ツール・ド・フランス2014 第18ステージ頂上ゴールで独走したニバリが4勝目 バルベルデが後退し、総合表彰台争いは混沌

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 ツール・ド・フランス第18ステージが7月24日、ポーからオカタムまでの145.5kmで行われ、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が超級頂上ゴールを独走で駆け抜け、今大会4勝目を挙げた。マイヨジョーヌを着るニバリは、この日だけで2位以下とのタイム差をさらに1分以上広げ、個人総合優勝をさらに引き寄せた。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は最後の上りまでメーン集団に残り、11分54遅れの34位でゴールしている。

今大会4度目のステージ優勝を果たしたヴィンチェンツォ・ニバリ今大会4度目のステージ優勝を果たしたヴィンチェンツォ・ニバリ

 ピレネー3連戦の最終日は、今大会最後の山岳ステージとなり、2つの3級山岳の先に2つの超級山岳が待ち受けた。名物の峠トゥールマレー(登坂距離17.1km、平均勾配7.3%)を越え、最後はオタカム(登坂距離13.6km、平均勾配7.8%)の頂上ゴールとなる難関コースだ。

 この日はスタートから13kmほどで20人の逃げ集団が形成された。第8ステージでツール初勝利を挙げたブレル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス、イアム サイクリング)がこの集団に顔を連ねた。さらに、今大会を通じて積極的な作戦を展開しているチーム ヨーロッパカーは、トマ・ヴォクレール(フランス)、ブライアン・コカール(フランス)、ケヴィン・レザ(フランス)の3人を送り込んだ。

 メーン集団はアスタナ プロチームがコントロール。ニバリの総合優勝を狙うだけなら逃げ切りを許してもいいところだが、ステージ優勝、あるいはニバリの山岳ポイント獲得を狙ってか、逃げ集団とのタイム差を4分程度に留めた。

 序盤の3級山岳を2つ通過し、61.5km地点の中間ポイントでは、ポイント賞争いで2位につけるコカールが先頭通過して20ポイントを追加した。目的を果たしたコカールは、トゥールマレーに向かう上りで逃げ集団を牽引してから離脱。

トゥールマレーを上る人気選手、トマ・ヴォクレールトゥールマレーを上る人気選手、トマ・ヴォクレール

 トゥールマレーに突入した19人の逃げ集団からは、カドリとミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ)の2人が先行。シャヴァネルは最初にアタックを仕掛けたものの失速し、一昨年にトゥールマレーで好走を見せたヴォクレールも遅れていった。後方ではスプリンターたちが早々にグルペットを形成し、メーン集団は人数が絞られ始めた。

 カドリとニエベから遅れること約4分30秒でメーン集団が山頂を通過。ここから始まる36kmにおよぶ長い下りで、総合2位につけるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)がメーン集団から単独アタックをしかけた。モビスターはこのためにヘスス・エラダ(スペイン)、イオン・イサギレ(スペイン)を逃げ集団に送り込んでおり、ポジションを下げて待ち受ける2人と合流したバルベルデは、3人体制でメーン集団を引き離しにかかった。

 しかしこの動きに対し、バルベルデと総合を争うティボー・ピノ(フランス)擁するエフデジ ポワン エフエル、ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ)のBMC レーシングチームが追走。下りが終わる前にバルベルデのグループを吸収した。大胆な作戦に出たバルベルデだったが、結果的にアシストと体力を消耗することとなった。

 この下りで先頭の2人とメーン集団のタイム差は1分30秒にまで縮まった。ラスト13.6km、オタカムの上りに入ると、ニエベのペースにカドリがついていけなくなり単独先頭に。メーン集団ではアスタナが強力な牽引を見せ、さらに人数が絞られた。ここまで粘り強く好走してきた新城も遅れ始めた。

