ツール・ド・フランス2014 第11ステージ終盤にアタックを成功させたガロパンがツール初勝利 2度のアタックでサガンらを振り切る

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 ツール・ド・フランスは7月16日から第2週目の戦いがスタート。ブザンソンからオヨナまでの187.5kmで争われた第11ステージは、トニー・ガロパン(フランス、ロット・ベリソル)が終盤にアタックを決め、逃げ切り勝利を飾った。総合首位のマイヨジョーヌはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)がキープ。総合上位陣にも大きな変動はなかった。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は、18分25秒遅れのグループでゴール。133位でステージを終えた。

ツール区間初優勝を飾ったガロパン。第9ステージでのマイヨジョーヌ獲得に続き、大きな栄誉を手にしたツール区間初優勝を飾ったガロパン。第9ステージでのマイヨジョーヌ獲得に続き、大きな栄誉を手にした

 激しいステージの連続だった第1週を終え、15日は1回目の休息日が設けられた。各チームともコンディションを調整し、次なる戦いに備えた。第2週は、主にアルプス山脈を目指すこととなる。

 このステージのスタートを前に、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)が出走しないことが発表されている。15日にプレスリリースを通じ、「世界選手権をターゲットにするため、一度休養に入る」との旨を明らかにした。

逃げた3人の選手逃げた3人の選手

 レース序盤は激しいアタック合戦が繰り広げられ、シリル・ルモワーヌ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)、マルティン・エルミガー(スイス、イアム サイクリング)、アントニー・ドゥラプラス(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)の3選手が逃げ集団を形成。最初の1時間は平均速度47.5km/hとハイペースで進んだ。

 中盤からは落ち着きを見せ、メーン集団はオリカ・グリーンエッジやキャノンデール、アスタナ プロチームがコントロール。先行する3人に対し4分前後の差をキープした。その間、89km地点の中間スプリントポイントでは、ルモワーヌが1位通過。続いて現れたメーン集団では、有力スプリンターがポイントを争い、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が先頭となる4位でポイントを獲得している。

 このステージは後半からアップダウンが本格化し、ゴール前56kmからは3級と4級の4つの山岳ポイントが連続して登場。それを前に、メーン集団ではアンドルー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が遅れ始める。大会第1週でのたびたびの落車によるダメージが大きかったようだ。チームは総合上位を狙っていたタランスキーでの勝負を諦め、トムイェルト・スラフトール(オランダ、ガーミン・シャープ)でのステージ優勝狙いにシフト。アシストが集団のペースメイクに加わり始める。

ステージ後半に動いたバークランツらステージ後半に動いたバークランツら

 この日最初のカテゴリー山岳、3級のコート・ド・ロニャでレースに変化が見られた。まず、逃げ集団でエルミガーとルモワーヌがペースアップ。やがてエルミガーが独走状態となる。一方のメーン集団では、ヤン・バークランツ(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)のアタックを口火に、スラフトールやニコラ・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)らが次々と集団からの抜け出しを図る。これを成功させた5選手が追走集団を形成。先行していたエルミガーを吸収し、逃げ切りを目指した。

 最後のカテゴリー山岳となる3級コート・ド・エシャロンを前に、ロッシュがアタック。その他の逃げメンバーはメーン集団に吸収され、前を行くロッシュとは15秒程度の差で頂上へ。下りに入り、トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)が集団の牽引を開始すると、あっという間にロッシュをキャッチ。一時は集団が分断するほどハイペースで下りを攻め続けた。

 山岳にカテゴライズされないほどのわずかな上りを経て、レースはいよいよゴールまでのダウンヒルへ。残り13.5kmで一瞬のスキをついてアタックしたのはガロパン。この絶妙な動きにペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)らが追いつこうと試みるも、下りを得意とするガロパンのスピードに対応できず、集団へと引き戻されてしまう。

