ツール・ド・フランス2014 第10ステージニバリがステージ勝利でマイヨジョーヌを奪還 コンタドールは落車負傷でリタイア

  • 一覧

 ツール・ド・フランス第10ステージは7月14日、ミュルーズからラ・プランシュ・デ・ベルフィーユまでの161.5kmで行われ、この日最後の1級山岳で力を発揮したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が今大会2勝目となるステージ優勝を挙げた。昨日手放した総合首位のマイヨジョーヌも再度手中に収めた。一方、総合優勝候補のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がコース中盤で激しく落車し、負傷により途中リタイアを喫した。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)はトップから16分7秒遅れの69位でステージを終えている。

最後の上りを驚異的なスピードで駆け上がったニバリがステージ優勝最後の上りを驚異的なスピードで駆け上がったニバリがステージ優勝

 ヴォージュ山脈3連戦の最後を飾る第10ステージは、序盤から1級、2級の山岳ポイントが連続して登場。計7つのカテゴリー山岳が設けられ、最後は1級山岳ラ・ブランシュ・デ・ベル・フィーユ(登坂距離5.9km、平均勾配8.5%、最大勾配20%)の頂上ゴール。1回目の休息日を目前に、今大会最初の上級山岳ステージが設定された。

 ラ・ブランシュ・デ・ベル・フィーユは、2012年ツールでも登場。そのときは、スカイ プロサイクリング(当時)が圧倒的な登坂力を見せ、クリストファー・フルーム(イギリス)がステージ優勝をつかみ取った。それもあり、このステージでは有力選手を抱えるチームがどのような動きを見せるかに注目が集まった。

マイヨジョーヌを着て走るガロパンマイヨジョーヌを着て走るガロパン

 また、7月14日はフランス革命・建国を祝う「フランス国民際」にあたり、スタート地点ではマイヨジョーヌを着用するトニー・ガロパン(ロット・ベリソル)や、フランスチャンピオンジャージを着用するアルノー・デマール(エフデジ ポワン エフエル)といったフランス人ライダーたちが前方へ。お祝いムードの中を選手たちはスタートした。

 スタート直後に逃げを決めたのは、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)、リーウ・ウェストラ(オランダ、アスタナ プロチーム)、クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、アマエル・モワナール(ドイツ、BMC レーシングチーム)、トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)、マルケル・イリサル(スペイン、トレック ファクトリーレーシング)、アルノー・ジェラール(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)の7選手。しばらくすると、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)、ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)、ヤン・バルタ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ)が合流。10人の逃げ集団でレースが進行する。

 この日最初の2級山岳、フィルストプラン峠からロドリゲスとヴォクレールによる熾烈な山岳ポイント争いが繰り広げられた。まずはヴォクレールが先着し、ロドリゲスが続いた。レースはこの頃から雨脚が強まり、遅れて通過したメーン集団では、下りでいくつかのグループに分断。その流れの中、前日優勝のトニー・マルティン(ドイツ)とミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド)のオメガファルマ・クイックステップ勢を中心に追走集団を形成し、逃げ集団へのブリッジを狙った。

 39.5km地点に設けられた中間スプリントポイントは、逃げ集団のサガンが狙い通りに1位通過。ポイント賞争いで圧倒的なポイント差を築いている。逃げ集団とメーン集団との差は4分前後で推移。メーン集団をコントロールするのは、ガロパン擁するロット・ベリソル。1級山岳の上りで、スプリンターのアンドレ・グライペル(ドイツ)が牽引する場面も見られた。

逃げ集団、山岳ジャージのマルティンと新人賞ジャージのクフィアトコフスキー逃げ集団、山岳ジャージのマルティンと新人賞ジャージのクフィアトコフスキー

 54.5km地点の1級山岳プティ・バロンは、ロドリゲスが絶妙なアタックでトップ通過。ヴォクレールは必死に追ったものの、ロドリゲスをかわすことができない。この後の下りでは、マルティンらの追走グループが先頭集団に合流。クフィアトコフスキーがバーチャルマイヨジョーヌとなり、メーン集団との差をさらに広げるべく、マルティンが先頭固定で牽引を続けた。

 そんな中、メーン集団で信じがたいアクシデントが発生する。今大会目立ったトラブルなくレースを進めてきたコンタドールが下りで落車。着用していたジャージのいたるところが破れ、右膝周辺からは大量の出血があるなど、クラッシュの激しさを物語る。その場での止血とシューズ交換により時間を大きくロス。メーン集団から4分以上遅れ、最終グルペットよりも後方からの再スタートを余儀なくされる。

 メーン集団は、コンタドールのために意識的にペースを緩めたものの、早期の集団復帰はないものと判断。また、総合上位につけるクフィアトコフスキーが先頭を走り続けていることから、ニバリ率いるアスタナ プロチームが再びペースアップ。コンタドールを何としても集団復帰させたいティンコフ・サクソは、アシストを前方から下げペースメークを図るが、思うようにペースが上がらない。

 そして、そのときがやってきてしまった。痛みに耐えて18kmを走ったコンタドールだったが、ここまで自らのために走ってきたアシストに感謝の気持ちを伝えると、ゆっくりとバイクを降り、涙ながらにリタイアを決断。8回目のツールにして初めての途中リタイアとなった。

