ツール・ド・フランス2014 第13ステージニバリが山頂ゴールを制して今大会3勝目 総合2位のポートが遅れて上位争いから脱落

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 ツール・ド・フランス第13ステージは18日、サン・テティエンヌからシャンルッスに至る197.5kmで行われた。ともに山頂ゴールとなるアルプス2連戦の初日は、総合首位のマイヨジョーヌを着るヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が、上りでライバルを蹴散らして独走優勝。総合争いでも2位以下との差を広げることに成功した。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は途中の山岳でメーン集団を長時間牽引する姿を見せ、ステージ44位でゴールした。

今大会3勝目を挙げた、マイヨジョーヌのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)今大会3勝目を挙げた、マイヨジョーヌのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)

 この日は序盤の24km地点で3級山岳を越え、後半の152km地点で1級山岳、これを下りきってまたすぐに最後の超級山岳の上りに入るというコース設定。スタート前には、前日にウクライナで墜落したマレーシア航空機の事故を受けて黙祷が捧げられた。黒い喪章を付けて走る選手も多く見られた。

マレーシア航空の事故を受けて、スタートで黙祷を捧げる選手たちマレーシア航空の事故を受けて、スタートで黙祷を捧げる選手たち

 レースはスタート直後のアタック合戦から、9選手の逃げ集団が形成された。総合争いに関係のない選手たちであったが、山岳賞5位に付けるアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)がここに入り、最初の山岳ポイントを先頭通過。これを嫌った山岳賞トップのホアキン・ロドリゲス(スペイン)擁するチーム カチューシャが、途中からメーン集団の先頭に立って逃げを追走した。

 逃げとメーン集団との差は最大5分弱までしか許されず、差が2分弱まで縮まった残り80km地点からは、チーム ヨーロッパカーも集団で追走に加わった。

 一方、逃げ集団では、デマルキの存在を嫌ったか、1級山岳の上り近くからダニエル・オス(フランス、BMC レーシングチーム)がしきりにアタック。不穏な空気のまま後半の1級山岳、パラキ峠の上りに突入した。上りに入ってすぐに逃げ集団はバラバラになり、途中からデマルキが単独で先頭に立った。

 メーン集団もパラキ峠の上りに入り、その先頭では新城がペースを作る。ここまで集団を引き続けたカチューシャとヨーロッパカーの他のアシストは全員下がり、新城がただ一人、下ハンドルを持って加速を続ける。集団後方ではスプリンター達が続々と千切れ、メーン集団は一気にその人数を減らした。新城はこの上り、約半分を単独で引き続けた。

パラキ峠で集団の先頭に立つ新城幸也。このあと上りの半分過ぎまで、一人で集団先頭を引き続けたパラキ峠で集団の先頭に立つ新城幸也。このあと上りの半分過ぎまで、一人で集団先頭を引き続けた

 先頭のデマルキはメーン集団から3分弱の差で、パラキ峠の頂上を通過。1級山岳トップ通過のポイントを獲得する。一方メーン集団は新城からバトンを受ける形で、リーダーチームのアスタナがコントロールして峠を通過。集団先頭は山岳賞ジャージのロドリゲスが取り、5位通過のポイントを重ねた。

 この峠の下りで、ニバリの“山岳アシスト3人衆”の一人、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)が落車。メーン集団はしばらくスローダウンしてフグルサングの復帰を待った。アスタナはミケーレ・スカルポーニ(イタリア)も上りで遅れており、ニバリはアシストの持ち駒を減らした状態だ。

逃げ続けたデマルキ逃げ続けたデマルキ

 下りを終え、最後のシャンルッスへの上りへと入る。先頭は変わらずデマルキだが、メーン集団はティボー・ピノ(フランス)を擁するエフデジ ポワン エフエルが引き始めた。残り18kmまでに先頭との差を2分程度まで縮めると、今度はモビスター チームがアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)のためにペースアップ。メーン集団は一気に人数を減らし、山岳賞ジャージのロドリゲスも、ここで遅れてしまった。

 先頭のデマルキとの差は1分を切り、集団先頭を引くのはアスタナのアシスト“最後の一人”となるタネル・カンゲルト(エストニア)。デマルキはついに、残り14.5kmでメーン集団に吸収された。

 集団は15人程度にまで人数を減らし、ここから次に遅れたのは、なんと総合2位に付けるリッチー・ポート(オーストラリア、チーム スカイ)だった。苦しそうな表情でじわじわと後退すると、そのままメーン集団への復帰はかなわなかった。最終的に先頭から8分48秒も遅れてゴール。総合は16位まで下がり、上位争いからは完全に脱落した。

 先頭ではピノがアタック。すかさずニバリ、バルベルデが反応する。3人が牽制状態で一旦ペースが緩むと、集団からはレオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ)がアタックし、ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)がこれに反応。少し遅れてローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)が前を追いかける。

 しばらく牽制が続いていたメーン集団だが、残り10kmでバルベルデが切れ味鋭いアタックを仕掛けると、ここで完全に崩壊。ニバリがバルベルデを捕まえ、ピノも続く。3人はすぐにテンダムを吸収して、先頭を行く2人を追いかける。その後方では新人賞ジャージを着るロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が、新人賞2位に付けるピノを必死に追走する。

大きく遅れ、ニエベに引かれて上るポート。総合上位争いからは、完全に脱落してしまった大きく遅れ、ニエベに引かれて上るポート。総合上位争いからは、完全に脱落してしまった

 冷静にピノとバルベルデのペースアップに対応していたニバリだが、残り7kmでついに自らアタックを仕掛けた。一気に2人を置き去りにすると、先頭の2人に合流。しばらく先頭交代に加わった後、残り3km手前からは単独先頭に立った。

 安定したフォームで脚を回し、冷静な表情で淡々と残りの距離を刻んだニバリ。最後は大きく息を吐いてから、両手を挙げて単独ゴールをくぐった。ライバルを完全に打ち負かしてのステージ3勝目。総合優勝争いで首位の座を、さらに盤石にする大きな勝利を挙げた。ニバリは超級山頂ゴールを制したことで、山岳賞でもトップに立っている。

 2位はマイカ、3位にケーニッグ、4位にはゴール前でピノを振り切ったバルベルデが入った。新人賞ジャージを着るバルデは7位に滑り込み、ピノとのタイム差わずか16秒で新人賞首位を守った。

 アルプス2日目となる第14ステージは、3つの大きな峠をこなす。中盤に1級山岳のロータレ峠を越えると、超級山岳イゾアール峠、そしてこれを下ってすぐに、ツール初登場の1級山岳リズール峠を上ってゴールとなる。第2週のクライマックスとなるステージ、再びさまざまなドラマが交錯する戦いになるだろう。

(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

第13ステージ結果
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 5時間12分29秒
2 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +10秒
3 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +11秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +50秒
5 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +53秒
6 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +1分23秒
7 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分23秒
8 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +1分36秒
9 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +2分9秒
10 フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレック ファクトリーレーシング) +2分9秒
44 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +19分35秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 56時間44分3秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +3分37秒
3 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +4分24秒
4 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +4分40秒
5 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +5分19秒
6 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +6分6秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +6分17秒
8 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +6分27秒
9 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +8分36秒
10 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +9分18秒
73 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +1時間47分51秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 341 pts
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 191 pts
3 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) 172 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 70 pts
2 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 53 pts
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) 41 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 56時間48分27秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +16秒
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1時間44分40秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 170時間27分17秒
2 ベルキン プロサイクリングチーム +9分24秒
3 チーム スカイ +23分46秒

敢闘賞
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)

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