ツール・ド・フランス2014 第6ステージグライペルがスプリントを制し今大会初勝利 ニバリは横風攻撃をしのぎ総合首位をキープ

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 ツール・ド・フランス第6ステージは7月10日、フランス北部のアラスからツールではおなじみの街、ランスまでの194kmで行われた。混戦となったゴールスプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)は今大会初勝利、ツール通算6勝目を挙げた。総合首位のマイヨジョーヌを着るヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)は、終始安定した走りでジャージをキープ。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は、最終盤にスプリントに向けたリードアウトで力を発揮。役割を果たした後は流し気味にゴールし、トップから54秒差の85位でステージを終えた。

今大会初勝利、通算で6度目の区間優勝を遂げたアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)今大会初勝利、通算で6度目の区間優勝を遂げたアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)

 中盤から後半にかけて4級山岳が2カ所設定されたが、平坦にカテゴライズされ、スプリンターが有利と見られていた。石畳と風雨、滑りやすい路面に苦しめられた前日の第5ステージを経て、再びツールらしさが戻ってきた印象だ。ただし、ゴール地ランスを目指すステージは、毎回横風による分断作戦が展開されるのが特徴。この日もスタート前には、横風区間での走りに注意するよう指示が出されたチームが多かったようだ。

 序盤に形成された逃げ集団は4選手。トム・レーゼル(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)、ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)、ジェローム・ピノー(フランス、イアム サイクリング)、アルノー・ジェラール(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)は、メーン集団に対し3分前後の差で先行。107.5km地点の4級山岳はマテが1位で通過した。

 メーン集団では、山岳ポイント通過後の下りで2度にわたり落車が発生。このステージで有力視されていたアルノー・デマール(フランス、エフデジ ポワン エフエル)が巻き込まれたほか、ハビエル・サンディオ(スペイン、チーム スカイ)が脳震盪を起こしリタイアを余儀なくされている。足止めを強いられた選手が多かったこともあり、総合リーダーのニバリがメーン集団の先頭に立ち、ペースを一旦緩めるよう指示する一幕もあった。

視察に訪れたオルランド大統領視察に訪れたオルランド大統領

 やがて119km地点の中間スプリントへ。逃げ集団は争うことはなく、レーゼルが1位通過。続くメーン集団では、キャノンデールのリードアウトをかわしたマーク・レンショー(オーストラリア、オメガファルマ・クイックステップ)が全体の5位で通過。ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)もレンショーに続き、ポイントをしっかりと確保した。

 しかし、そのサガンは中間スプリントポイント通過後に落車し、左肘や左腿から出血。ドクターカーからの手当てを受けている間に横風区間を迎え、メーン集団への復帰に時間がかかってしまった。

 横風による集団分断を避けたいチームが一斉に前方に位置し、メーン集団のペースを上げる。有力チームや選手はいずれも好位置をキープ。何度か集団が割れる場面があったものの、決定打にまではいたらなかった。しかし、ペースが上下している間に落車に見舞われたヘスス・エルナンデス(スペイン、ティンコフ・サクソ)が背部を強打。背骨付近の骨折が疑われるとしてリタイアを決断。エースのアルベルト・コンタドール(スペイン)にとっては、気心知れたアシストを失う痛い展開となった。

 残り20kmを切ると、メーン集団は逃げグループをいつでも吸収できる構えに。序盤から先行してきた4人は敢闘賞狙いの駆け引きへとシフトしていく。ピノーがアタックすると、マテだけが食らいついた。しばらく2人が互いを見合っていたが、残り16kmでマテがアタックすると、ピノーは対応できずメーン集団へと下がっていく。数キロ独走ののち、メーン集団にキャッチされたマテだが、狙い通り敢闘賞は獲得した。