 大波乱の様相を呈するレースは、メーン集団が本格的に追撃姿勢を見せ始める。一方の逃げ集団では、77km地点の1級山岳プラツェルヴァゼル峠、103.5km地点の2級山岳オデレン峠、125.5km地点の3級山岳レ・クロワ峠と、いずれもロドリゲスが1位、ヴォクレールが2位で通過。やがて逃げ集団は、ロドリゲスとクフィアトコフスキーの2人に絞られたが、最後から2つ目となる1級山岳レ・シュヴレール峠の途中でクフィアトコフスキーが失速。ロドリゲスが単独先頭となり、そのまま山岳ポイントも獲得した。

攻撃的な走りを見せたロドリゲス攻撃的な走りを見せたロドリゲス

 レースが終盤に差し掛かると、メーン集団の主導権はアスタナ プロチームが完全に掌握。タネル・カンゲルト(エストニア)、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)の両クライマーがニバリのためにハイペースを刻む。レ・シュヴレール峠の下りで、スカルポーニがハンドル操作を誤りコースアウトする場面があったものの、後に集団復帰。再度集団の先頭に立ち、ラ・ブランシュ・デ・ベル・フィーユへと向かう。

 ここまで山岳ポイントを次々と獲得し、ジロ・デ・イタリアでの怪我からの回復を印象付けたロドリゲスだが、勢いを増したメーン集団が徐々に近づいてきた。残り3km、満を持してニバリがアタック。この一発でライバルを引き離すことに成功すると、ロドリゲスが視野に入るポジションにまで迫ってきた。そして残り1.5km、ついにニバリがロドリゲスをキャッチ。しばらく肩を並べた2人だったが、もう一段階ギアを残していたのはニバリだった。残り1kmのフラムルージュを通過した直後にまたもアタック。そのペースは衰えることはなかった。

 単独で頂上に現れたニバリは、2月に誕生した娘に捧げる「おしゃぶりポーズ」でゴールラインを通過。ガロパンが大きく後れたこともあり、今大会2勝目は、文句なしのマイヨジョーヌ奪還となった。2位争いは、ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル)がニバリから15秒遅れてゴール。さらに5秒遅れでアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)と続いた。ラスト1kmまでステージ優勝争いを演じたロドリゲスは最後に力尽き、52秒遅れの9位でフィニッシュラインを通過している。

マイヨジョーヌを取り戻したニバリマイヨジョーヌを取り戻したニバリ

 レース後、ニバリは「今日は娘のことを考えて走った。娘はまだ幼く、このことは分からないだろうが、勝つことができて良かった。スカルポーニは落車したが、復帰後の牽引も含め、とにかく強かった」と笑顔で述べた。コンタドールが大会を去ったことについては、「本当に残念。早い復帰を願っている」と語った。

 まさかのリタイアとなったコンタドールは、チームカーでゴール地点へ移動後、メディカルルームで診断を受け、右膝下の脛骨骨折が認められた。その程度は大きなものではないとしながらも、手術を要する模様だ。スポーツディレクターのビャルネ・リース氏はプレスリリースを通じ、「アルベルトは直線を高速で下っているときに落車した。ジャージ背部のポケットに手を伸ばしていた際に、路面のくぼみにバイクを取られてしまった」と、落車時の状況を説明している。

 翌15日は、今大会1回目の休息日。5日にイギリス・リーズをスタートしたツールは、ようやく休戦を迎える。同時に大会の折り返しとなるが、ニバリが総合2位のリッチー・ポート(オーストラリア、チーム スカイ)に対し、2分23秒のアドバンテージを持って後半戦へと向かう。この休息日を経て、選手たちのコンディションや各チームの作戦がどのように動きを見せるか興味深いところだ。

 16日の第11ステージは、ブザンソンからオヨナまでの187.5km。終盤に4つのカテゴリー山岳が控え、パンチャーや逃げを得意とするライダーに優位に働きそうなレイアウトだ。一行は、アルプス山脈へと向かっていく。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第10ステージ結果
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 4時間27分26秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +15秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +20秒
4 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +20秒
5 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +22秒
6 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +22秒
7 リッチー・ポート(オーストラリア、チーム スカイ) +25秒
8 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム ネットアップ・エンデューラ) +50秒
9 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +52秒
10 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +54秒
69 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +16分7秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 42時間33分38秒
2 リッチー・ポート(オーストラリア、チーム スカイ) +2分23秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +2分47秒
4 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +3分1秒
5 トニー・ガロパン(ロット・ベリソル) +3分12秒
6 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +3分47秒
7 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +3分56秒
8 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +3分57秒
9 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +3分58秒
10 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +4分8秒
95 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +1時間9分51秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 287pts
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 156pts
3 マルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 146pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 51pts
2 トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 34pts
3 トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ) 26pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 42時間36分39秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +46秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +1分38秒

チーム総合
1 アージェードゥーゼール ラモンディアル 127時間48分28秒
2 アスタナ プロチーム +3分19秒
3 ベルキン プロサイクリングチーム +4分25秒

敢闘賞
トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2014 ツール2014・レース詳報

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載