超級オタカムを行く新城幸也超級オタカムを行く新城幸也

 残り約11kmでクリストファー・ホーナー(アメリカ、ランプレ・メリダ)がアタックをしかけ、これにニバリが追随。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャの総合優勝者ホーナーと同2位のニバリの対決が再現された。しかし今回、両者の形勢は逆転していた。一騎打ち状態は1kmほど続いたが、今大会圧倒的な強さを見せるマイヨジョーヌのニバリがアタックし、そのまま単独でペースアップ。残り8km地点で先頭のニエベを猛然と抜き去り、ゴールの山頂へと突き進んだ。

 メーン集団からは、山岳リーダーの証であるマイヨアポワを着るラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)が抜け出した。山岳賞を争いでニバリとは31ポイント差で、頂上ゴールで獲得するポイントの差によっては逆転を許してしまう状況。ニバリのステージ優勝が濃厚になったなか、マイカが山岳ジャージを守るためには6位以内でゴールしなければならなくなった。

 メーン集団はすでに総合上位陣だけに絞られており、残り6kmでピノ、ヴァンガードレン、総合4位のジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)の3人が飛び出した。バルベルデはこの動きに反応できず、ライバルたちから遅れ始めた。ピノら3人は2番手を走っていたマイカを吸収し、さらにバルベルデを引き離すべくハイペースをキープした。

超級オタカムを独走するヴィンチェンツォ・ニバリ超級オタカムを独走するヴィンチェンツォ・ニバリ

 独走で頂上にたどり着いたニバリは、2位グループに対し1分以上のリードを奪い、総合優勝争いのアドバンテージをさらに広げた。圧倒的強さを見せつけるように、マイヨジョーヌを誇示しながら今大会4勝目を飾った。

 バルベルデを引き離した追走グループは、ピノが2位、マイカが3位でゴール。ピノから5秒遅れてペロー、ヴァンガードレンが続いた。バルベルデはピノから49秒の遅れでゴールし、総合4位に後退した。

タイムを失い、総合4位に転落したアレハンドロ・バルベルデタイムを失い、総合4位に転落したアレハンドロ・バルベルデ

 この結果、総合2位のピノからペローまで13秒、ペローからバルベルデは2秒と混戦模様だ。第20ステージの個人TTで順位が入れ変わることも十分に考えられる。総合5位のバルデは約2分、TTを得意とする同6位ヴァンガードレンも約4分遅れと、この争いに加わるのは簡単ではない。

 3位に入ったマイカは、ニバリに対する山岳ポイントでのリードを守りきった。残りステージでの逆転はないため、あとは完走すれば山岳賞獲得となる。

 翌25日の第19ステージはモーブルゲ・ペイ・デュ・ヴァル・ダドゥールからベルジュラックまでの208.5km。個人TTを前にした平坦ステージで、スプリンターがステージ優勝を狙う。しかし、ラスト13kmに勾配の厳しい4級山岳が設定されており、集団の分断や逃げグループの形成といった波乱が起こる可能性もある。

(文 平澤尚威/写真 砂田弓弦)

第18ステージ結果
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 4時間4分17秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +1分10秒
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1分12秒
4 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分15秒
5 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +1分15秒
6 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分53秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +1分57秒
8 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +1分57秒
9 アイマル・スベルディア(スペイン、トレック ファクトリーレーシング) +1分59秒
10 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分59秒
34 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +11分54秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 80時間45分45秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +7分10秒
3 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +7分23秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +7分25秒
5 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)+9分27秒
6 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +11分34秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +13分56秒
8 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +14分15秒
9 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +14分37秒
10 アイマル・スベルディア(スペイン、トレック ファクトリーレーシング) +16分25秒
61 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +2時間46分5秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 408 pts
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 253 pts
3 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) 217 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 181 pts
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 168 pts
3 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 112 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 80時間52分55秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +2分17秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +1時間1分45秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 242時間40分57秒
2 ベルキン プロサイクリングチーム +28分33秒
3 モビスター チーム +1時間5分47秒

敢闘賞
ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ)

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