会は天候にも恵まれ、1316人のライダーが宮城県三陸沿岸の雄大な自然の中を駆け抜けました。その際、ライダーの頑張りだけでなく、ボランティアの皆さんの働きっぷりも、まさに「頼もしい」の一言でした。大きなトラブルもなく開催できた裏側には、コース上での立哨、エイドステーションでの食事提供、メイン会場での受付誘導など、さまざまな役割を担った約500人のボランティアの活躍があったのです。

100km、200kmのコースを安全に走行してもらうために

 実は第1回大会の運営は、何一つわからないところからスタートしていました。普段はインターネットを主な事業としているヤフーが、リアルで、しかも160kmもの距離を走る自転車イベントを開催するのですから、容易ではありません。半年以上かけて準備を重ね、体制をしっかり整えて本番に臨みましたが、案の定、当日の現場では不測の事態が連続し、大会事務局からボランティアへの連絡や指示はお世辞にもスムーズとは言えませんでした。

 しかし、そんななかでもボランティアの皆さんはへこたれず、それぞれの現場で、自分たちで判断して、積極的に動いて大会を支えてくれました。

大会前日、石巻専修大学で開かれたボランティア説明会 (2013年大会より)大会前日、石巻専修大学で開かれたボランティア説明会 (2013年大会より)
大会前日、石巻専修大学で開かれたボランティア説明会 (2013年大会より)大会前日、石巻専修大学で開かれたボランティア説明会 (2013年大会より)
大会当日は朝早くから会場内でさまざまなブースが設営・運営された (2013年大会より)大会当日は朝早くから会場内でさまざまなブースが設営・運営された (2013年大会より)

 こうした働きを見て改めて実感したのは、当たり前ですが、自転車イベントは非常に多くのボランティアに支えられていて、その協力なくしてはそもそも成立しないということ。100km、200kmを超えるコースを安全に走行してもらうためには、それだけで数百名という立哨員が必要です。

 そして、そのうちに、これだけ活躍しているボランティアの人たちにもっとスポットライトを当てられたらなぁと思うようになりました。

クルーの特典は「翌年の大会への優先出場権」

 「ツール・ド・東北」は大会規模を発展させながら10年間継続することを目指しています。実現するには、今よりももっともっとたくさんのボランティアの協力が不可欠です。

 「今のままのボランティア制度では、これ以上の人は集まらない。もっと積極的に、もっと楽しんで参加できるものにしなければ!」。われわれはこう考え、その第一歩となる取り組みを今年から開始しました。それが「ツール・ド・東北 クルー」です。

会場内での誘導もボランティアの係員が務めた (2013年大会より)会場内での誘導もボランティアの係員が務めた (2013年大会より)

 まず、ボランティアという呼び名自体を改めるところから始めました。一緒に大会を作り上げていく「クルー(乗組員)」の一員であるという想いが込められています。

 また、翌年の大会へ優先的に出場できる権利を特典として設けました。惜しくも今年出走が叶わなかった人は、来年走ることをモチベーションにクルーとして参加してもらえますし、これまで自転車に乗っていなかった人には、クルーへの参加を機に自転車を始めてもらい、来年も東北を訪れるきっかけになればと考えています。

 今年の特典はこれだけですが、将来に向けてさまざまな企画を検討中です。せっかく沿岸地域に来てもらうので、クルーだけが参加できる漁業体験を組み込んだり、クルーの活躍を称える表彰式を行ったりと、趣向を凝らしたプログラムを用意していくつもりです。ゆくゆくは、クルーとして参加すること自体も大会の魅力のひとつになるような、そんな制度にしていきたいと思っています。

