ツール・ド・フランス2014 第17ステージマイカが超級山岳を制覇し今大会2勝目 新城幸也は逃げで強さをアピール

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 ツール・ド・フランス第17ステージは7月23日、サン・ゴダンスからサン・ラリー・プラ・ダデまでの124.5kmで行われ、山岳賞ジャージのマイヨアポワを着用するラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)が超級山岳の山頂ゴールを制覇し、今大会2勝目を挙げた。総合首位のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)は終始安定した走りを見せ、ステージ3位に入ってマイヨジョーヌをキープしている。また、序盤の逃げに加わった新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は、グループをリードする走りを見せ、その強さをアピールした。

超級山頂ゴールを制し、区間2勝目を挙げたラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)超級山頂ゴールを制し、区間2勝目を挙げたラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)

 ピレネー3連戦の2日目は、今大会最長距離だった前ステージから打って変わって、最短距離に。とはいえ、中盤から3つの1級山岳を越え、最後には超級山岳サン・ラリー・プラ・ダデ(登坂距離10.2km、平均勾配8.3%)の上りが待ち受ける難コース。大会で最も厳しい勝負どころを指す“クイーンステージ”の呼び声も高かった。

 序盤はファーストアタックを仕掛けた8選手がそのままリードを拡大。この先行グループには新城も加わり、積極的に先頭を引いた。一方のメーン集団は、ホアキン・ロドリゲス(スペイン)の山岳賞逆転を狙うチーム カチューシャがハイペースを刻む。新城らのグループの逃げを容認せず、1分前後のタイム差をキープしながら、この日最初の1級山岳であるポルティヨン峠へ向かった。

山岳でのマイカとロドリゲス山岳でのマイカとロドリゲス

 ポルティヨン峠の上りが始まると、メーン集団からアタックが頻発。山岳賞を争うロドリゲスやマイカのほか、総合でのジャンプアップを狙うバウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)やピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)、ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)らも加わり、20人以上が先を急いだ。57.5km地点に設けられた最初の山岳ポイントへは、ロドリゲスら6選手がリード。まずは狙い通り、ロドリゲスが1位通過の10ポイントを獲得した。

 下りに入るとレースが落ち着きを見せ始める。先頭6人に追走集団が合流し、22人の逃げ集団が形成された。この頃にはメーン集団も逃げを容認しており、アスタナ プロチームが集団コントロールを担った。

 2つ目の1級山岳ペイルスルド峠では、前日のステージでも好走したヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ)が逃げ集団から抜け出して独走態勢に。追走集団となった20人以上のグループでは、ペースアップを図る動きが盛んに起こり、頂上まで5kmほどのところでニコラ・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)とヘスス・エラダ(スペイン、モビスター チーム)が抜け出した。この形成のまま山岳ポイントへ。山岳賞を争う選手では、ロドリゲスが4位、マイカが5位で通過した。

 3つ目の1級山岳であるヴァル・ルーロン・アゼ峠を前に、追走集団が新城の牽引によってペースアップ。上り始めてすぐにロッシュとエラダを捕まえる。苦しさで新城の表情は歪むが、そのスピードが衰えることはなく、徐々にトップを走るキリエンカとのタイム差も縮まってきた。新城はやがて力尽き集団から遅れたが、この牽引の甲斐あって頂上を手前にキリエンカを吸収することに成功。頂上はロドリゲス、マイカの順で通過し、ともに山岳ポイントを上乗せした。

序盤から逃げに乗り、チームのために大活躍した新城幸也序盤から逃げに乗り、チームのために大活躍した新城幸也

 約4分後方を走るメーン集団は、エフデジ ポワン エフエルがペースメイクを開始。次々と集団の人数が減っていき、頂上を目前に総合上位陣だけに絞られた。下りに差し掛かると、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が1人抜け出し、前日に手放した新人賞のマイヨブランの奪回を目指す。

 そして、最後の上りであるサン・ラリー・プラ・ダデへ。大人数で先を急いだ集団も、終盤を迎えロッシュ、ローラン、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)、アマエル・モワナール(ドイツ、BMC レーシングチーム)が先行する形に。さらに、牽制気味となりペースが緩んだ瞬間に、ヴィスコンティがアタックを成功させ、単独でゴールを目指した。

