ツール・ド・フランス2014 第16ステージ下りでの攻防を制したロジャースがツール初勝利 総合上位陣の順位に変動も

  • 一覧

 ツール・ド・フランスは最後の休息日を終えて第3週目に突入。その初日となる第16ステージが22日、今大会最長ステージとなる、カルカッソンヌからバニエール・ド・リュションまでの237.5kmで行われた。序盤に形成された逃げ集団がそのままステージ優勝争いとなり、下りでアタックを成功させたマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)がツール初勝利を挙げた。総合首位のマイヨジョーヌを着用するヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)は、その座をキープ。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は、16分21秒遅れの53位でステージを終えている。

下りでアタックを決めたマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)が、ツール初勝利を挙げた下りでアタックを決めたマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)が、ツール初勝利を挙げた

 残すところ6ステージとなった2014年のツール。今回、最終決戦の場となっているのはピレネー山脈。休息日明けのこのステージからピレネーステージ3連戦となる。

 カルカッソンヌをスタート後、細かいアップダウンがあるものの、123.5km地点に設けられた中間スプリントポイントまではイージーなレイアウト。その後、2級、3級のカテゴリー山岳を経て、ゴールまで残り40kmを前に超級山岳ポール・ド・バレス(登坂距離11.7km、平均勾配7.7%)へと入っていく。そして、上り終えるとゴールまで21.5kmのダウンヒル。頂上からゴールまでの区間は、逃げ集団に有利に働き、これまでも逃げ切りが何度か決まっている。2010年には、トマ・ヴォクレール(フランス、当時Bボックス ブイグテレコム)が独走勝利を挙げた。

 そのヴォクレールが4年前の再現を狙うべく、今回も逃げに加わった。総勢21人の逃げ集団は、距離を追うごとにメーン集団との差を広げ、そのリードは最大で12分台に。逃げ集団によるステージ優勝争いが確実な展開となった。

観客で埋め尽くされたバレス峠。後ろに新城幸也が見える観客で埋め尽くされたバレス峠。後ろに新城幸也が見える

 ポール・ド・バレスの上りに差し掛かると、いよいよレースが動き始める。残り34kmでジェレミー・ロワ(フランス、エフデジ ポワン エフエル)がアタック。成功にはいたらなかったものの、集団を活性化させるには十分な動きとなった。これを機にペースが上がり、消耗した選手が遅れ始めるサバイバルの様相を呈する。

 ヴォクレールでの勝利を狙うチーム ヨーロッパカーは、ケヴィン・レザ(フランス)が強力牽引。好ペースを刻み続けると、残り27.5kmで満を持してヴォクレールがアタック。1度目は周りの選手の出方をうかがうものだったが、1kmほど進んだところだ再度アタック。今度はメンバーの絞り込みに成功。ヴォクレールのほか、ロジャース、ホセロドルフォ・セルパ(コロンビア、ランプレ・メリダ)、シリル・ゴティエ(フランス、チーム ヨーロッパカー)の4選手で頂上を目指す。その後、ゴティエが積極的にアタックを試みるが、一定のリズムで上るロジャースとセルパにたびたび追いつかれてしまう。頂上は、セルパを先頭にヴォクレール、ロジャースが一団で通過。ゴティエが少し遅れて続いた。

 一方のメーン集団では、レース中盤までコントロールを担ったアスタナ プロチームに代わり、モビスター チームが上りを先導。総合2位につけるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)のためにペースづくりを行うが、総合上位陣でこのスピードに対応できない選手が次々と現れた。ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)、ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)、総合5位につけるティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム)らが後退する。

ポール・ド・バレスでのニバリとバルベルデポール・ド・バレスでのニバリとバルベルデ

 さらに、新人賞のマイヨブランを着用する総合3位、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)も集団後方で苦しそうな様子。すると、バルデの様子を把握したティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル)がアタック。ニバリ、バルベルデ、ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)らはすぐに反応したが、バルデは対応できない。一時的に牽制気味になる場面こそあったものの、ピノの勢いは衰えることなく、頂上を目前にバルベルデやペローを振り切り、ニバリだけを引き連れる形で下りへと向かった。

 ステージ優勝がかかった先頭集団では、ロジャース、ヴォクレール、セルパの3選手が言い争いをするシーンも見られた。協調態勢が整わなかったのか、上りで遅れたゴティエやヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ)が再合流し、5選手でゴールを目指す形に。

