ツール・ド・フランス2014 第9ステージマルティンが独走で逃げ切り勝利 フランスのガロパンが革命記念日にマイヨジョーヌ着用へ

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 ツール・ド・フランス第9ステージは13日、ジェラールメールからミュルーズへの170kmで行われ、序盤から2人で逃げ、残り59kmから独走に持ち込んだ個人タイムトライアル世界チャンピオン、トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)が逃げ切りでステージ優勝した。2分45秒遅れの第2集団でゴールしたトニー・ガロパン(フランス、ロット・ベリソル)が総合首位に立ち、マイヨジョーヌに初めて袖を通した。日本の新城幸也(チーム ヨーロッパカー)はメーン集団の98位でゴールしている。

150km以上を逃げ、うち60km近くを独走して区間優勝したトニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)150km以上を逃げ、うち60km近くを独走して区間優勝したトニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)

 今年のツール第1週目のクライマックスとなる、フランスの五角形の右上部分、ヴォージュ山脈での3連戦。その2日目となる第9ステージは、スタート直後から間断なく大小6つの山岳ポイントが連続し、残り20kmのみが平坦となる。総合争いのライバル同士は差が付きにくいが、大逃げを決めるには絶好のステージだ。

 レースはスタート直後からの上りで早くもペースアップ。11.5km地点の最初の2級山岳ポイントまでに一度逃げ集団が形成されたが、これは山岳ポイントを通過して吸収された。代わってマルティンとアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)の2人がアタックを決めた。

第2集団で上りをこなすカンチェッラーラ第2集団で上りをこなすカンチェッラーラ

 その後、メーン集団から26人が抜け出して追走集団を形成。ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)やホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)ら有力選手が含まれたほか、チーム ヨーロッパカーは総合エースのピエール・ローラン(フランス)を含む5人を送り込むことに成功した。ただしローランは前日までに総合で7分34秒遅れの23位と沈んでおり、この時点で総合首位のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)を脅かす存在ではない。リーダーチームのアスタナ勢は、逃げを容認する姿勢をとった。

 先頭から30秒程度の差で追い始めた追走集団は、すぐに先頭に追い付くかと思われたが、予想以上に先頭の2人が強力だった。2011年から3年連続で個人タイムトライアルの世界チャンピオンを獲得しているマルティンは、淡々とハイペースを刻み続け、逆に追走集団からじわじわとタイム差を広げていく。追走集団は主にヨーロッパカー勢が牽引。こちらも後ろのメーン集団からはタイム差を広げた。

 100kmに及ぶ先頭2人のランデブーが終わりを告げたのは、残り59km。5つ目の1級山岳の頂上手前で、マルティンがペースアップ。デマルキを置き去りにして、単独先頭に立った。ここからは個人タイムトライアル王者マルティンの、文字通り独り舞台。前傾の深い安定したフォームでビッグギアを踏み続け、下りも空気抵抗の低いクラウチングスタイルで攻め続ける。後続の第2集団はヨーロッパカーを中心に数人掛かりで懸命に追ったが、その差は縮まるどころか広がり続けた。

 一方、メーン集団はアスタナ勢を先頭に、淡々としたペースで進んだ。先頭からは8分、第2集団からは5分差となっても、前を追う様子は全く見られない。そのまま進めば第2集団で総合3分27秒遅れのガロパンに総合首位の座が移る状況となったが、どうやらアスタナは、1週目の最終日決戦となる翌第10ステージを前に、マイヨジョーヌを手放してでも力を温存する決断をしたようだ。

レース後半、第2集団から抜け出して前を追うガロパン(中央)とシュレルミカエル・シュレル(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)レース後半、第2集団から抜け出して前を追うガロパン(中央)とシュレルミカエル・シュレル(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)

 これで俄然やる気が出てきたのがガロパン。またローランも総合での遅れを一気に取り戻すチャンスとあって、ヨーロッパカーのチーム全体で積極的に追走集団を牽引した。

 先頭を行くマルティンは終始危なげない走りでハイペースを維持し続け、残り2kmを目前に早くもガッツポーズ。過去にツール・ド・フランスで2勝しているが、いずれも個人タイムトライアルだったため、ロードレースでの区間優勝は初めてだ。持ち前の独走力を存分に発揮して、4時間9分34秒でツール通算3勝目のゴールを切った。マルティンはこの日ステージ優勝、敢闘賞とともに、山岳賞ジャージも手に入れた。

 最後までペースを緩めず追い込んだ第2グループの20人は、マルティンから2分45秒差でゴール。カンチェッラーラが集団先頭でステージ2位に入った。メーン集団は7分46秒差でゴールしたため、第2集団はおよそ5分のタイムを稼ぎ、フランス革命記念日の前日にガロパンが自身初、フランス人としては3年ぶりとなるマイヨジョーヌに袖を通すことになった。

初めてマイヨ・ジョーヌを着たガロパン。「夢以上の出来事」と感無量初めてマイヨ・ジョーヌを着たガロパン。「夢以上の出来事」と感無量
山岳リーダーとなったマルティン山岳リーダーとなったマルティン

 同じフランス人のマイヨジョーヌ獲得を祝福しながらゴールしたローランは、ここまでの遅れを一気に取り戻して総合8位に浮上。また同じ集団でゴールしたティアゴジョセピント・マシャド(ポルトガル、チーム ネットアップ・エンデューラ)が、総合3位にジャンプアップした。

 マイヨジョーヌを手放して総合2位に後退したニバリ、そしてアスタナ勢だが、その視線はむしろ翌日の第10ステージに目を向けられている。ヴォージュ山脈3連戦の最終日となる第10ステージは、161.5kmの距離に7つもの山岳ポイントが設定され、そのうち4つが1級山岳。そして最後は1級山頂ゴールという、この日だけでここまでの総合成績が、全てひっくり返る可能性もある厳しい一日だ。同じく第9ステージは息をひそめていたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)も含め、休息日を前に総合有力勢の激闘が繰り広げられることになるだろう。

(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

第9ステージ結果
1 トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ) 4時間9分34秒
2 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング) +2分45秒
3 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(アメリカ、BMC レーシングチーム) +2分45秒
4 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・シマノ) +2分45秒
5 マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +2分45秒
6 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター チーム) +2分45秒
7 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +2分45秒
8 ミカエル・シュレル(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +2分45秒
9 ブリース・フェイユー(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン) +2分45秒
10 ティアゴジョセピント・マシャド(ポルトガル、チーム ネットアップ・エンデューラ) +2分45秒
98 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +7分46秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ベリソル) 38時間4分38秒
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分34秒
3 ティアゴジョセピント・マシャド(ポルトガル、チーム ネットアップ・エンデューラ) +2分40秒
4 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +3分18秒
5 リッチー・ポート(オーストラリア、チーム スカイ) +3分32秒
6 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +4分0秒
7 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +4分1秒
8 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +4分7秒
9 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +4分8秒
10 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +4分13秒
102 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +55分18秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 267 pts
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 156 pts
3 マルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 146 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ) 18 pts
2 ブレル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 17 pts
3 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール) 17 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) 38時間8分38秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +13秒
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +1分6秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 114時間22分53秒
2 ベルキン プロサイクリングチーム +22秒
3 アージェードゥーゼール ラモンディアル +53秒

敢闘賞
トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)

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