工具はともだち<51>安全な工具は素材から 使い方に合わせた硬さと加工方法でケガを防止

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 先日、過去最大級とも言われた台風が日本列島にやってきました。その台風の勢力を表す気圧の単位は、かつてはミリバール(mbar)でしたが、1992年からはヘクトパスカル(hPa)が使われています。

 日本には「新計量法」という法律があり、計量単位や計量器の精度が決められています。その法律が変更され、台風にはヘクトパスカルしか使用できなくなりました。この新計量法、実は工具にも大きく関係しているので、またの機会にご説明したいと思います。

KTCの「ヘキサゴンビットソケット」と「クロスビットソケット」KTCの「ヘキサゴンビットソケット」と「クロスビットソケット」

 工具はともだちは前回から安全をテーマにをお伝えしています。安全に工具を使っていただくために、われわれものづくりのメーカーは、形状だけでなく素材や加工方法などにおいても、さまざまな工夫をしています。

 まずは、素材。工具を作るのに必要な材料は、炭素を含んだ鋼(はがね)です。この鋼は、炭素の含有量や添加されている元素によってさまざまな種類があります。鋼は炭素の含有量が多くなると硬くなりますが、同時に粘りがなくもろくなってしまいます。安全な工具をご提供するためには、この炭素の含有量、そして工具の硬さが重要です。

 例えば、硬さを求められている刃物やヤスリなどには、この炭素を多く含む炭素鋼を使用するようにしています。また、ポンチやたがねのように工具自体に衝撃を加えて使用するものや、レンチ類などのように硬さと粘り強さが求められるものには、クロムやバナジウムなどの元素を添加した工具合金鋼を使用するようにしています。

 また鋼を硬く粘り強くするために、適度な熱(約900℃)を加えて一旦冷却し、再度低温(約450℃)で熱を加えます。

 工具を製造するうえでは、使用法にあわせて素材を変えること、そして加工方法を工夫することで壊れにくくし、皆さんをケガから守る工夫をしています。もちろん誤った使い方をすれば壊れてしまいますので、前回お伝えしたように使い方にも注意が必要です。

 それではここで、工具の硬さを当てるクイズです。自転車の六角穴付きボルトを締めたり緩めたりするヘキサゴンレンチ(ソケットタイプ、写真右)と、六角ボルトを締めたり緩めたりするのに使用されているソケットレンチ(写真左)。さて、硬く作られているのは、どちらでしょう? コメント欄で正解を予想してくださるとうれしいです。正解は次回の工具はともだちでお話ししますので、お楽しみに。

小池覚(こいけ・さとる)

KTC(京都機械工具)へ入社後、販売企画や商品開発に携わる。学生時代から二輪、四輪が趣味で、整備経験が豊富。自転車は実は始めたばかりだが、工具のプロとして、サイクリストにも整備の“いろは”を伝えることに燃えている。

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