 ゴールが近づき、有力チームが再び集団前方へと顔を見せ始める。残り11kmでオメガファルマ・クイックステップが猛然とペースアップを図る。巡航力の高いトニー・マルティン(ドイツ)やミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド)が牽引し始めると、あっという間に集団がいくつもに分かれた。有力選手の多くがしっかりとポジションを確保したものの、総合15位のティボー・ピノ(フランス、エフデジ ポワン エフエル)は後方に取り残されてしまう。

終盤のプロトン。先頭に立つのは今年のパリ〜ルーベの覇者テルプストラ終盤のプロトン。先頭に立つのは今年のパリ〜ルーベの覇者テルプストラ

 ハイペースのままレースは最終局面へ。各チームが入り乱れて主導権争いを繰り広げる中、残り2kmで新城が前方へ上がってきた。ケヴィン・レザ(フランス)とブライアン・コカール(フランス)を引き連れ、スプリントに向けて態勢を整える。

 残り5kmからのテクニカルなコーナーの連続を抜けると、ゴールまで1100mのロングストレート。ここでアタックしたのはクフィアトコフスキー。集団が混乱気味の間隙を縫って繰り出したアタックは、ライバルとの差を一時的に広げたものの、集団前方に位置したスプリンターたちに捕まってしまう。そして、そのタイミングに合わせて急加速したのはグライペルだった。

 トップスピードに乗せ先頭に立つと、あとはゴールに向かって一直線。ライバルたちの追随を許さず、力強いガッツポーズとともに雄叫びをあげてゴールラインを通過した。ツール開幕以降、スプリントに絡むことができないステージもあり、不調が囁かれていたが、ベテランらしく修正をして勝利に結びつけた。ゴール後のインタビューでは、「非常に集団がナーバスだった。チームメートが守ってくれ、前方で走ることに集中した。最後はリードアウトトレインが無い状態だったが、良いタイミングで飛び出すことができた。ようやくロット・ベリソルの存在感を示すことができて誇らしく思う」と喜びを口にした。

ファンにサインをするニバリ。この日もマイヨジョーヌを手堅く守ったファンにサインをするニバリ。この日もマイヨジョーヌを手堅く守った

 総合上位には大きな変動は起きず。ニバリはアシストとともに、ライバルチームの横風攻撃を冷静に対処。マイヨジョーヌをキープしている。

 11日の第7ステージは、エペルネからナンシーまでの234.5km。平坦ステージにカテゴライズされるが、ゴールまで20kmを切ってから迎える2カ所の4級山岳がポイントとなりそうだ。特に2つ目のブフレルス(登坂距離1.3km、平均勾配7.9%)は、頂上通過後ゴールまで5.5kmのダウンヒル。ここでアタックを成功させた選手が、勝利を手繰り寄せることとなるかもしれない。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第6ステージ結果
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 4時間11分39秒
2 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +0秒
3 サミュエル・デュムラン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +0秒
4 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファルマ・クイックステップ) +0秒
5 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) +0秒
6 ロマン・フェイユー(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン) +0秒
7 トム・フィーレルス(オランダ、チーム ジャイアント・シマノ) +0秒
8 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) +0秒
9 セップ・ヴァンマルク(ベルギー、ベルキン プロサイクリングチーム) +0秒
10 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、イアム サイクリング) +0秒
85 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +54秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 24時間38分25秒
2 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +2秒
3 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) +44秒
4 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +50秒
5 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング) +1分17秒
6 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +1分45秒
7 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ベリソル) +1分45秒
8 リッチー・ポート(オーストラリア) +1分54秒
9 アンドルー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +2分5秒
10 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +2分11秒
124 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +31分53秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 217pts
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 137pts
3 マルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 135pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 シリル・ルモワーヌ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) 6pts
2 ブレル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 5pts
3 イェンス・フォイクト(ドイツ、トレック ファクトリーレーシング) 4pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 24時間39分9秒
2 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +6秒
3 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分27秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 73時間56分23秒
2 ベルキン プロサイクリングチーム +4分18秒
3 BMC レーシングチーム +6分5秒

敢闘賞
ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)

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