 ようやくガロパンをキャッチしたのは残り4.3km。メーン集団から抜け出したサガン、ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ)、マイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)が合流。先頭4選手の勢いや集団とのタイム差を見る限り、逃げ切りの可能性が高まった。

レース中盤の新城幸也レース中盤の新城幸也

 先頭4選手は、いずれもスピードと独走力に定評があるだけに、一発のアタックで勝負を決めることも十分に考えられた。そして、見事に成功させたのはガロパンだった。残り3.2kmでクフィアトコフスキーのアタックにサガンが真っ先に反応。これにより一瞬ペースが緩んだ瞬間に、ガロパンがカウンターアタック。残された3選手はけん制し、お見合い状態になってしまった。

 こうなるとガロパンはゴールまで踏み続けるのみ。最後はメーン集団の猛追を受けたものの、しっかりとしたペダリングでゴールへと到達。自身グランツール初勝利となるステージ優勝を決めた。

 第9ステージではメーン集団に先着して総合首位に立ち、マイヨジョーヌにも袖を通したガロパン。その座は1日で明け渡したものの、再度の快走で勝利を手繰り寄せるなど、今大会は絶好調だ。キャリアとしては2008年から2年間、フランスのコンチネンタルチームであるオウベル93で走り、2010年にコフィディス ソリュシオンクレディでプロデビュー。2012年から2年間は、おじであるアラン氏がスポーツディレクターを務めるレイディオシャック・ニッサン(当時)に所属。今シーズンからロット・ベリソルで走っている。昨年のクラシカ・サン・セバスティアンでクラシックレース初勝利を挙げており、それに続くビッグレース勝利がツールのステージ優勝となった。

 第9ステージのポディウムではマイヨジョーヌに涙したが、このステージ優勝では「チームの期待に応えられて嬉しい」と笑顔で喜びに浸った。総合でも5位につけ、今後のステージでも活躍が期待される。

大きく遅れてゴールしたタランスキー大きく遅れてゴールしたタランスキー

 猛然と追い込んだメーン集団は、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ)が2位、マッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファルマ・クイックステップ)が3位に続くなど、「上れるスプリンター」が上位を占めた。

 総合上位陣に大きな変動はなく、ニバリはマイヨジョーヌを堅守。また、中盤で遅れたタランスキーは、途中で腰を押さえバイクを降りるシーンも。リタイアするかに思われたが、チームスタッフの説得もあり、涙を流しながら再スタート。32分5秒遅れでゴールし、何とかタイムアウトは免れた。

 17日の第12ステージは、ブールカンブレスからサンテティエンヌまでの185.5km。中間スプリントポイントが序盤に設けられ、その後は3級と4級の山岳を4つ越えるレイアウト。中級山岳ステージではあるが、総合争いを大きく動かすほどの難易度にはない。第11ステージ同様に逃げきりか、最後まで生き残ったスプリンターによるゴール争いとなることが予想される。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第11ステージ結果
1 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ベリソル) 4時間25分45秒
2 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) +0秒
3 マッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファルマ・クイックステップ) +0秒
4 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ) +0秒
5 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +0秒
6 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター チーム) +0秒
7 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム) +0秒
8 サミュエル・デュムラン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +0秒
9 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) +0秒
10 ケヴィン・レザ(フランス、チーム ヨーロッパカー) +0秒
133 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +18分25秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 46時間59分23秒
2 リッチー・ポート(オーストラリア、チーム スカイ) +2分23秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +2分47秒
4 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +3分1秒
5 トニー・ガロパン(ロット・ベリソル) +3分12秒
6 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +3分47秒
7 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +3分56秒
8 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +3分57秒
9 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +4分8秒
10 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +4分18秒
110 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +1時間28分16秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 301pts
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 164pts
3 マルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 157pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 51pts
2 トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 34pts
3 トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ) 26pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 47時間2分24秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +46秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +1分38秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 141時間5分43秒
2 アスタナ プロチーム +3分19秒
3 ベルキン プロサイクリングチーム +4分25秒

敢闘賞
ニコラ・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)

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