 残り5kmを迎えたところでゴティエが加速。これに反応したのはロジャースだけだった。ライバルがついてこないことを確認すると、ゴティエもかわし、独走態勢へと持ち込んだ。下りのテクニックと独走力に定評があるロジャースが相手だけに、引き離された選手たちはその差を詰めることができない。

ゴールで涙を流すロジャースゴールで涙を流すロジャース

 下り終えるとラスト2kmは平坦区間。ここでも快調に走ったロジャースは、先頭を譲ることなくゴールへ。勝利を確信すると、深々とお辞儀をするパフォーマンスを見せながらフィニッシュラインを通過した。ゴティエをアシストに、数的優位に持ち込んだヴォクレールだったが、4年前の再現はならず。ロジャースから遅れること9秒、スプリントを制し、何とか2位は死守。3位にはキリエンカが続いた。

 絶対的エース、アルベルト・コンタドール(スペイン)を落車負傷で失って以降、ステージ狙いにシフトしたティンコフ・サクソ。チームとしては、第14ステージのラファウ・マイカ(ポーランド)に続く2勝目。ロジャース自身はツール初勝利であると同時に、ジロ・デ・イタリア挙げた2勝と合わせ、今シーズン3勝目となった。

 レース後にロジャースは、「気持ちを切り替えて臨んでいる。チャンスが巡ってくると信じ、失敗を恐れず挑戦した結果だ」とコメント。苦しいチーム事情の中、前向きに戦ってきた成果が見事に花開いた。

 後方で繰り広げられた総合上位陣による争いは、下りでバルベルデとペローがマイヨジョーヌグループに復帰。ニバリ、ピノとともにダウンヒルをこなし、リスクを負うことはなく、モビスター勢のペースメイクのもとゴールを目指した。ここのところ調子を上げてきたレオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ)もゴール直前で合流。トップから8分32秒遅れてフィニッシュしている。

 この結果、ニバリとバルベルデの順位、タイム差に変動はなかったものの、総合3位以下が大きく変化。ピノが3位に浮上し、新人賞のマイヨブランを獲得。ペローが総合4位に、ケニッグも総合7位と好位置に上がってきた。一方で、ニバリらから2分近く後れをとったバルデは総合5位にダウン。同様に3分30秒以上の後れを喫したヴァンガーデレンも総合6位に下げている。

山岳リーダーとなったマイカ山岳リーダーとなったマイカ

 また、熾烈を極める山岳賞争いでは、25km地点の4級山岳を1位で通過したマイカが、1ポイント差でマイヨアポア奪取。ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)との争いは、第17ステージ以降も続く。

 ピレネー2日目となる第17ステージは、一転して今大会最短距離となる124.5km。サン・ゴダンスからサン・ラリー・プラ・ダデまでのコースは、途中スペインに入国しながら、3つの1級山岳を越え、最後は超級山岳頂上ゴールへ。サン・ラリー・プラ・ダデの上りは、登坂距離10.2km、平均勾配8.3%。レース距離が短い分、ハイペースで展開する可能性が高い。また、有力選手の中には捨て身の攻撃に出る選手も想定される。一方で、スプリンターたちにとっては、何としてもタイムアウトを避けなくてはならない。すべての選手にとって、大きな戦いを強いられる1日となる。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第16ステージ結果
1 マイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ) 6時間7分10秒
2 トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー) +9秒
3 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ) +9秒
4 ホセロドルフォ・セルパ(コロンビア、ランプレ・メリダ) +9秒
5 シリル・ゴティエ(フランス、チーム ヨーロッパカー) +9秒
6 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム) +13秒
7 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +36秒
8 マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +50秒
9 トムイェルト・スラフトール(オランダ、ガーミン・シャープ) +2分11秒
10 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ベリソル) +2分11秒
53 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +16分21秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 73時間5分19秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +4分37秒
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +5分6秒
4 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +6分8秒
5 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +6分40秒
6 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +9分25秒
7 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +9分32秒
8 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +11分12秒
9 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +11分28秒
10 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +11分33秒
74 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +2時間20分40秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 402 pts
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 226 pts
3 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) 217 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 89 pts
2 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 88 pts
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 86 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 73時間10分25秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分34秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +6分22秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 219時間28分1秒
2 ベルキン プロサイクリングチーム +26分21秒
3 チーム スカイ +39分19秒

敢闘賞
シリル・ゴティエ(フランス、チーム ヨーロッパカー)

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2014 ツール2014・レース詳報

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載