ツール・ド・フランス2014 現地レポート25回目のツールを迎えた仏サンテティエンヌ市 熱戦を見守る“ベテラン都市”の眼差し

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デュテョンディエさんの小さな頃は、ツールは「もっと中心街近くに来ていた」デュテョンディエさんの小さな頃は、ツールは「もっと中心街近くに来ていた」

 ツール・ド・フランス第12ステージ(7月17日)のゴール、そして第13ステージ(18日)のスタート地となるロワール県のサンテティエンヌは、フランスの東南部に位置する人口18万の中堅都市だ。ツールを迎えるのは2008年以来で、今年は通算25回目になる。市の中心部の電柱には自転車型の黄色い飾りが取り付けられ、市電には黄色のフラッグがはためいていた。レースの沿道から少し離れて、ツールを迎えた町の人々に心境を尋ねた。(サンテティエンヌ 柄沢亜希)

「レースの開催場所がちょっと遠いのよ…」

サンテティエンヌ市内のあちこちに見られたツール・ド・フランス向けの装飾サンテティエンヌ市内のあちこちに見られたツール・ド・フランス向けの装飾

 サンテティエンヌ市の中心部は幾重にも分かれた石畳の小道に小さな店舗が建ち並び、思わずショッピングを楽しみたくなるようなにぎわいがある。写真を撮ろうと立ち止まったり、市電の時刻表を確認したりしていると、物乞いの子どもが声をかけてきた。そんな出来事も含め、ヨーロッパの典型的な中規模都市といった風情だ。

サンテティエンヌでの人気菓子マカロン。この街には、隣国のイタリアやドイツにも展開するマカロンブランドがあるというサンテティエンヌでの人気菓子マカロン。この街には、隣国のイタリアやドイツにも展開するマカロンブランドがあるという

 ツール・ド・フランスを迎えたこの町を包む雰囲気は、イギリスで見てきたほど特別に熱狂的なわけではなさそうだ―。そこはツール開催の“ベテラン都市”なりの理由があるのだろうか。かわいらしいマカロンがショーウィンドウに飾られたお菓子屋さん「ル・ネルソン(Le Nelsom)」に入って聞いてみると、「レースの開催場所がちょっと遠いのよ。市の中心を通せばもっとたくさんの人が見られるのに」と冷静な言葉が返ってきた。

 この店で働くコリン・デュテョンディエさんは、生まれも育ちもサンテティエンヌ。「私が小さい頃、ツールはもっと中心街の近くに来ていたわ。子どもたちはみんな観戦が大好きね」と、自身の思い出を振り返りながら語ってくれた。ところで「ツール・ド・フランスは好き?」と聞いてみると、「いいえ…面白くなくて」と笑った。

バケーションに気分に加えるスパイス

自身のバケーションを先週終えて「こんどは同僚に代わってシフト入り」とジヴィエスキさん自身のバケーションを先週終えて「こんどは同僚に代わってシフト入り」とジヴィエスキさん

 ツール・ド・フランス開催中は、フランスの夏季休暇シーズンでもあり、サンテティエンヌでバケーションを満喫する人も多い。「そんな人たちにとっては格好のイベントね」と言うのは、コスメブランド「イヴ・ロシェール(Yves Rocher)」の店員、ステフィー・ジヴィエスキさん。自身は全く興味がないそうで、ツールが来てもお店で仕事にいそしんでいた。

 ジヴィエスキさんは、「近郊に住む友人の中には、ツールが大好きな人もいるけれど、観戦に来るほどではないみたい。それよりも、ツールの情報を追いながら、すてきなプールサイドやリゾート施設でゆっくり過ごすほうがいいんですって!」と教えてくれた。

市電にはためく黄色のフラッグ。サンテティエンヌには3つの市電ラインがある市電にはためく黄色のフラッグ。サンテティエンヌには3つの市電ラインがある
ホテルのテーブルセットホテルのテーブルセット
ホテルのエレベーターの飾りに思わずパチリホテルのエレベーターの飾りに思わずパチリ

 なるほど、当人が好きであろうとなかろうと“ツールの文化”はフランス全土、街角のすみずみにまで浸透しているようだ。感心させられるとともに、日本では真っ先に挙がりそうな「交通規制・混雑の不満」がそう簡単には出てこないことに驚いた。ツール・ド・フランスは、バケーション気分に加えるひとさじのスパイス――といったところだろうか。

4回の観戦歴があるおじいちゃん

ゴールを見終えて「あしたもスタートを見に行く」と話す親子ゴールを見終えて「あしたもスタートを見に行く」と話す親子

 一方でレース会場の近くに足を運べば、大勢の老若男女が詰め掛け、筆者がテレビ放送でよく見かけるような熱心なファンの姿があった。17日のレース後、帰り道を歩いていた親子3人に声をかけると、「(第12ステージの)ゴールを見届けたところ」と興奮気味に話してくれた。翌日の第13ステージのスタートには、4回くらい観戦歴があるおじいちゃんといっしょに観に来るのだという。「楽しかった」とすこし浮き足立ったお兄ちゃんと、「(待つ時間が)長かった」と仏頂面の妹との温度差が微笑ましい。

 実は前回の2008年にツールがサンテティエンヌへやって来た際、お母さんは「ホテル勤務が大わらわで観戦どころではなかった」という。沿道での観戦が叶ったこの日は、「やっぱりテレビで見るよりもずっといいわね!」と喜んでいた。

記者が泊まるホテルの前にはツール関係車両の隊列が記者が泊まるホテルの前にはツール関係車両の隊列が
サンテティエンヌのゴール前で観客らがキャラバン隊を出迎えるサンテティエンヌのゴール前で観客らがキャラバン隊を出迎える

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 サンテティエンヌの皆さん、レース関係者や、筆者をはじめとするツール取材陣を温かく迎えてくださり、ありがとうございました。

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