新城の援護を受け、最後の上りに挑むローラン新城の援護を受け、最後の上りに挑むローラン

 後方からはマイカがブリッジを試みる。一時はロドリゲスに食らいつかれたが、後に引き離すことに成功。ロッシュらのグループに合流しタイミングを計ると、残り6kmで満を持してアタック。2kmほど進んだところでヴィスコンティに追いつき、この2人にステージ優勝が絞られた。そして勝負が決まったのは、ラスト2.5km地点だった。マイカがアタックすると、そのスピードにヴィスコンティが反応できなかった。

 勢いを増したマイカは、勝利を確信するとカメラバイクに向かってウインクをするなど、4つの厳しい山岳を走ってきたとは思えないほどの余裕を見せた。そして最後は、大きなアクションでゴール前に集まった観客を盛り上げながら、トップでフィニッシュラインを通過。超級山岳頂上ゴールでは山岳賞ポイントが2倍になることから、50ポイントを獲得し、山岳賞争いでもリードを広げた。

 マイカが今大会で挙げた2つの勝利は、ともに頂上ゴールを制してのものだ。また前日の第16ステージでは、チームメートのマイケル・ロジャース(オーストラリア)が勝利。チームとしては2日連続のステージ優勝で、今大会では3勝目となった。レース中、一度はロドリゲスに山岳ポイントで逆転を許したが、レース後に「最後の山岳でポイントを確保すれば、山岳賞ジャージを守ることができると思っていた」と述べたように、マイカにとっては狙い通りの逃げ切り勝利だった。なお、マイカのアタックこそ許したものの、最後まで粘りの走りを見せたヴィスコンティが2位でゴールした。

安定した走りでマイヨジョーヌを堅守したニバリ安定した走りでマイヨジョーヌを堅守したニバリ

 総合上位陣は、ゴールまで残り約5kmでジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)がアタック。これに反応したニバリらを引き連れる形でしばらく進むが、続いてニバリがペースアップ。すると、ペローだけがこの動きに乗じ、先行していた選手たちを少しずつキャッチしながら順位を上げていく。結果的に、ニバリが3位、ペローが4位でゴール。総合2位につけるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)や、同3位のティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル)らに約50秒先着した。これにより、ニバリのリードが広がったことはもちろん、総合2位から5位までが2分8秒差の中にひしめき合い、総合表彰台争いがより混沌とした状態になっている。

 山岳賞争いでは、マイカのトップは変わらず、2位に浮上したニバリに対し31ポイント差に。また、事実上のライバルとなるロドリゲスに対しても37ポイント差とし、優位な状況を作り出している。

 翌第18ステージはポーからオタカムまでの145.5km、今大会最後の上級山岳ステージとなる。中盤におなじみのトゥールマレー(登坂距離17.1km、平均勾配7.3%)を通過。36kmのダウンヒルを経て、最後はオタカム(登坂距離13.6km、平均勾配7.8%)の頂上を目指す。トゥールマレー、オタカムともに超級山岳とあって、マイカとロドリゲスによる山岳賞争いにもう一波乱が起こることも考えられる。また、総合表彰台争いに関しても、この2日後に控える個人タイムトライアルを前に、優位に立ちたい選手が積極的な攻撃を見せることだろう。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第17ステージ結果
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 3時間35分23秒
2 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム) +29秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +46秒
4 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +46秒
5 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール) +49秒
6 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +52秒
7 フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレック ファクトリーレーシング) +1分12秒
8 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +1分12秒
9 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ) +1分25秒
10 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分35秒
60 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +14分17秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 76時間41分28秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +5分26秒
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +6分0秒
4 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +6分8秒
5 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +7分34秒
6 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +10分19秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +11分59秒
8 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +12分16秒
9 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +12分40秒
10 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +13分15秒
70 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +2時間34分11秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 408 pts
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 233 pts
3 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) 217 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 149 pts
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 118 pts
3 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 112 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 76時間47分28秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分34秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +30分41秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 230時間20分30秒
2 ベルキン プロサイクリングチーム +28分43秒
3 モビスター チーム +52分30秒

敢闘賞
ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)

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