ツール・ド・フランス2014 第4ステージ混戦のゴールスプリントを制したキッテルが今大会3勝目 フルームがスタート直後の落車で負傷

  • 一覧

 ツール・ド・フランス第4ステージは7月8日、ル・トゥケ・パリ・プラージュからリール・メトロポールまでの163.5kmで行われ、ゴールスプリントを制したマルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ)が今大会3勝目を挙げた。総合トップの証であるマイヨジョーヌを着るヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)は、その座を危なげなくキープしている。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は55秒差の128位でゴールした。

マルセル・キッテルが混戦の集団スプリントを制した(砂田弓弦撮影)マルセル・キッテルが混戦の集団スプリントを制した(砂田弓弦撮影)

 今年のツールは、いよいよ舞台をフランス本土へと移した。前日まで3日間続いたイギリスステージとは打って変わり、落ち着きを取り戻した印象だ。

 選手や多くの関係者は前夜のうちにフランスへ入国していたものの、移動による負担などに配慮し、このステージのスタートは通常より遅めに設定。コースには2つの4級山岳ポイントがあるものの、平坦ステージと位置づけられ、ゴールスプリントになることが予想された。

スタート前にローラーに乗るアンディ・シュレク。しかし出走せず(砂田弓弦撮影)スタート前にローラーに乗るアンディ・シュレク。しかし出走せず(砂田弓弦撮影)
フランスへ戻り最初のステージ、スタート前にできた黒山の人だかり(柄沢亜希撮影)フランスへ戻り最初のステージ、スタート前にできた黒山の人だかり(柄沢亜希撮影)

 パレード走行を経てリアルスタートが切られると、すぐさま逃げ狙いのアタックがかかった。そしてエスケープを成功させたのは、この日のゴール地リール・メトロポールに拠点を構えるコフィディス ソリュシオンクレディのルイスアンヘル・マテ(スペイン)と、チームマネージャーのジャンルネ・ベルノドー氏が58歳の誕生日を迎えるこの日のステージに懸けていたトマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)。明確な目的を持った2人がレースを先導。時折会話を交わす様子や、チームカーに乗るスタッフと談笑するシーンも見られた。

 一方、メーン集団では、スタート直後に総合優勝候補筆頭のクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が落車するアクシデント。前を走る選手がふらついた際に避けきれず、タイヤを接触させてしまった。これにより左大腿部の擦過傷と両手首の痛みを訴え、ドクターカーで手当てを受けてレースに復帰した。このクラッシュではバウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)やイオン・イサギレ(スペイン、モビスター チーム)も巻き込まれたが、両選手ともに大事には至らなかった。

スタート直後に落車したフルーム(砂田弓弦撮影)スタート直後に落車したフルーム(砂田弓弦撮影)

 先頭の2人とメーン集団との差は3分前後で推移。34km地点の4級山岳ポイントはマテが、92km地点の中間スプリントポイントはヴォクレールがそれぞれ先頭で通過した。マテがパンクで一時遅れたものの、復帰を待ったヴォクレールの動きもあり、2人での逃げが続いた。

 メーン集団は中間スプリントに向け、一時はロット・ベリソルが積極的に集団を牽引したものの、主導権はキャノンデールへ。ほとんどのチームがポイント獲得に興味を示さなかったため、ポイント賞のマイヨヴェールを着用するペテル・サガン(スロバキア)が余裕を持って3位通過。15ポイントを加算した。

 サガンのスプリントポイント獲得に成功したキャノンデールは、攻撃を継続。わずかな下りを利用して一気にペースアップを図った。風が強いこともあり、集団があっという間に分断された。多くの有力選手は前方に位置したが、パンクのためチームカーへ下がっていたミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ)が後方に取り残されてしまった。これによりチームの全員が後ろへ下がり、クフィアトコフスキーのメーン集団復帰を総力でアシスト。集団のペースが緩んだことも幸いし、なんとか復帰を果たした。

エスケープするトマ・ヴォクレール(砂田弓弦撮影)エスケープするトマ・ヴォクレール(砂田弓弦撮影)

 こうした集団の激しい動きもあり、逃げる2人との差は1分を切った。さらに、マテが再びパンク。集団が迫っていることもあり、ヴォクレールは今度はマテを待つことなく単独でペースアップ。その差は1分30秒にまで広がった。

 それでも、メーン集団の優位は変わらない。残り20kmを前にした段階で有力チームが前方へと顔を出し、ポジション争いを開始。ヴォクレールとの差もみるみるうちに縮小する。その間、ロット・ベリソルの3選手が落車し、グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)が右膝の負傷によりリタイアを余儀なくされたが、集団はペースを緩めない。そして残り16.5kmでヴォクレールを吸収した。