「私の声が天使の声?」 ボランティア体験談

 ここで、昨年ボランティアに参加された宮城県石巻市在住の岩元暁子さんの体験談をご紹介します。

2013年大会にボランティアとして参加した岩元暁子さん2013年大会にボランティアとして参加した岩元暁子さん

 大会当日は4時起きで石巻専修大学へ。寒くて、真っ暗で、「本当にみんな走るのかな」と思うなか、バスに乗って立哨員の配置場所まで移動しました。女川と雄勝の間の山道で「はい、じゃあここで」と一人で降ろされ、「え? ここにひとり? 心細い~」と思いながら待っていました。すると、「カカオトーク」(メッセージアプリ)を使って、事務局から「今、先頭集団が○○を通過」と情報が来るんです。一人でしたが、おかげで、何百人のボランティアの人たちとつながってるって思えました。
 
そのうちにライダーが次々に走ってくるようになり、特に注意喚起をする場所でもなかったので、「がんばって!」と応援していました。私がいたのは何㎞もある坂道の途中だったのですが、どうやら「もうしんどい~」と思うところだったみたいで、走って来るライダーの方々が「あぁ、天使の声が聞こえる!」とか言ってくれるんですよ(笑)。「え? 私の声、天使の声に聞こえるの?(笑)」って。「ありがとー!」とか「おねえちゃん、一人で大変だねー」とか、みなさん声をかけてくださるのです。そういうやりとりができて、「選手とボランティアが一体になるって、こういうことなのかなぁ」という感覚を味わうことができました。
 
ほかにも、仮設住宅のそばのポイントの立哨員は、仮設住宅から出てきてくれた地元の方々と一緒に応援して楽しかった、って言ってました。私は一人だったと話したら、「一人でなんて、気の毒な」と同情されたりしたけれど、「そんなことない。結構、私も楽しかったし」って言い返しました(笑)。
 
ボランティアに参加する前は、寒いし、結構キツイ活動をイメージしていたのですけれど、時間があっという間に過ぎ、「あ、もう終わりなんだ」っていう感じでした。何千人という人が石巻にやってくるイベントに参加して、みんなで盛り上げていこうとしているんだなぁっていう気分を久しぶりに感じましたね。
 
この街には今、外から来てくれる人たちが必要です。外から訪れる人がいることで、「応援してくれる人がこんなにもいるから、自分たちも明日からがんばろう」って思えるんです。石巻へ来て、美味しいものを食べることだって、経済の支援になるわけですしね。来る人が楽しむことは大事なんですよ。楽しくなければ続かないから、ボランティアで来る人は楽しむことも義務、みたいな(笑)。「ツール・ド・東北」のボランティアとして来る人も、それ以外のこともしっかり楽しんで、いろんなことを見てほしいです。風景も、去年と全然違うんですよね。だから、毎年毎年違いを見て、こんなになったんだなって見守っていってほしいです。

岩元暁子さん

昨年はコース上でライダーを誘導する立哨員としてボランティアに参加。2011年4月に石巻に入り、ピースボート災害ボランティアセンターのスタッフとしてボランティア活動のコーディネートに従事。現在も石巻に住み、様々な活動を支えている。

◇         ◇

 自転車イベントのボランティアに興味がある方、被災地の復興に協力したいという想いがある方、ぜひこの機会に「ツール・ド・東北 クルー」に参加いただき、東北に足を運んでみてください。

(文・ヤフー株式会社 佐藤真司、 写真・Yahoo! JAPAN)


■「ツール・ド・東北 クルー」募集概要
○募集期間:~7月31日(木)
○募集定員:750名(予定)
○主な活動内容:
・受付(前日受付、当日受付)
・会場誘導案内(荷物預かり、駐車場誘導、会場内警備)
・会場イベント案内(イベント集客、イベント誘導)
・エイドステーション、給水ポイント(給水、食糧提供、エイドステーション誘導)
・コース管理(スタート誘導、コース警備、ゴール誘導)
・走行管理クルー(参加ライダーの安全な走行管理を目的に、担当する各フォンドで定速定時走行)
そのほか、交通宿泊、参加条件などの詳細は公式サイトをご覧ください。
○応募方法:公式サイト( http://tourdetohoku.yahoo.co.jp/2014/ )からエントリー

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