 こうなると、レースはスプリント勝負へ。オメガファルマ・クイックステップやガーミン・シャープが前方を確保した状態で残り5kmを迎える。前日勝利したキッテル擁するチーム ジャイアント・シマノは残り2.5kmで満を持してトレインが動き出すが、激しいマークにあいリードアウトが崩壊。キッテルは他選手の背後を確保しながら、スプリントタイミングをうかがう格好となってしまった。

 大混戦のまま迎えたゴールスプリント。ロシアチャンピオンジャージのアレクサンドル・ポルセフ(チーム カチューシャ)の働きもあり、アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー)が最高のポジションでスプリントを開始。その後方に付けていたマーク・レンショー(オーストラリア、オメガファルマ・クイックステップ)が追随できず、クリツォフとの差が一気に広がる。だが、ここから伸びを見せたのがキッテルだった。トレインが完璧な働きを見せた第3ステージに比べると苦戦した感は否めないが、パワーとスピードの違いを見せ付けてゴール直前にクリツォフをかわし、トップでフィニッシュ。その差はタイヤ半分といったところだ。

 薄氷の勝利となったキッテルは、ガッツポーズを見せることができないほどに消耗しきっていた。レース後には「きょうはみんなが前に出ようとしていた。僕はナーバスになっていていつ飛び出すべきかわからなかったし、クリツォフがすでに先行していて簡単ではなかった。ゴールがあと20m手前だったら間に合わなかった」と語った。表彰台ではほっとため息をつきながら笑顔で肩をなでおろした様子が印象的だった。開幕後4ステージで3勝を挙げ、4勝と大活躍した昨年を上回るペースだ。

 なお、惜しくもツール初勝利を逃したクリツォフが2位、フランスチャンピオンジャージのアルノー・デマール(フランス、エフデジ ポワン エフエル)が3位に続いた。マイヨヴェールのサガンは、残り10kmを切ったあたりで落車したものの、スプリントに臨み4位。26ポイントを加算し、ポイント賞争いで独走している。

 逃げたヴォクレール、5位に入ったエーススプリンターのブライアン・コカール(フランス)と、チーム ヨーロッパカーはこのステージでも好アピール。アシストを務める新城幸也は55秒差の128位でゴールし、総合では8分38秒差の70位となっている。

マイヨ・ジョーヌを守ったヴィンチェンツォ・ニバリ(砂田弓弦撮影)マイヨ・ジョーヌを守ったヴィンチェンツォ・ニバリ(砂田弓弦撮影)

 総合上位陣は大きな変動なくステージを終了。ニバリは安定した走りでマイヨジョーヌを堅守している。また、スタート直後に落車し負傷したフルームは、ゴール後レントゲン撮影に臨み、骨折はなしとの診断。しか、左股関節と左手首の捻挫、左膝周囲の擦過傷、右手に小さな傷を負ったことが発表され、今後のステージに不安を残した。

 9日の第5ステージは、ベルギー・イーペルからアランベール・ポルト・デュ・エノーまでの155.5km。87km地点から始まる9つのパヴェ(石畳)セクションが選手たちをふるいにかける。ツールでは3年ぶりに登場するパヴェは総距離15.4km。パヴェ巧者によるステージ優勝争いは、大会序盤のハイライトとなることは確実だ。ただ、フランス北部は8日夜から10日にかけて悪天候との予報が出ており、荒れたレースになる可能性も。クラッシュやパンクといったアクシデントの危険性があるなか、総合優勝候補たちにとっては生き残りをかけた戦いになる。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦、柄沢亜希)

第4ステージ結果
1 マルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 3時間36分39秒
2 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +0秒
3 アルノー・デマール(フランス、エフデジ ポワン エフエル) +0秒
4 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) +0秒
5 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) +0秒
6 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) +0秒
7 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファルマ・クイックステップ) +0秒
8 ダニー・ファンポッペル(オランダ、トレック ファクトリーレーシング) +0秒
9 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ) +0秒
10 ダニエル・オス(フランス、BMC レーシングチーム) +0秒
128 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +55秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 17時間7分52秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) +2秒
3 ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ) +2秒
4 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム) +2秒
5 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +2秒
6 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)+2秒
7 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +2秒
8 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +2秒
9 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +2秒
10 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +2秒
70 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +8分38秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 158pts
2 マルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) 135pts
3 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 121pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 シリル・ルモワーヌ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) 6pts
2 ブレル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 5pts
3 イェンス・フォイクト(ドイツ、トレック ファクトリーレーシング) 4pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール) 17時間7分54秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +0秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +0秒

チーム総合
1 チーム スカイ 51時間23分42秒
2 アスタナ プロチーム +12秒
3 BMC レーシングチーム +14秒

敢闘賞
トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2014 ツール2014・レース詳報

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載